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突然死用のエンディングノートを作ろうと思った理由
いわゆる、おひとりさまの方から突然死に備えて早めに準備をしておきたいと、遺言や死後事務のご相談を受けることが増えてきました。
相談を受けているけど、自分はどうなんだろう?と考えると、2024年は自転車で転んで救急車で運ばれたり、がん検診でひっかかったり。。
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幸いにも、どちらも異常はなかったけど不安になるときがあります。
急に死んでしまったら、お客様や家族に迷惑をかけないというのはかなり難しいと思います。
余命がわかればまだいいとして、突然死の場合は、個人事業主なので引継ぎマニュアルを作っておかないとお客様にも家族にも申し訳ないと思いました。
大きな会社で働いていようが、個人事業主だろうが、死ぬときは死ぬし、連絡が取れなくなったり、まわりに迷惑をかけるんでしょうけど、負担はできるだけ少なく準備しておきたいです。
持病がなくても、年齢もあまり関係ないのが突然死なので、できる限り準備しておこうと、突然死に対応できるエンディングノートを書こうと思い立ちました。
もし突然死んでしまったときに、まわりに迷惑を掛けないように、家族にやって欲しいことを、家族にもわかりやすくエンディングノートにまとめておこうというのが今回のミッションのゴールです。
まずは、いつ何をして欲しいのかを考えよう
エンディングノートを作成する前に、そもそも突然亡くなったら家族にどんな対応をして欲しいのかを3つの時期(タイミング)に分けて考えてみました。
- ①亡くなった当日・翌日
- ②亡くなって1~2ヶ月
- ③少し落ち着いたら
まずは、突然死を想定しているので葬儀のことは家族に任せます。家の近くでも病院の近くでもお任せです。
気になるのは、亡くなったことを速やかに連絡して欲しいということと、業務や財産の引継ぎもスムーズにできればということです。
というわけで、亡くなったことの一報をすぐに伝えて欲しい人、葬儀(家族葬)が終わってから連絡して欲しい人、少し落ち着いてからゆっくり連絡して欲しい人という整理が必要です。
また、業務を引き継いでもらえそうな方の連絡先や、事務所などの解約手続き、名義変更など、家族に動いてもらわないといけないことをまとめておかなければいけません。
エンディングノートに書いておく、Excelに整理しておくだけじゃ、全然足りなそうですね。引き継いでもらうためには良い関係性を築いておく必要があるし、引き継げるような状態で日々情報を整理しておく必要もあります。
①亡くなった当日・翌日
亡くなった直後は仕事でやり取りのある方へ、ひとまず亡くなったことの連絡を入れてもらいたいです。
継続してやり取りのある方の連絡先を「私のこと/友人・知人について」に整理しました。
受任中の事件は日々流動的なので、エンディングノートに手書きするのは現実的ではないので、一覧がわかるようにファイルの保管場所を「私のこと/友人・知人について」に記載しました。
それ以外の方から連絡が入ることもあると思うので、すぐには(?)返信・対応ができないことをお知らせするために、SNSでも亡くなったことを投稿してもらいたいです。
投稿して欲しいSNSは「私のこと/個人情報について」に整理しました。
「お急ぎの方は携帯電話にご連絡をお願いします。それ以外は、葬儀が済んで少し落ち着いたらタイミングでお願いします。」みたいな内容になるんですかね。
個人情報に関わるので一応書いておきますが、相方は補助者登録しているので依頼者の方の連絡先を共有することになっても問題はないと思います。
②亡くなって1~2ヶ月
家族は業務の引継ぎや依頼者の方にお返しする書類などの対応に忙しい頃だと思います。データや書類をわかりやすくまとめておかないと、関係者に多大な迷惑をおかけしそうですね。。
当日・翌日のSNS投稿で足りるかもしれないけど、念のために毎月、もしくは2~3ヶ月に1回程度やり取りのあるメンバー・グループには、葬儀が終わってから連絡をして欲しいです。
こちらの連絡先は、「私のこと/所属している団体など」に書いておきます。
③少し落ち着いたら
少し落ち着くのは1ヶ月後くらいでしょうか。
クレジットカードの引き落としは1ヶ月くらいは大丈夫でしょうけど、変更が必要なものもあるので、「お金のこと/クレジットカード・引き落としについて」にまとめておきます。
少し落ち着いたら、いわゆる相続のことがスムーズにできるように「お金のこと/○○○」シリーズにまとめておきます。
現実にすぐにというわけにはいかないと思いますが、事務所の解約は早めにして欲しいですね。改めて契約書を確認すると、2年更新で1月末が更新時期でした。
そもそも、わかるようにしておかないと、家賃の振込み自体を忘れてしまいそうですが。。
預貯金、保険、年金など請求できるものをエンディングノートに整理しておくことにプラスして、関係する書類の保管場所もまとめておく必要がありそうですね。
書きながら感じたこと
エンディングノートは葬儀社「紫芳の丘」さんのエンディングノートを選びました。ルーズリーフのような取り外しができる形状なので、突然死に対応したページだけにしやすいのと、ページの順番も先の優先順位に合わせて並べることができるからです。
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メインはエンディングノートですが、リタイヤ後ではなく、働きながらの突然死に対応するには、紙のエンディングノートだけでは情報の更新が追い付かないので、紙とデータのハイブリッドで準備しておくことにしました。
緊急時には、すぐに、パソコンとスマホが開けるように、パスワードはある方法(秘密)で相方に伝えています。
突然死用のエンディングノートの目的や全体的な構成はわかってもらえたと思います。ここでは、もう少し細かい内容について書いておきます。
「私のこと/友人・知人について」
当日もしくは翌日に、亡くなったことを速やかに連絡して欲しい方を整理しました。受任中の依頼者の方にも連絡して欲しいので、受任中の事件のファイルの保管場所も書いておきます。
速やかにといっても葬儀のお知らせという趣旨ではなく、「亡くなったので対応できなくなってしまいました。申し訳ありません。」というお知らせをすぐに入れてもらいたいからです。
第一報は電話がいいとは思いますが、時間帯にもよるし、普段やり取りしている方法がスムーズだと思うので、主な連絡方法(LINEやメール)とアドレスなどの情報もまとめておきます。
LINEの場合は、本名で登録していない人も多いので、「この人は誰なんだろう?」と家族がならないように、普段からこちらでアカウント名を変更しておくのがベターでしょうね。
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「私のこと/個人情報について」
「私のこと/個人情報について」は、本来は携帯電話、パソコンのデータをどうして欲しいのかを書いておくことが目的なのでしょうが、今回の僕の使い方としては、仕事柄しばらく保管して欲しいデータがあるので、どこにどんな情報があるのか?いつまで保管して欲しいのかを整理することが目的です。
データだけでなく、しばらく保管しておきたい紙の資料もあるので、その情報も一緒にまとめておきます。となると、エンディングノートでは書ききれないので、Excelで整理しておくことにします。保管についての基本方針とExcelファイルの保管場所をエンディングノートに書いておきます。
また、SNSについての項目には亡くなった後のSNSの取り扱いについて書いておきます。亡くなったことを投稿してもらいたいSNSは、毎日投稿しているfacebookだけです。他は投稿の頻度が低いのでそのまま更新が止まっても特に問題はないと思います。
「私のこと/所属している団体など」
所属している数が少ないので(ここ数年で減りました)、エンディングノートに書きましたが、また増えるようならタイミングを見てExcelに移行します。
酒販免許は相続しないと思うので、忘れないで返納してもらうように、団体ではありませんが、ひとまずここに書いておきます。商標も同様ですね。
「お金のこと/クレジットカード・引き落としについて」
エンディングノートにカードの種類と枚数を書いておきました。
実際に引き落としされる内容は、カード会社のwebで確認してもらえばいいのですが、一応定期性のある支払いはExcelにまとめておきました。
データをまとめているExcelはデータ版のエンディングノートという感じで情報が集約されてきました。
「お金のこと/財産について」
財産についてのページは01と02に2種類あって、「財産について01」は、預貯金、有価証券、金融資産について、「財産について02」には、不動産、貴金属・宝飾品・美術工芸品など、貸付金、その他の財産について書いてようになっています。
「財産について01」には銀行と口座の数だけを書いて、口座番号等はExcelにまとめました。有価証券も同じです。
「財産について02」は、不動産は相方と共有の自宅だけなので書くほどのことではないのですが、一応書いておきます。登記情報を印刷してエンディングノートに挟んでおくとベターですかね。
貴金属も貸付金もありません。車が該当するのか?わかりませんが、一応、その他の財産に書いておきました。
「お金のこと/保険・年金について」
保険・年金も財産のページ同様にエンディングノートには会社名・商品名だけ書いて、詳細はExcelにまとめました。
自動車保険は気づいても司法書士・行政書士の業務保険のことは気づかないと思うので、書いておきました。
年金はエンディングノートに基礎年金番号を書いておこうと思いましたが、年金関係の書類の場所をわかるようにしておきました。それよりも、ねんきんネットに登録しておく方が親切なのかもしれません。
「お金のこと/相続について」
「相続について」のページには、遺言書の有無や、遺産分割について、相談している専門家について書いておけるように作られています。
僕は自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局に自筆証書遺言を預けているので、遺言は手元になく、法務局で「遺言書情報証明書の交付請求」をしなければいけないと書いておきました。
関連|夫婦で遺言を書いて法務局に預けてみた|自筆証書遺言書保管制度の利用レポート
相談している専門家は、当日もしくは翌日に、亡くなったことを速やかに連絡して欲しい方のリストに入っているので、ここに書いておかなくても大丈夫でしょう。
「お金のこと/負債について」
借金について書いておくページです。
借入れができるほどの信用(※)もないし(苦笑)、今はリース契約もないし、保証債務もないと思います。
※司法書士試験に挑戦するときに、新特例措置を使って住宅ローンをリスケしてもらったことが、影響しているのか?わかりませんが。
気づいたことと思わぬ効果
やってみると、家族にわかるように、データや紙の資料を整理するのはかなり難しいです。
「ここに、こんなルールで保管しています」と書いておけばいいと簡単に考えていましたが、そもそも決まったルールがなくて、バラバラになっているものが多々ありました。
忙しい時期は特に仕方がないと思いますが、いつか仕事を辞めるときに、捨てる・残すという判断を自分でするつもりで、いい加減に整理していたものがあったからです。
その点を改めて、今回のタイミングでルールを決めて実行することにしました。
エンディングノート作りをきっかけに、思わぬ効果がありました。
- ☑パソコンの中をすっきり整理することができた
- ☑そのうち整理しようと思っていた資料の片付けに着手できた
データや書類の仕分けルールも大切ですが、残す前提ではなく、必要のないものは手放して、できるだけシンプルにしておくことが一番だと思えるようになりました。
突然死用のエンディングノートを作ることで、数年先を考えることも大切ですが、直近1年を充実させることに集中したいと考えるようになって、やるべきことが明確になりました。身軽になれたような気さえします。
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不幸にして自分が急逝することになった場合を考えると、現役で仕事をしている方がエンディングノートの必要性が高いし、遠い将来を考えて書くよりもむしろ書きやすいと感じました。
今は健康なのですぐに使うことはないと思いますが、いつでも使える状態にしておくためには、エンディングノートも情報も定期的に見直す必要がありますね。
ご相談・お問合せ
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司法書士・行政書士 伊藤 薫