仕事柄、遺言やエンディングノートの大切さを常々感じています。それなりに書いてみたことはありましたが、忙しさを言い訳にして自分ではちゃんと準備していませんでした。遺言はともかく、自分にはエンディングノートはまだ早いかなという気持ちもありました。
遺言も同じですがエンディングノートを準備するのに年齢って関係ないんですよね。それこそ、延命治療や臓器提供をどうするか?など元気な時じゃないと、ちゃんと向き合えないことも多いです。
一方で延命治療をどうするかは非常に難しい判断を迫られるので、両親や家族にエンディングノートを残しておいて欲しかったという人は多いと思います。成年後見人としても考えさせられる出来事が続いたので腰を据えてエンディングノートを書いてみました。
コクヨのエンディングノート 「もしもの時に役立つノート(B5 LES-E101)」を最初から最後まで2ヶ月半かけて書いていく中で、
- エンディングノートを書いていて感じたこと
- 相続の専門家からみて注意しておきたいこと
- エンディングノートにまつわるエピソード etc
をエンディングノートの目次に沿って綴ったレポートです。
エンディングノートは大切です!といくら口で言っても、自分が心から大切だと思わなければ、伝えたい相手には伝わりません。なにより自分で書いてなければ説得力がありませんよね。
コラムでは相続の専門家として、また人生の折り返し地点を迎えた一人として、エンディングノートだけに留まらない率直な気持ちをまとめました。
※エンディングノートとこの記事を最初に書いたのが2012年、定期的に見直して加筆修正をしてきましたが、2024年現在ではしっくりこない箇所も出てきました。
目次
自分のこと
自分の基本情報
エンディングノートで最初に書くのは、住所・生年月日といった自分の基本情報です。
引越し(転籍も)したことも手伝って本籍がパッと出てこない。今は免許証にも本籍が載っていないので、手続きのために前に取っていた戸籍謄本を探し出して本籍の欄を埋めました。
昔住んでいた住所を書く欄は、実家はともかく他は〇〇市ぐらいまでしか出てきません。僕は携帯の番号も10年ぐらいかかってやっと覚えたので(苦笑)、これは個人的な問題だろうとは思いますが。
昔の住所は書類の中から古い住民票をひっぱり出してきてやっと埋めました。という感じなので、想像以上に書くのに時間がかかります(汗)。
またしても書く手が止まったのが、住民票コード。そういえば、昔送られてきたような?引越で失くしたかと思いましたが、家中の書類をひっくり返した結果、なんとか見つけました。ちょっと感動(苦笑)。
まてよ・・・引越したからまた新しい番号をもらうんだろうか?初っ端で躓くと書き上げられなくなる恐れがあるので、観念して市役所に電話しました。
住民票コードは平成14年の夏に当時住んでいた市町村から通知されて、その後引越しをしようがそれっきり同じ番号なんだそう。ちなみに自分の住民票コードを知りたければ、市役所から書面で教えてもらえるということでした。
ずこっ!あんなに探したのに。
好スタートが切れたとは思えませんが、とにかく2ページを書き終えました。それからエンディングノートを書いていて、パスポートがとっくの昔に切れていたことに気づきました(汗)。
コラム|エンディングノートが1番必要なのは?
ビルの建て替えのため開業から6年間過ごした事務所を移転しました(2016年)。移転といっても住所が二丁目から一丁目に変わっただけのことですが、心機一転精進してまいります。自発的な移転ではないので引越し作業は、それは苦痛でした(苦笑)。
建て替えなら立退き料がもらえたんじゃないの?と思うかもしれませんが、定期借家契約だったので立ち退き料はありません。契約終了の3月末に移転するのは年度末と重なるので、さすがにマズイだろうとひと月早めて引越しました。
思いきって沢山の物を処分したので事務所がすっきりしました。物理的に片付いた以上に気持ちがすっきりしたのが大きかったです。まったくのゼロから事務所をはじめたわけではないので、本や資料をはじめ引き継いだものが沢山ありました。
処分したものは引き継いだものが中心ですが他には6年間まったく使わなかったものや1度しか使わなかったものも処分しました。まったく使わなかったもの、1度しか使わなかったものが結構あったのは、開業当初は来るものは拒まずで、相談があれば何でもやろうと色々と手を広げていたことが理由です。
- 時間は有限
- できることは本当に限られている
今ではこう思えるようになったので、使わないものやまったく必要ないものに囲まれていることが苦痛になっていました。とはいっても日常に追われてしまって、処分する時間を作れなくてずるずるとそのままになってしまっていたわけです。
引越しを機にこれを解消しようと決めて、引越しの前日までかかりましたが、いるもの・いらないもののジャッジをやり切りました。捨てる時にもっと迷うかなと思っていましたが、スパッと決めて捨てることができました。ただし、この作業は自分でするしかなかったので2月の忙しい時期に時間を取られたのはかなり痛かったです(>_<)
自分しかわかっていないことが多い。
個人事業ならある程度は仕方がないのかもしれませんが、自分の身に突然何かが起こったらうまく引き継ぐことができるんだろうか?と不安になります。
一人で仕事をしていると、ものを捨てるか残すかの判断に限らず、自分しか把握していないことって多いんですよね。僕は共同で事務所をしているので、何かあればすぐに関係先に連絡してもらうことができそうですが、一人で仕事をしていたら入院した・亡くなったという連絡も遅れそうです。
エンディングノートの連絡先リストは、亡くなった時ではなく入院などで自分では連絡をすることができなくなる時に備えて、自分に代わって状況を伝えて欲しい人を書いています。それから、いまどんな仕事をしているのかの一覧と、その仕事の進捗が分かるように資料関係を普段から整理しておくよう心掛けています。これはついついおろそかになってしまいますが(苦笑)、もしもの時にスムーズに引き継いでもらうにはこれは大事ですよね。
エンディングノートは高齢になってから書くとイメージが強いと思いますが、一番必要としているのは働き盛りの個人事業主かもしれませんね。そんなことを痛感した事務所の移転でした。
資産
預貯金
預貯金の情報を書いていて気がつきました。口座の数が多すぎる!
多いのは残高ではありません、残念ですが。予め用意されている2ページ(口座9つ分)では書ききれませんでした。某銀行なんて支店違いで3つもありました。今は基本的に1つの銀行で1人1口座までしか作れないんでしょうけど、ひと昔前はいくつでも作れましたもんね。給料振込用、住宅ローン返済用、それからへそくり用と分けていた記憶が(笑)。
とりあえず書ききれない口座は付箋に書いて貼ってみましたが、吟味して不要であれば解約した方がいいですよね。
口座番号を書くとせっかくだからと暗証番号も書いておきたくなります。ネットバンキングに登録していると、キャッシュカードの暗証番号の他にネットバンキング用の暗証番号(パスワード)も必要ですよね。ログイン用、実行用とパスワードがいくつもある銀行もあるので覚えきれません。どこかにまとめておかないと大変です。
でも、注意書きにもありましたが、エンディングノートに暗証番号(パスワード)を書くのは絶対に止めましょう!
それから、エンディングノートにはカード類を収納できるポケットが付いているものもあります。コクヨのエンディングノートにもそれらしいものがついていましたがパスワードが記載されているカードをエンディングノートで一緒に管理するのも危険なのでやめましょう。
ここまで書いたから忘れても大丈夫なように暗証番号も一緒に書いておきたい!その気持ちは良くわかりますが、詳しく書きすぎると個人情報の塊になります。誤って落としたりしたらかなり危険です。
安全面に配慮してのことだと思いますが、預貯金を書くページには暗証番号だけでなく、通帳や印鑑の保管場所を書く欄もありません。まあ、通帳や印鑑の保管場所を書いておかなくても大事なものをしまっている場所をご家族がわかっていれば問題ないでしょう。
お金の管理を奥さんに任せきりにしてしまっている方は、奥さんが急に入院することになったりすると
- 通帳・印鑑はどこにある?
- 暗証番号はなんだっけ?
と慌てることになりそうなので、預貯金の情報を整理するときに把握しておいた方がよさそうです。
それは名義預金じゃないですか?
コクヨのエンディングノートには口座の名義人を書く欄があります。自分自身の預貯金(財産)を書く趣旨なので、名義人の欄はいらないんじゃないの?と思いますよね。
自分の口座なのに敢えて書いておく必要があるとしたら、例えば結婚した時に名義変更の手続きをしてなくて旧姓のままという口座が考えられます。もしくは親から相続したもののまだ手続きをしていない口座というのもあるかもしれません。
そのどちらでもなく、例えばお子さん名義の口座を書いているなら、それは俗にいう「名義預金」に該当するかもしれません。
聞き慣れない言葉だと思うので簡単に説明します。名義預金というのは、あなたがお子さん名義の口座を作り、お子さんが知らない間にあなたが自分のお金をそこに貯金していたような口座です。
名義預金は単に名義を借りているだけの口座なので税務上、名義預金はお子さんのものではなく、あなたのものです。あなたの財産としてエンディングノートに書いておく方が適切かもしれません。
しかし、これは口座名義だけじゃなくて、子供にあげた(贈与した)ものなんだということなら名義預金と言われないように、きちんと贈与の手続きをしておきましょう。
口座自動引き落とし
この項目は相続が発生した時に家族が困らないように書いておくという意味合いが強いでしょうね。
例えば、離れて暮らす親が亡くなったとき。口座が凍結されると自動引き落としもできなくなるので、速やかに引落しの変更手続きをする必要があります。それには公共料金など、それぞれどのような支払い方法にしているかわからないと困りますよね。
- 電気
- 水道
- ガス
- 電話
- 携帯
- 新聞 etc
毎月各種支払いがありますが、我が家の場合、水道料金以外はカード払いなのでいたってシンプル。
さて、公共料金をはじめ定期的な支払いは口座引き落としやクレジット払いが多そうですが、振込みもありそうなので特に気をつけて書いておいた方が良さそうですね。ちなみに僕の事務所の家賃も振込です。いつも忘れそうに、いや忘れてしまいたくなります(苦笑)。
有価証券・その他の金融資産
ここは持っている証券口座を記入します。NISA(少額投資非課税制度)の口座もここに書いておくといいですね。その他の金融資産は、金の積み立て、ゴルフ会員権や勤務先の持ち株会について記入しておきます。
余談ですが、成年後見人の仕事をするときは始めにご本人さん(成年被後見人)の財産の調査をすることになります。預貯金は金融機関に照会をするという調べ方がありますが、そういった方法のない・見つけにくい資産は忘れずにエンディングノートに書いておくことをおすすめします。
不動産
預貯金は口座の数だけが多くて書く欄が足りませんでしたが、不動産は1つだけなので書く欄が余ります(苦笑)。
こういった内容を書いておくように作られています。
- 土地なのか建物なのか?
- 自宅なのか賃貸用なのか?
- 名義人は誰か?
- 共有の場合、持分は?
- それから所在地と担保があるのか?
不動産が自宅だけならわかりやすいのでどのように書いても構わないと思いますが、不動産をいくつも所有されている方は少し書き方を工夫した方が分かりやすいと思います。
例えば、それぞれの不動産に13桁の「不動産番号」があるのでそれを書いておくといいでしょう。また、マンションならこれも書いておきます。
- 建物の名称(マンション名)
- 家屋番号
これは不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を見ながら書きます。不動産の全部事項証明書が手元になければ法務局で取得できます。不動産の所在は住所とは異なるので、法務局に行く前に、権利証(登記識別情報通知)で確認してから行かれることをおすすめします。
納税通知書じゃだめなの?
「不動産の内容は、全部事項証明書じゃなくても固定資産税の納税通知書にも書いてあるじゃないか?」という鋭いご指摘があるかもしれません。確かにエンディングノートはそれなりに不動産が特定できればいいと思うので、固定資産税の納税通知書でもいいのかもしれません。
ただし、エンディングノートではなく遺言や遺産分割協議書を作成する場合であれば、固定資産税の納税通知書ではなく全部事項証明書を確認して書くべきです。というのも納税通知書の内容が登記されている内容と食い違っていることがあるからです。
食い違っているために、その遺言を相続登記に使うことができず相続人全員で遺産分割協議書を改めて作り直す必要がある場合もあるので、エンディングノートでも正確を期すために全部事項証明書で確認することをおすすめします。
定期的に最新の登記事項証明書を取得してエンディングノートに挟み込んでおくのも一つの手です。全部事項証明書はA4サイズなので、僕が書いているコクヨのエンディングノート(B4)ではこんな感じにかなりはみ出しますが(笑)
この辺はより良い方法を工夫されてはいかがでしょう。今回の相続法の改正で自筆証書遺言を書く際の要件が緩和され不動産については全部事項証明書を活用できるように変わりました。
一方で、登記をしていない建物は当然ながら登記事項証明書はありませんので、納税通知書を確認することにも意味があります。ただし、課税されない土地や建物は記載されていないので、権利証(登記識別情報)や名寄せで確認することも必要かもしれません。
その権利証で全部揃っていますか?
土地や建物の権利証(登記識別情報)はとても大事なものと認識されていると思いますが、ちゃんと見たことないという方が意外と多いような気がします。
権利証と思って大切に保管していたものが実は単なる登記事項証明書だったなんてこともあります。権利証と登記事項証明書の違いがそもそもわからないという方もいるんじゃないでしょうか?
登記事項証明書というのは登記簿の内容を記載したもので、法務局で誰でも取得することができます。
権利証は以前はいかにも高級そうな薄い和紙で作られているものが多かったので大事な物というオーラを放っていたのですが、登記識別情報に代わってからはどちらかといえば無機質な印象で大事なものという印象が薄くなっていることも影響していると思います。
もし権利証をなくしてしまったら?
もし権利証(登記識別情報)を引越や災害でなくしてしまった場合、不動産を売却したり贈与をすることができなくなるんじゃないかと思っていませんか?
実は権利証がなくても名義変更の登記手続きをすることは可能です。例えば売却をするときは、司法書士が売主さんにお会いして、不動産を取得された経緯を確認した上で作成する「本人確認情報」で権利証(登記識別情報)を代替することができます。
また本人確認のために法務局から送付されてきた書類を返送する「事前通知」という手続きを踏むことで、権利証(登記識別情報)がなくても登記手続きをすることができます。
ただし、本人確認情報を作成する費用が余分にかかってしまったり、事前通知はどうしてもタイムラグが生じてしまうので不動産の売買には使いにくいというデメリットもあります。
権利証(登記識別情報) は大切に保管されている方がほとんどでしょうから、紛失する確率はかなり低いと思います。紛失するとしたら共有で購入された場合や贈与で複数回に分けて持分で取得されたような場合が多いです。
登記識別情報の場合は不動産ごと、名義人ごとに発行されるので、例えば土地と建物をご夫婦で購入すれば、それぞれ2枚ずつ登記識別情報が発行されます。相続の際に多数で共有するような場合は登記識別情報が多数になります。すべてを贈与したわけでなければ、もともとの権利証(登記識別情報)も必要な権利証ということを見落としている方が多いようです。
また登記識別情報には持分が記載されていないので、登記事項証明書の内容と照らし合わせながら確認する必要があります。不動産を売却するときは必要な権利証(登記識別情報)をすべて揃える必要があるため、もれなく揃っているかどうかを確認するのが難しいところです。僕にとっては普段やらない分数の足し算をする貴重な機会でもあります。
権利証(登記識別情報)がないと手続きができなくなることはありませんが、余分な費用や手間がかかってしまうのは間違いないので、相続税対策などで何回にも分けて持分で贈与をされている場合は特に適切な管理に気をつけていただきたいと思います。
その他の資産
その他の資産の例として挙げられているのはこちら。
- 絵画
- 美術品
- 貴金属
- ブランド品
- 高級時計
- 自動車 etc
金額を書く欄があるので高価な財産や一般的に価値のあるものを書いておけばいいんでしょうね。保管場所を記入する欄もあるので、貸金庫、トランクルームを契約している方はここに書いておきましょう。
負動産なんていう言葉が市民権を得ているご時世なので、相続できるならなんでもいいなんていう時代じゃないですよね。できることならやっぱり現金ですよね(笑)。
不動産とはまた違った理由で悩まされそうなのがこういった美術品・骨董品の類じゃないでしょうか?素人には本物かどうかわからないし、ましていくらなのかもわからない。自分には関係のないものと思ってましたが、お宝らしきものが実家に1つだけあります。父が親戚のおじさんからもらったものなのですが・・・
かの有名な戦国武将の書を元に版木が作られたった3枚だけ刷られたうちの1枚ということなんですが。ここまで書いている途中でどうもダメな感じがする(苦笑)。
ネタになるのでいずれは「開運!なんでも鑑定団」にお願いしなければと思ってましたが、美術品の鑑定をしてくれる東美鑑定評価機構という機関が鑑定業務を開始したようです。
真贋の鑑定証書、評価証書は #相続 や #贈与 の際の評価に役立つと期待されているようです #東美鑑定評価機構 https://t.co/m2Ve02JcS2
— 伊藤 薫@泡盛バカの司法書士・行政書士 (@itokaoru3) October 28, 2018
美術品の相続や贈与の手続きが楽になるのでは?と期待されているようです。「開運!なんでも鑑定団」に採用してもらえなかったら僕もこちらにお願いしようと思います。
僕が思い当たるのは車ぐらいですね。書く欄も余っていることだし、個人的な価値観でよければ秘蔵泡盛でも書いておくとしますか(^^)
その他の資産の最後には貸しているお金について記入します。「借りた金は忘れるな 貸した金は忘れろ」と言ったのは田中 角栄でしたっけ?共感はできても実行するのは難しいので僕は忘れないように書いておきます(苦笑)。
貸した方が忘れずにずっと覚えていたとしても、貸しているお金(債権)は消滅時効といって長期間権利を行使しないと行使できなくなる制度があります。
(債権等の消滅時効)
民法
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
「貸した日」や「返済の状況について」書きながら貸したお金が消滅時効にかかっていないか確認をして、場合によっては相手に内容証明を送るなど何らかのアクションを起こした方がいいかもしれません。ないものを返してもらうことはできないので、名言に従い忘れてしまうのもひとつの方法かもしれませんが。
借入金・ローン
住宅ローン、キャッシング、友人・知人からの借金、それからご商売をされている方なら仕事関係の借入について書いておきます。
- 返済日
- 月々の返済金額
- 借入残高
- 不動産が担保に入っているかどうか?
それから、くれぐれも忘れちゃいけないのが昔、知り合いの借金の保証人になったといった保証債務です。ご家族に内緒の借金というのはわりと多いと思いますが、それ以上に保証債務があるかどうかは本人以外にはほぼわかりません。
もしかすると、昔のことで保証人になったことすら忘れている場合があるかもしれませんよね。これを機会に確認しておいた方が良いですね。
- 保証人になったことはなかったか?
- 保証人になったことがあるなら・・・返済計画は順調なのか?
- 滞納してたりしないか?
もし滞納していたら債権者から保証人に連絡があるとは思いますが。。
仮に借金があったり、保証人になっていた場合、相続が起きたときに相続人が借金や保証債務があることを把握できていれば、相続放棄を検討することができます。でも存在を知らなければ相続人が思わぬ借金を背負うはめになるかもしれません。
相続放棄ができる期間を過ぎた頃を見計らって連絡をしてくるところもあると聞くので、相続放棄の手続きは早めにしておくに越したことはないですね。ここは田中 角栄の名言の通り、借りた金は忘れるなです。
クレジットカード・電子マネー
ちょっと脱線しますが、数年前まで公共料金をはじめできる限り支払いをカードにして某航空会社のマイレージを必死に貯めていました。貯まったマイルで旅行に行くのを目的に貯めていましたが、LCCを利用するようになってマイルを貯めるモチベーションが一気に下がりました。
というのはマイルの無料航空券はなかなか使い勝手が悪いからです。マイルで沖縄に行こうと予約していたものの結局日程変更することになったときに便の変更をしようとしたら手数料が100ドルもかかるっていうんですよ!
国内の往復なら12,000マイルで行けるのに、変更手数料に100ドル持ち出してまでマイルを使う必要があるのか?と考えたら12,000マイルは泣く泣く捨てました。※2012年当時の話です
保険
加入している保険は生命保険ぐらいかなと思い書きはじめたら・・・
- 医療保険
- 自動車保険
- 火災保険
- 学資保険
- 司法書士、行政書士の賠償責任保険
と結構いろいろありました。
備え(貯金)が十分にあるなら保険に入らない方が賢い。
病気や転職などお金が必要になったら貯えを切り崩して乗り越えればいいといった話をある本で読みました。その時はそりゃそうだと納得しましたが、備えが不十分なのでいっぱい入ってますね(苦笑)。
医療保険なんかだいぶ前から入っていますが1円も受け取ったことがありません。もちろん、それはそれでありがたいことですが。前職がかなり忙しい職場だったので入ったのですが、多少の無理をしたって若いうちは病気になるリスクは少ないですからね。
なんだかんだと身体の不調が出てくる年代になったので、若いうちに入っていたから保険料が割安になっているはずと自分を納得させています。
賠償責任保険は当然満額
司法書士の賠償責任保険は最大の4億円(1請求)のものに加入しています。もしこの保険を使うことがあるとしたら、何をしたって払えるような金額ではないので、この保険料を勿体ないと思ったことは一度もないですね。年間2万円ほどの保険料なので安心を買っていると思えば安いぐらいです。
この保険は任意加入なのですが、入っていない方もいらっしゃるようです。それは、賠償額が何億円でも払えるということなのか?まさか保険料が勿体ないという理由じゃないと思いますが、疑問です。もしかしてドクターX大門 未知子ばりに失敗しないというのか?笑
年金
そういえば、消えた年金問題(年金記録問題)はどの程度まで解決したのでしょうか?
僕も漏れていた年金記録を見つけたことがありました。自分のではなく僕が成年後見人をしていたXさんの記録です。Xさんとは成年後見の申立てから関わらせていただきました。
そのときから「もっと仕事がしたいなぁ。私も伊藤さんぐらい若かったらなぁ。」と何度もおっしゃっていたので、Xさんは働くことがとても好きなんだろうなという印象を持っていました。
それからしばらくしてXさんの成年後見人に就任し、手続きのために年金事務所に行ってみると、もっと仕事をしたいとおっしゃっていたXさんの年金の加入期間が思っていたよりも短いことがわかりました。
意外に思って照会をしてみたところ、Xさんのものと思われる約20ヶ月分の年金記録の漏れが見つかりました。漏れていたのは16~18歳ぐらいの時に軍需工場で働いていた時の記録でした。加入期間がまだ短いので他にも漏れているような気がしましたがそれ以上は見つけることはできませんでした。
氏名と生年月日だけで簡単に見つかるのに、どうして記録が漏れてしまったのかが本当に不思議です。
将来、僕の記録が漏れてしまってもすぐにわかるように、しっかりエンディングノートに書いておきました。でも僕達の世代が70歳ぐらいになった時は、記録じゃなくて年金制度自体が消えていたりして。。。そうならないことを願うばかりです。
気になること
携帯・パソコン
ここまでエンディングノートで書いてきたのは、現在の契約内容などの情報を書き留めることが中心でした。
もしものときに携帯やパソコンをどうしてほしいか?といった将来の希望は、ここではじめて書くことになります。
スマホもそうですが、パソコンも個人情報やプライバシーの塊といって過言ではないので、適切に処分して欲しいですよね。
家族がいるといっても、自分のもしものときに家族がどんな生活をおくっているのかなんて想像もつきませんよね。そんなことを思うと、誰が責任をもって処分してくれるのか?不安になりますよね。
一連の手続きが落ち着く頃、亡くなって3ヶ月ぐらいですかね?
その時がきたらパソコンの画面に最期のメッセージの動画が流れて、そのあとで「なお、このパソコンは自動的に消滅する。君たちの幸せを祈る。」なんて。
ミッションインポッシブルの指令テープみたいに、白い煙が出てパソコンが消えてくれればいいのにと思ったり。
冗談はさておき(笑)、家族が適切にパソコンを処分してくれる保証はないので、そんなサービスがあったら申し込みたいですね。リタイアした後ならいざしらず、仕事をしているならすぐに処分してしまうのも気がひけるし。
- 大事な情報にはパスワードをかけておく?
- 誰にパスワードを伝えておくのか?
悩ましい問題ですよね。
もしも自分の余命がはっきりとわかるならスマホ・パソコン、SNSのアカウント、ネットショッピング用のIDやパスワードなど気になっているもろもろを綺麗にしてから逝きたいですね。それこそミッションインポッシブルなのかもしれませんが。
宝物・コレクション
1ページ目から順番に書いてきたので気がつかなかった。秘蔵泡盛を書くなら「その他の資産」のページじゃなくて、ここ!宝物・コレクションのページでしたね。
3つの五升甕ではじめた古酒作りはもし叶うなら子や孫に引き継いでもらいたいなぁなんて思いますが、さすがにそれは難しいと思うので主宰しているテイスティング勉強会で使ってもらえたら嬉しいですね。泡盛ってどんなに価値があっても消え物だからいいですが、これが甕や酒器だと保管場所にも困ります。
経験者に言わせると亡くなった親の思い出の写真や大切にしていた服などを処分するのってかなりの負担なんだそうです。自分の手で処分するという精神的な負担もさることながら物を大事にして捨てられない年代の方であれば相当な量になるので全部片付けるのに1週間仕事を休んだとか。1週間で片付く程度ならまだ少ない方かもしれませんね。
ペット
コクヨのエンディングノートにはペットに関する情報を書くページ(p30)があります。ペットの数は今では子供の数よりも多いそうなので、ペットのページは家族のページにあってもいいかもしれませんね。ちなみにペットを書く欄は2つです。
書く場所が足りないのはコピーして増やせばいいとして、もしものときにペットの世話を誰にお願いするのか?エンディングノートに書いておくだけじゃなくて事前にお願いしておかないとダメですよね。
もしものときにあなたやペットがどうなるのか?を考えるきっかけにして欲しくて、明日脳梗塞で意識不明になったらどうなりますか?という16の質問を用意しました。もしものときは自分が病気になったときだけじゃなくて、地震や台風など自然災害も想定しておかないといけません。
お時間があれば現状を把握するためにぜひ一度トライしてみてください。関連|明日、意識不明になったら?を16の問いから考えてみる
いつまでもペットと一緒にいたい
お墓は「〇〇家之墓」と彫られた家墓が主流ですが、その昔の日本では個人墓や夫婦墓が主流だったという話を聞いて、核家族化が進んだこれからの時代に家墓は廃れて、また個人墓が増えていくのかな?なんてことを、ふと思いました。
生前は別々に暮らしていたのに、亡くなると同じお墓に入ることに抵抗を感じないのかな?と思ったり。一緒に暮らしていたとしても「あんな姑とは同じ墓に入るなんて真っ平御免だ」とか「死んだ後まで旦那と一緒に居たくないから、お墓は別々がいい」という方が多いのかもしれません(苦笑)。
流行りそうと思ったのがペットと一緒に入れるお墓。愛するペットと同じお墓で眠りたいというニーズがあるんじゃないかと思った次第です。あまり期待はせずにネットで調べてみたら数は少ないのですが確かにペットと入れるお墓がありました。「いいお墓」というサイトには、東京に20箇所、大阪に4箇所のペットと入れるお墓が掲載されていました(宗派を問わないところが多いよう)
このサイトに掲載されているお墓の総数から計算すると、ペットと入れるお墓は東京では約3%、大阪は約1%の割合で存在しているようです。価格まではリサーチしませんでしたが普通に考えたら割高なんでしょうね。理想の家を見つけるのは難しいとききますが、もしかするとそれ以上に難しいのが理想のお墓探しなのかもしれません。
生活のこと
生活のことについてのページには、こういったことを書くようです。
家族の中であなたしか知らないこと、あなたがいないときに、家族がどう対応すればよいかわからないことはありませんか?
あなたしか知らないこと。そんなのはいっぱいあるような気がするので、あえて書いておくようなものはない気もします。
生活のことを書いておくページなので趣旨と少しずれるかもしれませんが、もし書こうと思ったことが出生の秘密とかのヘビーな内容なら、ここに書くんじゃなくて前もって言っておいてほしいと僕は思います。
ここに書くならどうでもいいようなこと。例えば、
- 亡くなった祖父が時々作っていた思い出の鳥料理のレシピ
- 誰にも教えていない釣りのポイント etc
読んだ人がほのぼのするようなこの程度の自分しか知らないことを書いておくのがちょうどいいような気がしました。
家族・親族
家族一覧
家族一覧のページにはこういった内容を書いておきます。
- 家族の携帯の番号
- メールアドレス
- 勤務先の情報 等
家族ってどこまで書くんでしょうね?
自分の価値観で判断してもいいんでしょうけど、住所を書く欄がそれぞれにあるので同居かどうかは問わないみたいです。子供の頃、うちは7人家族でした。
- 両親
- 僕と妹
- 祖父母
- 曾祖母
僕はサザエさんちと同じ7人家族と無邪気に喜んでいましたが、僕の地元は三世代同居率が約25%で日本一の山形県(全国平均約9% 2005年)とはいえ、舅、姑さらに姑の母(正式な言い方って?)が同居する家で暮らす僕の母は大変な毎日だったんでしょうね。
このエンディングノートには家族6人分までしか欄がないので7人だと書ききれません。最近は6人家族でもかなり珍しいんでしょうね(平均世帯人員は約2.6人・2010年)。
親族一覧
家族のページの時と同じようにどこまでが親族なんだろう?と思ってしまうかもしれませんが、親族の範囲は民法で次のように定められています。
(親族の範囲)第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。
民法
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族
六親等内の血族というと、このあたりまで含まれるのでけっこう範囲が広いですよね。
- 従兄弟の孫とか
- 祖父母の兄弟の子 等
親族一覧にはもしものとき(入院・葬儀)に連絡をするか?しないか?を書いておけるのですが、9人分しか欄がないのでここには確実に連絡をしてほしい人だけを書いておけばいいと思います。
親族一覧よりは親族表の方が家系図のようにたくさん書けるように作られていますが、それでも従兄弟までしか書けません。
親族表
実家で家系図のような親族表を書いているときに、数年前に亡くなった母の叔母の相続手続きがまだ終わってないことを耳にしました。
母の叔母(僕からみると祖母の妹)は子供がいなかったので相続人は兄弟姉妹。祖母の兄弟姉妹が相続の手続きを済ませておくのが理想でしたが、手続きをはじめる前に祖母が亡くなったため母をはじめ子供達も祖母の兄弟姉妹と一緒に相続人になってしまいました。
母達の代で手続きをしてくれたらいいのですが、手続きが完了しなければ、いずれ僕や従兄弟達が相続人として関わらなければいけなくなってしまいます。僕たちの代になると相続人の数も爆発的に増えるし、会ったことのない人もいるでしょう。住んでいるところもてんでばらばらで手続きが難航することは目に見えています。
こういうケースのご相談では、第3順位の相続人は兄弟姉妹なのだからその兄弟姉妹以上は相続人にならないのでは?と疑問に思われる方が時々おられますが違います。
分かりにくいかもしれませんので図にしてみます。
被相続人Xさんの相続人は兄弟姉妹で、兄弟姉妹はA、B、Cさんとします。
AさんはXさんより先に亡くなっていたため、Aさんの子供であるEさんが相続人になります。これを代襲相続といいます。
これに対して、Bさんもその子供であるFさんもXさんより先に亡くなっているので、Fさんの子供であるGさんは相続人になりません。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子供である甥姪は相続人になりますが、孫は相続人にはならないからです。
一方で、Xさんより後に亡くなったCさんの配偶者であるDさんは相続人になります。
仮に、こういう場合はDさんがXさんの相続人になることはありませんでした。
- ①CさんがXさんより先に亡くなっていた
- ②Cさんが亡くなる前の平成11年頃にC、Eさんで相続手続きを完了していた
相続の手続きを完了しないままに次の相続が発生してしまうと、本来の被相続人の兄弟姉妹以上に相続人が増え続けることになるわけです。母たちの代で片を付けてくれることを切に願います。
命日・親族メモ
命日を書く欄の下にひっそりと親族メモという項目があります。そして、親族について家族に伝えておきたいことがあれば書いておきましょうと書いてあります。
- 前婚での子がいる場合
- 認知した子がいる場合
- 養子がいる場合 etc
相続の実務では、亡くなった方のお子さんを洩れなく把握することは手続きを進める上でとても重要なことです。にもかかわらず、前婚でのお子さんを相続人と認識していない方が結構いらっしゃることはご相談のときに常々感じています。
コクヨのエンディングノートにある家系図のような親族表も前婚のことを書くようには作られていません(まあ当然かもしれませんが)。
だから親族表を見ながら自分の相続人について考えても前婚でのお子さんを相続人として見落としてしまうのもわからないではありません。
一方で日本では夫婦3組に1組が離婚しているというデータがあるようです(アメリカは2組に1組だとか)。この離婚率からすると相続人や親族関係を正確に整理しておけるように、前婚での親族関係も書いておける親族表があってもいいような気がします。
友人・知人
友人・知人一覧
- 友人・知人一覧
- その他の連絡先一覧
どちらもこのエンディングノートに書かなくてもいいと思いました。この辺もよく考えられていて、他で連絡先を整理している場合は、携帯電話・パソコン等どこをみればよいのかを書いておけるように作られています。
親族一覧にも記入するところがありましたが、友人・知人一覧にも、もしものとき(入院・葬儀)の連絡をするか?しないか?を書くことができます。
年賀状の住所録をエクセルで整理していれば、もしもの時の連絡という欄を作って、そこにする?しない?を記入しておくのがいいかもしれません。連絡をしてほしい人には連絡方法(電話番号、メールアドレス)も記入しておけば、ご家族が連絡をする時にわかりやすいですよね。
最初から最後まで書いてみるというコンセプトなので、あえて、このエンディングノートに連絡先を書こうとしましたが、もしもの時の連絡の欄でどうしても手が止まりました。
考えようとしても思考停止する
入院といっても、入院したことを自分で連絡できるような状況しかイメージできないんですよね。だから「どちらでもよい」を全員に丸を付けたくなります。
って考えることから逃避してますね。入院じゃなくて葬儀の連絡はどうかといえば、同じようなものです(苦笑)。
例えばですが、もし100歳まで生きると思っていたら葬儀の連絡をしようにもその頃には友人・知人はほとんど亡くなっているわけで、そんな先のことを考えていたら書くのが馬鹿馬鹿しくなってしまいます。簡単ではありませんが、例えば明日死んでしまったらとイメージしてみるとか。もしもの時の連絡の欄はいくら若くても健康だとしても、できるだけリアルにもしもの時をイメージして書かないと意味がなさそうです。
医療・介護
健康管理
健康管理のページにはこういったことを書いておきます。
- アレルギーについて
- かかりつけの病院
- 持病や常用している薬 etc
独り暮らしでアレルギーや持病のことを把握している方が周りにいなければこのページは必須でしょう。コクヨのエンディングノートのサブタイトルはもしもの時に役立つノートなので。
僕は去年引越したので新しくかかりつけになった病院を書いておきました。おくすり手帳って病院(薬局)に行くときに持って行きますか?そもそも持ってますか?僕は持っているはずだけど、どこにあるのか・・・。
おくすり手帳を活用されている方は手帳を見れば処方された薬の内容がわかるので、おくすり手帳の保管場所を書いておくかエンディングノートと一緒に保管しておいてもいいかもしれません。
それから。どこにしまったっけ?ということになりがちなので、診察券も頻繁に使わなければエンディングノートと一緒にしておくのもいいかもしれません。くどいようですがもしもの時に役立つノートなので。
定期的に送られてくる医療費通知は病院の受診歴が一目でわかるので、エンディングノートと一緒に保管しておいても良さそうですね。そこまでするのは邪魔くさいと思ったかもしれませんが、もしもの時に役に立たないエンディングノートじゃ意味がないわけで。
せっかく書いたエンディングノートを無駄にしないためには工夫が必要です。それには救急医療情報キットの仕組みや保管場所はとても参考になります。関連|必要な時に見つけてもらえないと意味がない
そうそう、健康管理について書いておくページなら、泡盛が大好物の僕の場合は、飲み過ぎない!と戒めを込めてでっかい字で書いておかないといけないですね(苦笑)。
告知・延命処置
エンディングノートを書くのも佳境に入りました。
- 告知
- 延命処置
- 臓器提供や献体
といった内容が続くので、真剣に向き合えば向き合うほど書くのに時間がかかります。う~ん、う~んと悩むばっかりで全然書けません。
僕は告知・余命宣告はしてほしいです。理由は限られた時間でやりたいこと・やらなければいけないことがたくさんあるからです。ただし、例えば80代で仕事をリタイヤしてのんびり暮らしている状況でエンディングノートを書くとしたら、そんなに周りに迷惑をかけることもないかなと思うので、はっきりしたことは言わないで欲しいと思ったりもします。自分勝手かもしれませんが。。
親の延命処置をするかしないかが原因で子供達が病室で揉めてしまったという話を聞いたことがあります。病室で揉めるようでは、亡くなった後の相続手続きを円満に進めることができるかどうかは不安が募りますよね。延命処置に対する自分の希望をはっきりと伝えておけばご家族が揉めずに済んだかもしれません。揉める火種を作らないように特に延命処置については自分の意思は明確にしておきたいと思います。
胃ろうをしても結果が変わらないなら
終末期に胃ろうを選択するかしないかの意思表示は大切です。もし自分で判断ができない状況なら胃ろうをするかしないかの判断を家族がしなくてはいけません。終末期の胃ろうをめぐっては賛否ありますが、胃ろうを選択した祖母と選択しなかった祖父を身近でみて感じたのはどちらを選択しても家族に判断を委ねるのは酷だということです。
高齢や認知症などで口から食べられなくなるとこのままでは長く持たないからということで、胃ろうをするか?しないか?家族が選択を迫られることがあります。
- 食べないから死が早まるのか?
- それとも死期が近づいているから食べなくなるのか?
この疑問を取り上げたNHKスペシャルの「老衰死」の特集は考えさせられる内容でした。
アメリカの老年医学会が重度の認知症の患者には胃ろうなどの経管栄養は適切ではないという指針を表明しました。理由は重度の認知症になると、経管栄養によるいずれの効果もないという調査結果が示されからです。
- ①生存期間の延長
- ②栄養状態の改善
- ③感染症などの予防
追跡調査で経管栄養をしても・しなくても死亡率に違いはなく、生存期間などに影響がないということが分かったようです。ということは胃ろうをするかしないかを考えるときは「終末期」「終末期以外」で明確に分けて考えなければいけないということになります。
もし、自ら意思表示ができなくなった時に胃ろうをしたとしても生存期間に影響がないことが周知されれば、本人の希望を優先して家族がその通りに対応するだけという非常にシンプルな問題になるように思いますが、いかがでしょうか?
そうなると元気なうちに家族に延命治療に対する想いを伝えておくことがますます重要になりそうです。エンディングノートはもしもの時の家族の不安や負担を少しでも軽くできるようにという想いで書くのがいいと思います。
介護
特別養護老人ホーム、老人保健施設、軽費老人ホーム・・・、介護施設は名前を聞いただけではどこが違うのか分かりにくいですね。要介護度に応じて入所できるところがあれば、要介護度に関係なく入所できるところもあるし介護保険の適用があるところ・ないところもあって様々です。
介護施設以外には有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅もあるので、高齢になった時・介護が必要になった時、いろいろあってどこで生活したいか自分の希望を決めることさえも難しい問題かもしれませんね。
エンディングノートの中には介護を受けたい場所として、具体的に施設・病院の名前まで書いておくことができるものもあります。また、具体的にこの施設でというところまでは書かないまでも希望する施設の種類までは書いておくことができるものもあります。
単に「施設で」「病院で」ではなく具体的な希望を書いておくには、ある程度の予備知識がないと適切に選択することはできないと思います。また特別養護老人ホームに入れる条件は2015年の4月から「要介護度1以上」から「要介護度3以上」に変更されています。法改正まで予測して選ぶなんてことは到底不可能です。
ということは具体的な施設名や施設の種類を安易に書いてしまうと、希望を叶えてあげることができなかったと家族が悔やむことがあるかもしれません。具体的に希望を書くなら入所するのにかかる費用を調べておく、さらにはその費用を備えておくことも必要になりそうですね。
エンディングノートに介護に必要な費用をどう捻出するのかを書いておく欄がありました。
- 預金から
- 保険で
- 特に用意していない
僕はこの中から当然のように「特に用意していない」にチェックしました。あくまでも自分の希望を書いておくノートとはいえ、我ながら将来必要になるお金について真剣に考えようと思いました。
もしもの時に自分の希望が家族に対して押し付けにならないようには気をつけたいものですね(汗)。
また、「自分で財産の管理ができなくなった時に管理をお願いしたい人」を書いておく欄があります。これはようするに認知症などで判断能力が低下したときは誰に成年後見人をお願いしたいかということです。
同じような項目で「財産の管理をお願いしたい人について」という欄があることもあります。1つ目との違いは自分で財産の管理ができないときにという条件がついているかいないかです。
この条件があったとしてもあまり変わらないような印象を受けますが、おそらく条件がついているものは法定(ほうてい)後見についての希望で、条件のないものは任意(にんい)後見についての希望のことだと思います。
とは言っても法定後見と任意後見でいったい何が違うの?と思われる方がほとんどかもしれません。成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類あります。
食べ物の好みを書いておいた方が良い理由
エンディングノートに食べ物の好みを書いておくのは、介護が必要になったときに生活の質とも訳されるQOL (クオリティ オブ ライフ)を意識してのことです。
介護が必要になったときに、必ずしも家族や周りの方があなたの食べ物や好みや趣味嗜好を代弁してくれるとは限りません。僕たち司法書士が第三者の成年後見人に選ばれるようなケースでは、ご本人さん(被後見人)のことを施設や病院の方や行政の担当者から伺うことが多いので、十分な情報が得られることの方が少ないかもしれません。
介護についてのページは見開き2ページで大きくこういった項目が並んでいます。
- 介護に対する希望を書いておくページ
- 自分自身の食べ物や洋服の好み、趣味や苦手なものについて書いておくページ
食べ物の好みなんてどうでもいいことと思われるかもしれませんが、僕の成年後見人(法定後見)としての経験から言わせてもらうと、ここは大事なのでしっかり書いておくべきです。
というのも家庭裁判所で成年後見人に選任されて、ご本人さん(被後見人)と初めてお会いする時に全く意思疎通がとれない方もいらっしゃいます。ご家族からご本人についてお話をうかがえればよいのですが、ひとり暮らしだったりするとこういったことがまったくわからない場合もあります。
- どのような人生を歩んでこられたのか?
- 食べ物や洋服の好みや苦手なもの
この辺の好みを成年後見人なり、施設の方などが十分理解しているのと理解していないのでは、これからの生活の質がだいぶ変わってくると思います。例えば・・・
- 栄養のバランスを考えて毎日食卓に並ぶメニューに大嫌いな食材がふんだんに使われている
- 寒くないようにと着せてくれたタートルネックがチクチクして不愉快で極まりない etc
例えばドッグセラピーは精神的安定や運動機能回復効果が期待できるとは思いますが、過去に噛まれたことがあって近くにいるのも我慢できないという人にとっては死活問題かもしれません。
朝食のお粥をほとんど食べなかった成年被後見人のAさんは、ご家族からパン派だと聞いてパン粥にしたらたくさん召し上がるようになりました。
こういうことが現実にあります。些細なことかもしれませんが自分で意思表示できなくてもこういった情報がしっかり書いてあるエンディングノートがあれば、家族ではない第三者の成年後見人でも簡単に知ることができます。
僕は嫌いなものがほとんどありませんが、パクチーだけはほんと勘弁してほしいです。だから誰が見てもわかるようにパクチーが嫌い、特にあの臭いが嫌だ!としっかり書いておきました(苦笑)。
葬儀・お墓
葬儀
葬儀の流れ、使ってほしい花の希望や葬儀の予算は合計でいくらくらいか。ということを書いていると、なんだか葬儀社でお葬式のプランの相談をしているような気分になってきます。
また、そもそも葬儀をどうするか?という希望を書いておけるように作られています。
- 葬儀をしてほしい
- 葬儀をしなくてもいい
- おまかせする
ここ数年、身内の葬儀や成年後見人として葬儀に参列した経験から葬儀は亡くなった人よりも残された家族のものなんじゃないかと思うようになりました。お葬式のスタイルも様々ですが、ご家族や相続人が納得できて、残された人がきちんと供養できたと思えるものが一番だろうと感じます。
何をもってきちんと供養できたかは難しいところですが、どのくらいの費用を掛けたかではないと実体験を通して感じました。そうした理由から自分の葬儀に対して特に希望はありません。家族に任せたいと思います。
でも自分自身のことはそれでよくても順番からすると自分の葬儀よりも先に親の葬儀をすることになると思うので、もし両親がこうしたいという希望があれば聞いておきたいとは思います。喪主をする身としてはできるだけ希望に沿うようにしたいと思うからです。
ということは、僕も家族のために自分の希望は書いておいた方が良さそうですね・・・。
ところで、少し違和感を感じたのが「葬儀に呼んでほしくない人」という項目です。亡くなったことや葬儀のお知らせが、人から人へ伝わるのを止めることはできないと思うのですが、どうしても書いておきたいという人向けなんでしょうか?
あの嫌な上司には絶対に葬式に来てほしくない!という感じなのかもしれませんね。。
もしそういう理由ならここには書かずに、僕ならその嫌いな奴よりも確実に長生きしてやろう!と思います!そこに名前を書くこと自体がなんだか悔しいじゃないですか!
お墓
ここまで亡くなる順番ということをあまり考えずに書いてきました。でもお墓のこととなると、どうしても順番を考えてしまいます。
田舎には曾祖母が建てたお墓があって、今なら僕も入れるスペースがありそうですが、両親が先に亡くなると入れるのかどうか微妙なところ。土地が安い田舎なのでそんなに小さくはないと思うのですが、祖父母達の骨壷は遺骨全部を納めるような大きめのサイズということも関係しています。
喉仏と少しの遺骨を納める小さいサイズだとまだまだ余裕で入れそうなのですが、土地柄なんでしょうね。
そんなわけでお墓については年の順に亡くなったと仮定して考えることにします。となると自分のお墓もそうですが、山形で暮らす両親が亡くなった時にそのお墓をどうするのか?ということも考えておく必要がありそうですね。
供養、管理をするには山形は遠すぎるので、お墓の引っ越しも選択肢としてあるのかなと漠然と考えていた時期もありましたが、そのまま山形においていてもいいかなと思うようになってきました。というのも親が亡くなると山形へ足が遠退くという話を山形県人会の先輩方からよく聞くからです。
実家そのものが山形になかったり、ご兄弟が実家を守っていたりと状況は違いますが、何年も山形に帰ってないという方が多く、親が亡くなるとふるさとへ帰る機会が減ってしまうようです。いまのところ年に1、2回は山形に帰っていますが、親が亡くなった後のことは僕もわかりません。
建て替えたとはいえ自分が育ったところなので実家もそのままにしておきたい気持ちはありますが、手放すことも考えないといけないですよね。そうなると、お墓もそうだけど実家にある仏壇はどうする?神棚は?と考えると・・・自分が生きている間はそのままにしておこうか?とか問題を先送りにする発想しか出てこなくて嫌になりますね(苦笑)。
実家を手放したら山形に帰る機会が極端に減るような気がしますし。。
そんなことをあれやこれやと考えていると、ふるさとに帰る理由と思ってお墓だけはそのままにしておくのもいいかなと思ったりします。その前にまずは、お墓のことを両親がどう考えているのをちゃんと聞いておかないといけないですね。
葬儀・お墓メモ
家紋について書いておく欄がありました。家紋といえば小学生の時の話ですが、地元米沢の上杉家の家紋は「竹に雀」だとか上杉家から伊達家に贈られた家紋があるとか、授業で家紋というものがあると知り「すげぇー、家紋ってかっけー」と興奮しました。
で、たぶん「おうちに帰ったらお父さんかお母さんに自分の家の家紋について聞いてみてください」的な課題が出たんでしょうね。
うちの家紋が上杉家の家紋と同じだったらどうしようなんて小学生にありがちな妄想を膨らませて家に帰り、両親が帰るのを待てずに祖父母に聞いたら・・・おらえのどこは、昔から水〇百〇だから家紋なんてねぇごでぇと、無情にも妄想は終了・・・。
当時は「水〇百〇」ってなに?って思いましたが、祖父の実家が農家だったのでそれらしく思えたし(水〇百〇:土地を持たない小作人のことですが、差別用語みたいなので自主規制です)。
それに、どう頑張ってみても上杉家どころか、武士にも程遠いように感じたので、これ以上傷つかないようにそれっきりにして今日に至ります。「水〇百〇」の真偽の程は定かじゃないけど、我が地元米沢は日本一貧乏な藩だったという歴史があるので、まあそんなところかもしれないなと。
家紋がないことも含めて今はもう受け入れています。自分のルーツしかり歴史モノにまったくといっていいほど興味がないのは、くだんの家紋の件がきっかけかもしれませんね。
この記事を書きながらネットで調べると家紋を検索するサイトがあって、そこにはどんな家にも家紋はあると書いてありました。本当にもれなく家紋があるんでしょうか?みなさんの家には家紋がありますか?
コラム|常識は変わる。遺骨を宅配便で送る時代
お盆に実家でつけていたテレビから流れてきた、そうこつサービスという言葉。
ここまで読んで嫌な予感がした方は鋭いですね。「送る骨」と書いて「そうこつ」。骨というのはそう、遺骨です!!
「え!遺骨を送るの?」と僕が心の中で思ったタイミングで遺骨を送ることに抵抗がある場合は、「迎骨(げいこつ)」といって先方が遺骨を引き取りに来てくれるサービスもあることが紹介されました。
ちなみに遺骨を送る方法は郵便局の宅配便「ゆうパック」です(他社の宅配便では取り扱ってもらえないみたい)。遺骨は骨壷に入っているので、「こわれもの」の指定をするのを忘れないようにとのこと。料金は30,000円からというのが相場で2013年にスタートしているサービスです。
- 遺骨をどこに送るのか?
- 一体どんなサービスなのか?
遺骨の送り先は永代供養をしてくれるお寺です。遺骨は自ら持ち込むことがほとんどだろうと思いますが、さまざまな理由で自分で運ぶことが難しいために「送骨」「迎骨」というサービスを利用される方が増えているようです。
遺骨を宅配便で送るなんて!?と眉をひそめる方がおられるのは想像に難くありませんが、相続人が子供ではなく兄弟姉妹になるケースであれば重宝されることもあるだろうと思います。
高齢になると自分のことで精一杯で、兄弟姉妹の納骨で遠方まで出掛けていくのはとてもじゃないけどできない。納骨だけではなく、法事・法要に十分に手を尽くせないこともあるでしょう。
僕が成年後見人をしていたAさんはお子さんがおらず相続人は遠方で暮らす高齢の姉妹だけでしたので、選択肢としてこういったサービスがあることを教えてあげることができたら良かったと思います。超高齢社会になり、これまではなかった、少なかったニーズが顕在化していることで「送骨」といったサービスが生まれたと思います。
それから、ドライブスルーの葬儀場ができるというニュースを見ました。これも「はぁ~?」と感じる方も多いでしょうね。
でも高齢で足腰が弱くなり車から降りるのがおっくうだから葬儀に参列したくても抵抗がある、そういった方でも気軽に参列できるようにと始められたそう。そう聞くと、なるほどなぁと思いませんか?
高齢でなくても忙しい現代社会では、平服で短時間であれば顔だけは出しておきたいというニーズにも対応できると思います。一見すると奇をてらったように思えますが、現場でのニーズを丁寧にひろってきたことで生まれたアイデアだと感じました。
また、送骨は考えないまでも子供に負担をかけたくないから墓を作るよりも永代供養を希望したい。でも他の人の遺骨と混ざってしまうのは抵抗があるという方は結構いらっしゃるのではないでしょうか(遺骨が混ざってしまうのは僕も気になります)。
そういったニーズに耳を傾けたことで生まれた、遺骨が混ざらないように遺骨ごとに袋に入れて納骨してくれるサービスもあるようです。
世の中が確実に変わってきている。
求められるニーズが変わってきているように感じます。「常識」といわれていることでは理解できないような考え方が増えてきています。
親の時代とは違う、祖父母の時代とはまったく違う常識になっていくでしょう。良い悪いじゃなくて、ここはしっかり理解しておかないといけないと思います。
私事ですが実家にある仏壇は僕が引継いだとして、それを子供達に継がせるのか?仏壇のない家で育っている子供達が会ったこともない僕の祖父母の写真を仏壇に飾るのか?ちょっと無理があるかもしれませんね。寂しいけれど。
先のことは考えすぎてもしょうがない。そんなことよりも今をしっかり見よう。まだ小さい子供達を連れてできるだけ実家に帰ろう。それが今できるベストなんじゃないだろうか。そんなことを山形の実家の二階で考えていた夏の日でした。
コラム|真夏の墓参りと墓石の墓
8月12日の夜から山形の実家に帰省していて昨日は墓参りをしました。お盆の墓参りといえば、子供の頃はお盆の前になると祖父の手伝いでお墓に日除けを掛ける手伝いをしてましたね。
日除けというのは墓石の周りに木を組んでそこにすだれを垂らすもので、実用的なものというよりもご先祖様が暑くないようにというメンタルな要素が大きいものです。実家でも何年も日除けを掛けていないようですが、お寺でも日除けのあるお墓はほとんど見かけませんでした。こういう慣わしは年々廃れてしまってるんでしょうね。
「墓石の墓」についての記事を読んだことがあったので周りの様子を伺ってみましたが、歴史を感じさせる墓石はあっても雑草が伸び放題で荒れ果てているようなお墓はなさそうでした。
「墓石の墓」というのは、継承する人がいないために無縁墓になってしまった墓石を葬る場所のことです。無縁墓についての全国的な調査はないようですが、調査をした熊本県の人吉市ではなんと4割超が無縁墓だったそうです。
無縁墓が増える背景には過疎化や少子高齢化が影響している模様。なんとも寂しい話だなぁと思っていましたが、実家の墓の後ろには去年はなかった新しいお墓が2基建っていて、なんだかほっとしました。
それにしても大阪と比べると山形はかなり涼しいです。特に夜は涼しくて、毎年こんなに涼しかったっけ?と両親に聞くと、こんなお盆は珍しいということ。それでもやっぱり昼間は暑い。
だから、この暑い最中に墓参りをするのは大変です。墓石の掃除や雑草が生えていれば草むしりもしないといけないし、炎天下では熱中症も心配です。年をとるとなおさら大変だろうと思います。
家族に代わって墓参りをすることを生業にされている方が朝日新聞で紹介されていました。料金は7,500円で以下のものが含まれています。
- 花代
- 線香代
- 写真の現像代
- 送料
現像代や送料は清掃後の写真を撮って依頼者に送るための費用です。またこういったコースもあるようです。
- 清掃のみ|5,000円
- お参りのみ(花を供えて線香をあげる)|3,500円
料金設定からもわかるように、遠方に住んでいるため墓参りがなかなかできない人を助けるために、半分ボランティアでされているとのこと。遠方に限らず病気や高齢を理由に自分でお墓参りが難しい方には、ありがたいサービスだろうと暑い中に墓参りをしてみて実感しました。墓石の墓が増えるのも納得です。
翌日は実家の墓があるお寺から和尚さんに家にお経をあげに来てもらいました。想像していた住職ではなく、かなり若い和尚さんで聞けば住職の息子さんだそう。無縁墓の問題は、個人の問題もさることながらお墓を代々守っていくことが難しい時代になっているのだろうと思います。
そんな中、小さい頃から見かけていた息子さんが立派な和尚さんになっていて、しっかりと世代交代をされていることになんだかほっとしました。
コラム|てらくるとは?
エンディングノートと一緒に送られてきた「小さなお葬式」のパンフレットが読み応えがありました(実際のところはエンディングノートよりもこのパンフレットがメインなんでしょうけど)。
小さなお葬式では葬儀費用をカードで支払いができるようです。僕が知らないだけで今はそういうところが多いのでしょうか?カードをANAカードに切り替えて、本格的にマイレージを貯めようとしているので、葬儀費用にもカードが使えると聞くとおおっ!と目を惹かれてしまいました。
ネーミングが冴えていると感じたのが「てらくる」というサービス。漢字で書くなら「寺来る」だろうと思いますが、「てらくる」というのは付き合いのあるお寺がない方に法事・法要のときに寺院を手配してくれるもので、お坊さんを紹介してくれるサービスです。
このネーミングは絶対にアスクルを意識してますよね(笑)。
葬儀プランのオプションということなので、4つの葬儀プランは通夜、告別式が内容に含まれていても読経をはじめお寺に関係するものは含まれていない価格のようです。
少し具体的に考えてみると、僕の場合おそらく両親の葬儀は実家の墓があるお寺にお願いすることになりそうですが、自分の時はどうなるんでしょうね。まさか山形にあるそのお寺にお願いすることは遠距離過ぎてないとして、まったく想像がつきません。
今は墓もないし、お寺のあてもないので、「てらくる」のようなサービスはありがたいですね。特別こだわっているわけじゃないけど、実家は曹洞宗なので、宗派が選べるのもありがたいですね。
ところで、通夜や告別式のある葬儀プランで「てらくる」を申し込まなかったら自分でお寺に手配することにあるんでしょうけど、場合によっては読経がCDだったりしてお坊さんがいないままにすることがあるのでしょうか?
祖父が昔、お盆の時期にお経のカセットを仏壇の前で流していた記憶があるので、それもありかなと思いますが。和尚様が忙しかったんでしょうね。多死社会になるとお坊さんも忙しくて、来て欲しくても人手不足で来てもらえないなんてことがおきそうですね。
パンフレットの中で一番興味深かったのがこちらの戒名料の相場表です。
ちなみに僕の父方の祖父母は『居士』と『大姉』ですが、松竹梅でいうところの竹クラスのようです。戒名のようなものは安いのも高いのもどちらにしても選びにくいかもしれないので、無難に竹クラスにする人が多いのかもしれないですね。
それにしても30~50万円というのは結構なお値段です。それが「てらくる」だと1/5~1/8程度になるわけですから・・・安けりゃいいってもんでもないけど、なぜこんなにも違いがあるの?っていう感じはします。それにしても特上クラスの『院居士』、『院大姉』になると100万円~になるんですね(汗)。
お寺との関係がこじれなければ、スマホじゃないけど「てらくる」に乗り換えたいという方も多いのではないでしょうか?
ここ数年は、地方にある先祖の墓を自宅の近くに引っ越しをする(改葬)が増えているようです。新しい墓の費用をはじめ、元の墓を撤去して更地に戻す費用や墓石の運搬料など、改葬は一時的に費用がかかるようですが、改葬を機に「てらくる」を利用するとしたら長い目でみると逆に安くなるのかもしれませんね。
お寺に経営という表現は不適切かもしれませんが、景気に左右されない安定したイメージで、いち経営者としては羨ましいと思っていましたが、価格競争の一面を垣間見ると士業と同じでお寺も大変なんだなぁと複雑な思いです。
相続・遺言
エンディングノートに遺産分けの希望を書いたところで「遺言」としての効力はありませんが、「遺言書について」というページがあるのはこういった内容を家族に伝えるためです。
- 遺言書を作成している?いない?
- 遺言書の種類は?
- どこに保管しているのか? etc
コクヨのエンディングノートでは、遺言書についてのページを書いたとしても遺言書を作ったと勘違いすることがないように工夫されています。
でも、よくよく考えてみたらこのエンディングノートの姉妹品で「遺言書キット」なるものが販売されているので、住み分けというか、役割分担がしっかりされているということか!と勝手に納得しました。
ふと、遺言書についての隣のページをみると「相続メモ」というタイトルで遺産の具体的な分け方についての希望を書いておくページがありました。
あれっ!思っていたのと違う。
「誰に」、「何を相続させるか」の横にはそれを決めるに至った理由を書いておけるような「私の考え」という欄があるので、遺言の素案を作るのには役に立ちそうですね。
「ここに記入すると、家族の参考情報としては役立ちますが、法的な効果は発生しません」
と、注意書きにもあるように、エンディングノートは遺言書の代わりにはならないのでくれぐれもご注意ください!
あくまでも素案です!!
このページのタイトル通りに「相続メモ」にとどめておかないと失敗する可能性があるということです。ご注意ください!
その他
写真と各種データ
コクヨのエンディングノートの付属品にCD-Rなどを収納できるケースがあるので、ここに写真や各種データを整理しておくことができます。データ量が多いのならUSBやハードディスクで保管しておいても良さそうですね。
今なら写真はデータで保管できるので便利ですが、一昔前は写真をアルバムに貼るとかさ張るしネガも残しておこうと思えばかなりの量になりました。40代半ばの僕もバリバリのアルバム世代なので子供の頃のアルバムをどうするのかは考えものです。
写真といえば祖母がある時期、旅行と写真にハマっていました。その写真がいまどうなっているか?はっきりしませんが、段ボール箱にぎっしりとかなりの量があった記憶が。亡くなった後で子供や家族が思い出の写真の処分をするのはとてもつらいことなので、元気なうちにやっておいた方がいいでしょうね。
- 残しておく写真(紙)を選んで、それ以外は処分する(データ化する)
- エンディングノートを書くのと一緒にスマホ・デジカメの画像データを整理する
データがあればいつでもプリントできるので、写真を処分してしまっても少し気が楽ですよね。さて、泡盛にどっぷりハマってしまった身としては人のことをとやかく言えませんが、祖母は写真の前は御殿まり作りにハマっていました。これは祖母が作った御殿まりです。
御殿まりは山形や秋田の民芸品です。もみ殻が入ったビニール袋に刺繡をしたものと思ってください。
通信教育から始めたようですが気が付けば御殿まり作りを指導できる免許まで取得していたらしい。僕が泡盛にハマって資格まで取ってしまったのは祖母の血によるところが大きいような気がします。
そんな祖母はお酒がほとんど飲めなかったので、酒が好きなところはお酒が大好きだった祖父譲りということで間違いありません!やっぱり血は争えない(苦笑)。
大切な人へのメッセージ
コクヨのエンディングノートもいよいよ最後のページとなりました。年内に書き終えると言って始めたものの気が付けば、年が明けて2月半ば。はっきり言って、全ページに渡って手を抜かずに書くのは本当に大変なことでした。
僕の場合はエンディングノートを書き、なおかつそれを元にブログも書いていたので余計に時間が掛かりました。前置きはこの辺にして、最後のページには「大切な人へのメッセージ」を書きます。
数年前に受講した相続アドバイザー養成講座で、遺言書は大切ですが、遺言書とは別に家族にあてた手紙を準備することがなによりも大切だということを学びました。
その手紙は読んだ人が感極まって泣き出すようなものを準備する必要があります。当然、書いた本人も書き終えた時に泣いてしまうようなものです。要するに遺言書には書ききれない想いは手紙に託すということです。
コラム|300万円のメッセージは高い?安い?
映画 エンディングノートを観て思ったこと。これはお父さんから家族へのエンディングメッセージだなということ。ここまでありのままに生き様を記録に残せたら、不動産やお金とはまったく違いますが、財産であり家族にとっては宝物になるだろうと思いました。
この映画は娘さんが監督なのですが、はじめからそうだったわけではありません。お父さんが亡くなった後で、映画制作に携わっていた娘さんが撮り貯めていたお父さんの映像を映画化することが決まるというストーリーがあったようです。
こうしてきちんと編集された映像で生きた証を残せるのはごく一部の限られた人だけと思ってしまいますが、こういったニーズを叶えてくれる会社があります。
Mbankという会社では人生の大切な時間を映像に残す。をコンセプトに、大切な人へのメッセージを映像という形で残すサービスを提供しています。ホームページをみると「遺言代わりとして」をはじめとして、想定される利用シーンがいくつか紹介されていました。
遺言代わりとして
文字だけだと感情が伝わりにくいこともあります。遺言メッセージには、相続についてのトラブルを防ぐためにもご自身の言葉で残すということ、大切な想いや願い、これからの応援など、心を伝える大切なメッセージを、生前の元気な姿で家族やお孫様へ、いつでもお届けすることができます。
他には・・・
- 子・孫の結婚式に
- お誕生日のお祝いに
- お葬式に
基本価格は300万円 1)ということなので誰でも作れるものでありませんが、プロのディレクター、カメラマン、構成作家、ナレーターが制作を担当するので、映画に匹敵するような映像が期待できるとのこと。また、制作期間中は専門のコンシェルジュがサポートをしてくれるようです。
1)Mbankホームページに具体的な金額は記載されていませんでしたが、雑誌ソナエの記事で紹介されていました。
また、このキャッチコピーがいいんですよね。
記憶と記録を紡ぎ世界でたった1つのライフストーリーを創る。
このサービスが300万円というのは高い?安い?みなさんはどう感じますか?
ご相談・お問合せ
司法書士・行政書士 伊藤 薫