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捨てたい負動産

不動産と聞くとまっさきに「不動産王」「不労所得」という言葉が頭に浮んで、「憧れ」や「羨望」などついついそんな感情を持ってしまいがちですが、みなさんはそんなことはありませんか?

不動産に対してそういったイメージを待たれる方もいると思いますが、実際には貸すことも売ることもできないのに固定資産税だけがかかっているような不動産もあります。

誰もが羨むどころか、誰も欲しがらないような不動産もあるわけで、最近では“負”動産なんていう言葉を目にするようになりました。

司法書士を対象にしたアンケートによると

  • 5割の司法書士がいらなくなった土地を自治体に寄付したいという相談を受けたことがある
  • 不動産の相続放棄について相談を受けた司法書士は4割

という結果からわかるように、“負”動産を持て余している現実が垣間見えてきます。

相談される方の中には、仮に土地を捨てることができるなら捨ててしまいたいという方もいらっしゃると思います。

現実に捨てることはできないので、名義変更や管理をせずに放置されてしまう土地がたくさんあって「所有者不明の土地が○○よりも広い」という調査結果が出ました。

さて、○○には何が入るでしょう?

所有者不明土地問題研究会の推計によると、所有者が分からなくなっている可能性のある土地が約410万ヘクタールあって、なんと九州の面積よりも広いという結果が出たようです。

誰も住まなくなった田舎にある実家や先祖代々受け継いだ山林が名義変更をされずに放置されているのかもしれませんね。

先の司法書士へのアンケート調査によると「一部の不動産について相続登記をしないよう依頼された司法書士が4割」という回答があり、相続登記をしない理由の中には相続人が多数になって

  • 遺産分割協議が困難
  • 相続人を探す費用がかかる

という理由が多かったようです。

確かに相続手続きを放置していた場合、相続人を把握するために大量に戸籍を取得することになったり、その戸籍を読み解くのはかなり大変なので、費用が高額になってしまうのには致し方ない部分があります。

余談ですがAIの普及で将来なくなる仕事が話題になったりして危機感が煽られていますが、正直なところAIが戸籍を読み解いて相続人を調べてくれたら司法書士としてはすごく楽になります。

AIを活用すれば、役所に死亡届を出しに行けば誰が相続人なのか一覧で出してくれることもいずれは可能になるかもしれません。AIに仕事を奪われると考えると前向きな発想は浮ばないけれど、どうしようもなく面倒なことをAIに任せることができると思えば明るい未来が待っているような気がします。

相続人が誰かという情報を法務局や金融機関もオンラインで共有できれば、相続の名義変更や預金の払い戻し請求がネットで簡単に出来るようになったりするかもしれません。

既に始まった法定相続情報証明制度はその前身と考えることもできそうですね。いろいろ考えると相続の名義変更をするのに司法書士はいらなくなるかもしれませんね(苦笑)。

ところで、良いか悪いかはともかく、誰も住んでいないような土地であれば放置できるとしても、現実に誰かが住んでいるにも関わらず名義変更がされず長い間そのままになってしまう場合もあります。

  • 建物が老朽化したので建て替えたいが土地の名義変更ができないためにローンが組めない
  • 誰も住まなくなったので売却したいが相続人が多すぎて手続きが進められない

といったご相談もあるので、単なる自らの怠慢で塩漬けしてしまい“負”動産にするようなことはないよう気をつけないといけませんね。

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司法書士・行政書士 伊藤 薫

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