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仕込みなしで目標200万円のクラウドファンディングを3日で達成してわかった成功と失敗
- 投稿日
- 2022年3月18日 09:00
- (2024年3月15日 16:36 更新)
- 目標金額200万円を3日で達成
- 支援者数277名|34の都道府県から
- Makuake支援額ランキング1位|開始2日目
- ヤフーニュースに2記事掲載
- 経済面のトップ記事に掲載|沖縄タイムス
こういった表面上の結果だけを見ると泡盛関連のプロジェクトとしては大成功の部類に入ると認識しているのですが、上手くいかなかった点もたくさんあります。
友人・知人などに支援をお願いできていて、プロジェクトがスタートする前から達成できることが【確実に】わかっているという状態を【仕込みあり】と定義しました。
だから、達成できるかどうか?やってみないとわからない状態でスタートした本プロジェクトは【仕込みなし)という意味です。もし仕込めるならクラファンではなく、自前のオンラインショップで販売すればいいんじゃね?という話もあるわけですけど。
いろいろな形で応援していただいたみなさんにこの場を借りてあらためてお礼を申し上げます。ありがとうございました。2019年4月にMakuakeで挑戦したクラウドファンディングからの気づきを失敗談も隠さずまとめました。
目次
明暗をわける決め手になった2つの質問
- ①クラファン成功者からの質問
- ②ディレクターO氏からの質問
①目標200万円のうち、いくらお願いできてますか?
クラウドファンディングを何度も成功されているという方から開始1ヶ月前にこう聞かれました。
「・・・😅」
薄ら笑いを浮かべるしかなかった僕に、間髪入れずにこんなキツ〜いアドバイスをしてくれました。
「クラウドファンディングは目標を達成してからが本当の勝負です。だからスタート前に達成が見込めていないなんて、そのプロジェクトはかなり難しいと思いますよ!」
確かに、設定した目標金額は、達成しやすさなんて無視した実際に必要な金額だし、本当に達成できるのか?というドキドキ感を見ている人にも一緒に味わってもらうことがこのプロジェクトの醍醐味でした。
だから、この挑戦がどこまでいけるのか?というのを面白がってもらう企画に変な仕込みはありえない!と思いながらも、何度もクラウドファンディングを成功している人は見てる世界が違うなぁと、全く支援がなかったときのことを想像したら正直、震えました。
②なぜこの樽をそこまでして購入しなきゃいけないのか?
「他の樽とどう違うのか」「既存商品ならもっと安く飲めるが…」というところを、もっと説得して欲しい気がします。
このプロジェクトのディレクションをお願いしていたO氏は、生粋の泡盛ファン(イニシャルにする意味はほとんどありませんが)。
想定していた支援者は、既存の泡盛ファンから少しずらしてイメージしていましたが、まずはO氏に納得してもらえる回答を準備できないとしたら、それこそ達成はかなり難しいだろうと震えました。
なんだか震えてばかりですね・・・(苦笑)。
①②をきっかけに辿り着いたのが、このキャッチコピーでした。
“樽原酒の大人買い”というお祭りに参加して完成までのワクワク・ドキドキ感も味わってみませんか?
- 達成できるかどうか?を見ている人にも自分事として楽しんでもらう。
この1点にフォーカスできるか?できないか?が本プロジェクトが達成できるかどうかの明暗をわけるポイントだったと思います。だからこそ、最近は減っている(気がする)ALL or Nothing型の目標設定になったわけです。
そもそもクラファンで何を目指したのか?
ここで僕が説明するまでもありませんが、クラウドファンディングといっても様々です。
- ①目的|資金調達・プロモーション etc
- ②タイプ|購入型・寄付型・投資型
- ③目標設定|ALL or Nothing / ALL in
- ④プラットフォーム|Makuake、CAMPFIRE etc
目標設定の2つの違いは、ALL or Nothingは目標金額に達成しなければそこで終了、支援金額はお返ししますというもので、ALL inは目標金額に達成しなくても集まった金額だけでプロジェクトを実行するというものです。
やるなら達成を目指すのは当然として、約20%の手数料を負担してでもクラウドファンディングに挑戦するなら、クラウドファンディングならではの目指すところがあってしかるべきだと考えました。
僕がクラウドファンディングで目指したのは主にこの2つです。
- 商品の予約販売と製造に掛かる資金調達を同時にしたかった(在庫を抱えるリスクを回避)。
- Makuakeでプロジェクトを立ち上げることで、お酒好きが多いMakuakeユーザーに泡盛を広く知ってもらうきっかけを作りたかった(新しい媒体での情報発信)。
そこで、本プロジェクトはこうなりました。
- ①目的|資金調達・情報発信
- ②タイプ|購入型
- ③目標設定|ALL or Nothing
- ④プラットフォーム|Makuake
- ⑤コンセプト
- ☆モノ消費からコト消費へ|希少なシングルカスク(モノ)→大人買い祭り(コト)
- ☆所有からシェアへ| 仕入れ→共同購入
表面上の結果だけではわからない成功と失敗と気づき
スタートダッシュ編
クラファンはスタートダッシュ(初速)が命
「開始24時間以内に30パーセント達成すると成功率は95パーセント」というのはmakuakeでの過去のプロジェクトの実績ですが、体感としてこの勝利の方程式はあっていると感じました。
僕の場合はイメージしていたよりも初速が早すぎて何もできなかった感は否めません。詳細に予測してもその通りになるとは限りませんが、大きく外さないようにしておくことは大切です。
開始日は金曜日が良さそう
土日はSNSを見ない人もいます。ど平日だとバタバタして興味があっても支援までに至りにくい。スタートダッシュが大事なので開始直後の3日間は金土日がベストなのでは?と仮説を立ててみて、知人のプロジェクトが金曜日開始で好調だった様子を見て確信しました。
で、金曜日にしたらその日は長男の小学校の入学式だったという(汗)。
エイプリルフール(4/1)が開始日でいいのか?
年度末を避けて4月に入ったらプロジェクトをスタートしたいと考えていました。キリがいいから1日という案もありましたが、ことメディア掲載を考えると、1日は新年度・入社式などタイムリーな話題が多いので、掲載してもらえる可能性が下がると読んで1日は外しました。
それにクラファンに挑戦することをギリギリまで内緒にしていたので、4月1日に開始すると、エイプリルフールのネタと思われる可能性もあったので4月1日はやめて正解だったと思います。
ひと樽まるごと大人買いするプロジェクトで目標金額が200万円ですよ。いかにもネタっぽいですよね。
新聞掲載が先か?達成が先か?
支援してもらえるか?という視点で考えるとプロジェクト公開前のメディア掲載では意味がない、もったいないとmakuakeの担当者から言われていました。公開後に掲載するにしても紙面の都合もあるのでスタートダッシュの後押しになるようなタイミングで掲載してもらうことは至難の業だと感じました。
新聞に掲載された日の午前11時台に達成することができたので、沖縄タイムスさんの記事が達成への強力な後押しになりました。ありがとうございました。
参考|泡盛を全国に広めたい 大阪の愛好家が樽ごと購入へ 希少な原酒の味
このエピソードを読むとメディアへのアプローチは上手くいったと思われるかもしれませんが、もちろんダメなときはダメです。メールアドレスを知っている程度の某新聞社の人にメールしたものの完全スルーなんてこともありました。
だから情報発信は無理しないようにしましょうなんていうつもりはありません。一応、お知らせしますね。というスタンスなら興味を持ってもらえるかどうかは気にせずどんどん情報発信していいんじゃないかと思います。
「あいつ必死やなぁ」と陰口叩かれるくらいの量の発信をしないと、一般的には達成は難しいんじゃないかなと感じています。早い時期に達成することができましたが、プロジェクトの後半戦はかなり苦戦したので情報発信の量の大切さは実感しています。
メディア | アプローチ | 掲載日 | 備考 |
石垣経済新聞 | プレスリリース | 初日17時・ネット記事 | ヤフーニュース掲載 |
八重山日報 | プレスリリース | 2日目・ネット記事 | |
沖縄タイムス | 記者にメール | 3日目・朝刊 ネット記事(無料記事) | ヤフーニュース掲載 経済面トップ |
早割を制するものはクラファンを制する
早めに購入(支援)すると同じ商品をお得に手に入れることができる早割は支援者にとってはメリットですが、早割を設定する実行者側のメリットをよくわかっていませんでした。
ところが企画を練っていく中で、開始24時間以内に30パーセント達成することがプロジェクト達成のポイントで、ここをクリアするには数量限定の早割が効果的なことに気がつきます。
そこで、僕が設定した早割はこの2つです。
- 先着40名様!【早割】シングルカスク原酒1本|9,000円×40=36万円
- 先着20名様!【早割】シングルカスク原酒2本|18,000円×20=36万円
「早割はお得!どうせなら早割で購入しよう!」と思ってもらえたらプロジェクト開始直後の支援のスピードを上げることができるかもしれない。上手くはまれば早割だけで合計72万円、200万円の36%を達成できるという仮説を立てました。
結果は狙い通りに早割が完売して、初日で50%(100万円)達成。開始2日目はMakuake支援額ランキング1位になることができました。
ランキング1位は偶然の産物ですが、もしこれを狙いたいなら話題のプロジェクトと開始日が被らないようにしたり、そもそも同じ日に立ち上がるプロジェクトの少ない日を狙うことが効果的だと思います。
こういった情報をどこまで集めることができるのかは未知数ですが、そもそも同じ日に立ち上がるプロジェクトの数は分散されるようにプラットフォーム側で交通整理がされているのかなと思います。
目標設定編
無理めの目標金額が功を奏した
目標金額が無理めの200万円だったので、達成できるかどうかに感情移入したり面白がってもらえたと思います。もし目標金額が50万円位なら「そのくらい頑張って自分で出せよ」という反応が多かったのかもしれません。
また仮に目標金額を30万円にして、達成できたけどそれ以上支援が集まらなかった場合は、現実問題としてどうなるのか?というと、300本のうち270本位は当分の間は在庫ということになるでしょう。
これはビジネスとして考えると非常に厳しい状況になります。それに達成できたとしても泡盛の魅力を発信する企画としてはプラスの効果と言えるのか疑問が残ります。
ALL or NothingなのかALL INなのかと、目標金額は密接に関わってくるところです。
ちなみに初めてのプロジェクトは100万円でも高額の目標らしいです。初回を成功できると2回目以降は前回の支援者へプロジェクトの案内することができるので有利だとクラファン事情に詳しい方に教えてもらいました。
複数回のプロジェクトを考えているなら初回は確実に達成しなければいけないとも言えます。
またクラファン事情に詳しい方に教えてもらったのは、例えば支援者数60人で支援金額60万円みたいな達成の仕方は力技の臭いがするそうです。そう聞いても僕はピンとこなかったのですが、知り合いにお願いしまくって買ってもらって身内の力だけで達成できたようなケースなのかもしれません。
達成は達成ですが、拡散という視点からみると確かに成功とはいえないかもしれません。
そういう目で過去のプロジェクトを分析すると、失敗だけでなく自爆(自分で支援)っぽい達成も意外に多くて震えました。反面教師にするつもりで分析しないと挑戦する気がそがれてしまうので気をつけてください。
結局、何を目指してクラウドファンディングをやるのか?ここを明確にしてからやらないと、本当の意味で成功できたかどうかはよくわからなくなるということです。
買います!と宣言をした人が買わない法則
こちらから特にお願いしたわけではないのに前のめりで「買います!」と言ってくださるのは嬉しいのですが、そういう方に限って実際には買わないことって大いにあると思います。今回のプロジェクトは限定300本だったので気持ちはあったけど間に合わなかったんだろうと思うことにしています。
何を言いたいのかというと、みなさんいろいろな事情があるのでお願い分だけで達成を目指すのは難しいと思った方がいいんじゃないかなということです。
そもそもお願いだけで達成できるならクラファンじゃなくてオンラインショップで販売すればいいですしね。だってmakuakeの手数料は決済手数料を含めると20%です。自力で集めることができて、資金調達だけが目的なら自前のオンラインショップで販売する方が間違いなく効率的です。
追加リターンでALL inの難しさを噛みしめる
ALL or Nothingのプロジェクトなので達成できるかどうか?にフォーカスして支援をお願いしていました。だから完成を目指すお酒自体に価値・魅力があることは言うまでもないという前提に立って、このお酒が他のものよりも美味しいとか価値があるといった主旨の発信は当初からしていませんでした。
当初の完成本数より増産したのではなく、クラファン達成後に実際にお酒の量を計って瓶詰めできる正確な本数がわかったので、その分をリターンに追加したからですが追加分にはお願いする大義名分がありませんでした。
同じプロジェクトでも達成後の追加分はALL inのようなものと捉えて、誰に・何をPRするのか?さらにそのタイミングまで考えておかないと苦しくなります。
また開始から3日間のプロジェクトページのアクセス数は8,495pv(平均2,800pv/日)だったのに、リターンを追加した6/11のアクセス数は354pv。リターンを追加するタイミングを逃してしまい8分の1程度に落ちてしまいました。
1つのプロジェクトでお祭りのような盛り上がりを2回作るのは至難の業だということがよくわかりました。
ALL inのプロジェクトはこういうものを作ります。よかったらクラウドファンディングで買ってくださいということでしかないのかなと思っています。だから新商品に対する市場・世の中の反応をフラットに見たい場合には、ALL inはいいやり方だと思いますが、達成・完売を目指す実行者の意気込みは伝わりにくいです。僕が今回のプロジェクトをALL inでやっていたら同じような結果にはならなかったと思います。
傍目にはALL or Nothingに潔さを感じるかもしれませんが、リスクを回避しようとするしたかかさも感じます。ALL inって目標金額を達成できなくても支援があった金額は受け取れるので、ALL or Nothingのような失敗のリスクはありません。
逆に1つでも支援があるとリターンをお届けしなければいけないというリスクがあります。もしALL inで目標1,000万円で200万円集まる結果になったら、引くに引けなくて大変なことになりますからね。メーカーではない僕の立場なら大きな在庫を抱えることを意味します。
ゴールの設定が甘かった
- ①設定した目標金額以上の支援金額を期間内に達成
- ②100万円以上の支援金額を期間内に達成
※期間内|平成30年2月29日から応募申請日までの間(締切2019年5月8日)
※平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
という、ものづくり補助金の2つの加点基準をクリアできたのにまったく活かすことができませんでした。僕は貧乏性なので、ものすごくもったいないと思ってしまいました(苦笑)。
そもそも、ものづくり補助金は試作品を対象とした補助金なので僕のプロジェクトは馴染みませんでした。実行者である僕がメーカー・生産者であれば樽の購入資金など(ミズナラの樽とか)に活用できたかもしれませんが、そうではありません。
これは言い訳になりますがスケジュールがタイトでした。補助金を目指すならプロジェクト開始は夏頃がよかったと思います。まとめると、ゴールの設定が甘かったとしか言いようがありません。
リターン設計編
急遽リターンを追加するのは難易度高
スタート時に予定していた256本が完売したタイミングで追加分の44本を継ぎ目なくプロジェクトページに追加できなかったのはかなり残念でした。
もし、少しずつ支援が増える展開だったら、この辺で達成しそうだからそろそろ223番の樽から一度原酒を出して量を量って、何本作れそうか正確に見積もってとタイミング良く追加分の準備をすることができたと思いますが、3日で達成という予期せぬ展開に準備が追いつきませんでした。
リターンを追加できた6/11まで支援してもらえるものがなかったので、1ヶ月支援ゼロ。
情報発信さえほとんどできない期間が2ヶ月くらいありました。達成できる自信があれば、完成できる本数を詳細に見積もっておいて最初から限定〇本でスタートする方が良かったと今となっては思います。
数字にこだわるなら決済方法にもこだわるべし
クラファンは数字がものを言う世界です。例えば目標金額100万円で1億円達成した場合は、達成率10000%ということになります。
このあたりの「クラファン史上最高額」とか「達成率NO.1」とかで記録を目指すなら目標金額の100万円なんて確実に仕込んでおくべきでしょう。開始〇分で達成という実績を追い風にしてとにかく記録狙いですよね。
僕の場合は終了日目前に駆け込み達成を目指していたので、まったくこの辺を意識していませんでした。
達成してシングルカスク原酒は完売状態なのに思ったよりも支援金額が少ない。なぜ?・・・
理由はコンビニ払い・銀行振り込みがあったからです。コンビニ払い・銀行振込みは決済完了時に支援金額が集計されるので、支援金額に反映されるまでにタイムラグがある上に、1週間の猶予があるのでキャンセルの可能性が高まります。そう考えると友人・知人に確実な支援をお願いするなら即時決済のクレジットが最強です。
メイン以外のリターン設計はかなり難しい
完全にすべったリターンもあります(苦笑)。
メインのリターン(商品)に数量制限があるクラウドファンディングだったので、ほぼほぼ完売した中で1つも売れなかったものがありました。シングルカスク原酒というメインのリターンと、イベントを主催できる権利という僕の泡盛講座を合体させたもので、プロジェクトの本筋からはずれたリターンでした。
シングルカスク原酒2本は約2万円なので、支援金額7万円のうちイベントを主催する権利は5万円ということになります。この5万円という金額はクラウドファンディングという事情を考慮して、また百貨店やカルチャースクールでの過去の実績から考えても高すぎることはないと思って設定しました。
でも結果は・・・おもいっきり惨敗(笑)。
1つも支援がなくても達成にはまったく影響はなかったわけですが、しいて言えば僕の自尊心は深く傷つきました(苦笑)。
こんなの支援する人いないでしょ!と今は鼻で笑っている人でも、実行者になった時には絶対に設定しておきたくなるタイプのリターンです。
余談ですが、7万円と金額が張るので、もし支援が入ったらラッキー!って感じで入れておきました。義理や応援のレベルを超えて、友人知人がご祝儀的に入れてくれる可能性もないとは言えませんしね。
それに、この手の高額リターンを確実に支援してもらえるようお願いしておいて、初速をつけるのは達成への常套手段じゃないでしょうか。高額のリターン1発で達成というのは完全なる仕込みといいます。
このリターンを作らなかったらシングルカスク原酒300本はクラウドファンディングの募集期間中に完売しただろうなと、今となっては思いますね。
本筋から外れていると自覚しているのに入れたのは、達成が危ぶまれたときに自爆(自分で購入)することも想定して作った禁断のリターンだからです。
クラファンのプロジェクトを研究すると100万円のリターンなんかもあります。しかも、どういうタイミングで支援があったのかはわかりませんが、意外にも支援されていたりします。
もし僕のプロジェクトで集まった320万円のうち100万円がそういう高額のリターンによるものだったら見え方ってだいぶ変わってくると思うんですよね(それが良いとか悪いとかという話ではありません)。
この手のリターンに支援が入っていないことは、僕のプロジェクトは仕込みがないことの1つの証拠になっています(わかる人にはわかります)。
このリターンがすべったのは、シングルカスク原酒が欲しい人と泡盛関連のイベントを開催したい人というニーズが大きく異なるところに、どっちがメインなのかわからない中途半端なリターンを作ってしまったことが敗因です。
メイン商品+サブ商品のセットはツボにはまらないとまったく動きませんが、一方で追加分を含めて完売したシングルカスク原酒1本+八重泉泡盛原酒1本は、この2本を飲み比べてみたいというニーズがうまくハマった結果だと思います。
プロジェクトの成功・失敗と目標金額やリターン設計はかなり大きく関わってきますが、僕はクラファンをやってみたいというのが先にあって、企画倒れも経験して3回目で今回の企画にたどり着きました。
もし、作りたいもの・やりたいことが先に決まっているなら自己資金か融資を受けるのか、クラファンなのか、資金調達の選択肢としてクラファンを検討すればよいと思います。
クラファンで集めた支援金額と同額の融資を受けることができるという仕組みをmakuakeと常陽銀行が共同で取り組まれています。支援者が何人いて、いくら集まったということは、融資をする側にとって机上の事業計画よりも信用できる判断材料になるということでしょう。
参考|日本最大級クラウドファンディングサービス「Makuake」と連携する金融機関が100社を突破
情報発信編|SNS対応の情報発信チームを結成
僕ひとりの発信力ではかなり難しい。。
当時はFacebookの友達約1,300人、ツイッターのフォロー600人でした。僕の発信力ではプロジェクトを周知することも難しいと判断して、1人で情報発信することを諦めてプロジェクト開始までの情報発信を友人に協力を求めました。
見方を変えれば、この程度の発信力しかない実行者でもプロジェクトを達成できる可能性があると言えます(苦笑)。
僕の想いに共感してもらえて、SNSリテラシーをお持ちの方に協力をお願いしました。わくわく楽しい大人買い祭りがコンセプトのプロジェクトなので、普段の発信を拝見して過激な内容やマイナスの発信をしない方に白羽の矢を立てました。ときに過激な投稿をする人の方が一撃の発信力があるのかもしれませんが(苦笑)。
楽しめないと情報発信は続かない
大人買いを目指す樽原酒の樽ナンバー223にちなんで(?)、チームのメンバーは23名、そして投稿する時間は14時23分にお願いしました。タイマーをかけてまで時間に合わせて投稿してくださった方もいて泣きそうになりました。
正確には14時23分じゃなくて2時23分だろうと、眠いのを我慢して深夜に投稿してみたもののまったく反応がなかったこともあります。こだわり過ぎるのはよくないという失敗例です(苦笑)。
チームのメンバー用にFacebookで秘密のグループを作って情報共有をしていました。クラファンに挑戦すること自体を秘密にしていたのでプロジェクト開始前の5日間は秘密を共有する雰囲気を楽しんでもらえたのではと思っています。
画像とハッシュタグだけの投稿にした理由
僕が考えた定型文をチームのメンバーに投稿してもらうと、どうしても「頼まれて投稿してます感」が出ます。これが「断れなくて投稿してます感」として伝わってしまうのだけは避けたいなぁと思いました。
かといって各自で文章を考えてもらうのはお手間だし、僕の主旨からずれてしまう危険もあったので画像とハッシュタグだけの投稿をお願いしました。
何かが始まるぞ!感を盛り上げることに成功
早めにネタバレするのは避けたかったので何かはじまるぞ!感が高まる発信に絞った方がいいだろうと判断しました。そこで5日前からプロジェクト開始前日までカウントダウンしていく画像をチームのメンバー23人で発信することにしました。
メンバーの誰かが友人の方を招待したのだと思いますが最初は23名だったチームメンバーは最終的には37名になっていました。ご協力いただいた37名のみなさんには感謝しかありません。ありがとうございました。
情報発信編|SNSとリアルのバランスが大事
リアルイベントは効果大
発信してもほとんど手応えのないSNS(Twitter)もありました。Instagramは投稿にURLを貼れないので、効果的にハッシュタグを使ってURLを貼れるプロフィールを見てもらえるように前々から準備しておけばよかったと思います(達成することがゴールなら情報を拡散できなくても問題はないと思います)。
一方でSNS一辺倒ではなく、リアルイベントとのバランスが大事です。募集期間中にとあるピッチイベントに登壇する機会があって約5分のプレゼン中に会場でスマホから支援をいただいたことがありました。
そもそもリアルイベントに参加してもらうのはハードルが高いわけですが、もし完成品のサンプルがあってそれを試飲してもらえるなら支援していただける確率はかなり上がると思います。
達成すると終わった感が一気にくる
4月5日スタートで4月7日に達成。
プロジェクトの終了日は約3ヶ月後の7月2日でした。達成しても・しなくても募集期間が長いのは忘れられることと飽きられることとの戦いだと感じました。SNSだけの発信方法では飽きられるリスクは高くなると思います。
一般的に終了直前の駆け込み支援は期待できるようですが、終了間際にギリギリ達成できるのか?みたいな展開を見せることができないと、達成できずにあっさりと終わってしまいそうな怖さを感じました。
プロジェクトの終了直前に沖縄でビーチパーリーを開催しました。
これはクラファンとはあまり関係がなく何年も前から計画していたものですが、このイベントまでに達成できていなければ参加者のみなさんに最後の支援をお願いすることも考えていました。対面でお願いできるチャンスなので支援してもらえる確率は高いと思いますが、そこまでギリギリの状況にならなくて良かったというのは本音です。
動画で成功と失敗と気づきを話しました。
クラファン挑戦を検討している方へ
プロジェクト実行者を経験したことがある人には、ニヤニヤしながら、もしくは涙を流しながら頷いてもらえると思っているのですが、いかがでしょうか?
クラファンやる!と宣言した人がやらないの法則
まさに僕がそうです(苦笑)。クラファンをやりたいと思ってからプロジェクトを立ち上げるまで4年かかりました。
これまでにない泡盛の企画を考えて、その泡盛を共同購入するプロジェクトをクラファンで立ち上げたいと思ったのがはじまりでした。共同購入でも実行者は酒販免許が必要になります。当時は酒販免許を持っていなかったので断念しました。
酒販免許を取って第1弾のオリジナル泡盛を造るときにもクラファンでできないか?は検討しましたが、いくつか課題があって諦めました。
makuakeの申込書には、「支援者にリターンを送ることができないときは詐欺罪に問われることがあります」と書いてあります。仕組み上、先にお金を受け取るので、後でリターンを届けることができないとしたら詐欺と言われても仕方がないだけに、一度も造ったことがない(造るといってもPBですけど)泡盛をリターンにするのは怖くて挑戦できませんでした。
クラファンもはじめて、オリジナル泡盛を造るのもはじめて、という2つともはじめてのことを同時にするのは、やっぱりハードルが高かったからです。
今回のプロジェクトは3つ目の企画ということになります。たどり着くまでには渾身の企画が採用されなかったという試練も乗り越えてきました。また複数の酒造所のお酒をブレンドするというアイデアは打診したメーカーさんから許可を頂けなかったので断念しました(この話はもう少し寝かしてから書きます)。
実際にプロジェクトを立ち上げるまでには、物理的・心理的にもいくつものハードルがあります。論理的に考えだすと前に進めなくなる可能性があります。
2018年10月|構想開始
2018年12月|makuakeの審査通過
2019年2月|八重泉さんと打合せ@石垣島
2019年3月|プロジェクトページ作成
2019年4月|プロジェクト開始
今回のプロジェクトは本気で動き出してからプロジェクト開始まで半年でした。半年の準備期間を短いと思うかもしれませんね。実際にやってみるとかなりタイトでした。
でもクラファンをやりたいと思ってから数えると4年経過しています。本気で考えた企画が2回ボツになっているので、それを含めると準備期間4年と考えることもできます。そう考えると全然短くないですよね。立ち上げるときは一気に仕上げないと、いつまでも立ち上がらないということを痛感しました。
クラファンはこれまでの信用をお金に変える装置なのか?
最終の支援者リストを見ていてこんな印象を持ちました。
- 意外や意外な人が応援してくれる(泣)
- 自分の商品・サービスを欲しい人は実際は近くにいない?
データを見ると、支援者277名のうち僕の友人が22%、八重泉さんの関係を合わせると36%でした。人数でいうと100名がこれまでにご縁があった方で、177名の方がクラファンをきっかけにご縁があった方ということになります。
300本限定なので、たまたまこういう結果になったと考えることもできます。もし限定1,000本とかで、それも売り切れたとしたら、支援者の属性は友人知人がほとんどという結果になったかもしれません。
それならこれまでに貯めた信用を支援にかえるものがクラウドファンディングだと考えることもできそうです。
とはいうものの、プロジェクトページの情報だけで支援していただけた方がこんなに多いということは、身近な人よりももっと広いところに情報を拡散することができた結果だと思っています。
僕は、いまもツイッターのフォローは1,000人もいません。それでも達成できるくらいに想いを拡散できるんだからmakuakeのページの力は絶大だと思います。手数料が高いなんて思ったら罰が当たりますよね。
手数料といえば、生粋の関西人の友人からこんなことを言われました。
「クラファンでプラットフォーム(makuakeのことです)に手数料を引かれるなら、手数料分を含めて直接伊藤さんを応援したいと思って、クラファンではなく後からオンラインショップで買おうと思った人もいるかもしれないよ、特に関西人は」
もしそうなら関西に住む身近な人からの支援が想像よりも少なかったことも合点がいきます。
一方で、まだまだクラファンの仕組みをわかっていない人が多いと感じたことがあったので、東京に比べると大阪ではクラファンが浸透していないのかもしれませんね。277人のうち東京が55人、大阪が29人でした。
また、クラファンが成功するかどうかは企画や商品が魅力的かどうか?本質的にはこれだけだと思うのですが、準備をしている間にプロジェクトの良し悪しではなく、実行者である自分の人格や存在を評価されるような感覚に陥るときがありました。
選挙に出るってこんな感じ?汗。そう思うと怖くてできなくなります。
ちょっと〇〇が好きだからこんな企画を思いつきましたなら、失敗しても笑ってごまかせるのかもしれないけど、そうじゃなかったら、本気でやってるならリスクが大きいです。だから、どこかで覚悟を決めないといつまでもできません。
僕はクラファンに何かを賭けるような気持ちで取り組んでいたので、朝起きたときの日課はスマホに入れたmakuakeアプリの確認でした。達成していても募集期間中は心が休まりませんでした。終わってようやくほっとできたことを思い出します(苦笑)。
そこまでガチガチにならないで面白そうな企画を思いついたらすぐやっちゃうくらいのノリの方が結果的にいいのかもしれませんけどね。オンラインショップとは違ってクラファンは状況が丸わかりなので、盛ることもごまかすこともできませんが。
クラファンをするのは何のため??
最終的にはここにたどり着くと思います。今回のプロジェクトのような購入型のクラファンもあれば、泡盛メーカーさんがやっているような投資型のクラファンもあります。投資型は公開した事業計画を元に支援をしてもらうので、集まった金額分のお酒が売れたというわけではありません(そういうものもあるのかもしれませんが)。
だから、クラファンとは別にお酒を売っていく必要があるわけですが、事業計画通りに売れるなんて保証はないわけで(今回のコロナのような非常事態を事業計画に織り込んでいるはずもなく)、投資型は期間が長いので事業計画通りに実行するのは大変だろうと感じます。
その点、購入型のクラファンは資金調達と販売を同時にできます。プロジェクト終了からリターンの送付までの時間が限られているのでリターンの自由度は下がりますが、こと販売という点では支援=商品の購入なので確実です。
余計なお世話ですが、泡盛メーカーさんは投資型だけではなく購入型のクラファンにもっと取り組まれたらいいんじゃないかなと思います。
購入型といえば白百合の池原酒造さんがmakuakeでクラファンをされていました。僕の見立てではコアなファンがいる白百合の古酒ですし、僕のまわりの泡盛ファンがかなり支援しているようだったので自前のオンラインショップでも余裕で完売できたと思うんですけど、購入型のクラファンに取り組まれた理由は興味があります。数量限定のプロジェクトだったので、もし数に制限のない商品だったらどこまで拡散できたのか?にも興味があります。
具体的なアイデアはありませんが次は数量限定ではないリターンでやってみたいですね。クラファンは数字がものを言う世界なので、支援金額〇万円!とかで泡盛の話題を発信する機会を作れないか?に挑戦してみるのも面白そうだと考えています。
その場合は、目標金額分は完全に仕込んでおいた方がいいんでしょうね(苦笑)。
投資型のように資金調達と販売が連動していないと後で大変になるのは想像できますが、購入型で先に販売があるなら連動させて増産するのは何も怖いことはありませんしね。そんなことを妄想しています。
コロナ禍で止まっていたクラファンが動き出す
2019年10月、石垣島での完成記念イベントを終えて、支援者の方に全てのリターンをお送りして、クラウドファンディングのプロジェクトはひと息つきました。
2020年に入って朝日新聞さんに取材してもらう機会がありました。折角の機会なので記事になるタイミングでクラウドファンディングからの気づきをまとめようとしましたが、コロナ禍の鬱々とした毎日の中で手が付けられないままになっていました。
オンラインサロンで実験開始
2020年5月からオンラインサロンで勉強しています。そのオンラインサロンのコンセプトは「実験」で、会費は物納可という、なんでも実験してみようってノリに惹かれました。
僕はクラウドファンディングで造ったお酒を物納することが認められて、晴れてオンラインサロンに入会できることになりました。入会したのは、ツヴォイ式ビジネス実験室というオンラインサロンです。
物納したお酒の1万円という価格だけではなく、完成までのストーリーやクラウドファンディングの体験談を含めた価値を認めてもらえたと感じたので、オンラインサロンでの僕の実験のテーマの1つがクラウドファンディングになりました。
コロナ禍で何をしたらいいのかわからないときだからこそ、普段の自分を発信してみようとサロンメンバーが行動している様子に触発されて、2020年5月15日からFacebookのライブ配信を中心に僕もSNSで情報発信をしています。
毎日発信する中でクラウドファンディングの話を出してみたところ、予想もしていなかった反応がありました。
- 1週間足らずで最後の12本が完売
- noteに書いたクラウドファンディングの記事(無料)にサポートをいただく
1週間足らずで最後の12本が完売
完成したシングルカスク原酒の300本のうち12本がプロジェクト終了後のキャンセルなどの理由で僕の手元にありました。
1本1万円以上するお酒です。クラウドファンディング実施中のお祭り騒ぎの中で売れたとしても、時間が経って忘れられようとしている状況で売れるのかはやっぱり不安でした。
完売までかなり時間がかかると思っていたのに、販売から1週間足らずで完売することができました。検証できていないので感覚的な話になりますが、ライブ配信にかなりの手応えを感じています。
うまく話そうとするよりも素の自分で話す方が興味を持ってもらえる、ぐだぐだになってしまっても面白がって見てもらえる。これは確信に近い手応えを感じています。じゃないとあんなにぐだぐだの情報発信をしただけで、完売できたことが説明できません(苦笑)。
これは基本的に友達とつながっているFacebookならではの特徴だとは思います。Facebookのアルゴリズムはライブ配信を重視しているからテキストや画像よりも拡散力が高いという話も聞きます。
コロナ禍で新しい価値を作れるのか?
オンラインサロンでは新しい価値や価値の置き換えについて勉強しています。価値の置き換えをイメージしやすいように僕を例に書くとこんなニュアンスです。
- 登記をしない司法書士
- 書類を作らない行政書士
- 酒を売らない酒屋 etc
じゃあ具体的にどうしようって感じでしたが、クラウドファンディングからの気づきをnoteに書いたら嬉しいことがありました。
「興味があるので続きを書いてください」と、サポートをしていただきました。しかも1,000円も!
実名じゃないのでわかりませんが、文面から想像すると面識のない方だと思います。有料記事ならコンテンツビジネスってことになるんでしょうけど、これは無料記事。
これもオンラインサロンでの学びなんですが、「知識は、知識そのものを出したい時には価値はなく、相手が欲する時にのみ高い価値を生む。」というのをさっそく体感することになりました。
今回のクラウドファンディングは、希少なシングルカスク(モノ)→大人買い祭り(コト)というモノ消費からコト消費への転換の挑戦でしたが、今回の経験は酒を売らない酒屋という価値の置き換えの大きなヒントになりました。
酒を売らない酒屋が提供できる価値って?
相手が欲する時にしか価値はない
所属するオンラインサロンでこんな学びがありました。
「知識は、知識そのものを出したい時には価値はなく、相手が欲する時にのみ高い価値を生む。」
自分が書きたくてクラウドファンディングの体験をまとめましたが、その情報を欲しい人が現れなければ価値はないということです。なるほどなぁと思い、せっかくまとめるんだから独りよがりの記事ではなく誰かの役に立つ記事を書きたいと考えました。
- クラウドファンディングをやってみたい
- いま企画書を書いている etc
もし僕のプロジェクトに関して、クラウドファンディングについて聞きたいことがあれば質問してください。守秘義務などで書けないことは書きませんが、できるかぎり追記していきます。
「お礼のメール3,000円」や「ただただ応援1,000円」などのリターンは知っていましたし、他のプラットホームのプロジェクトで支援したことがあったので、今回のプロジェクトでも取り入れたいと考えていました。
ただし、makuakeでは具体的な何かがないリターンを設定できなかったので用意することができませんでした。お酒を飲まない方など応援したいけどお酒はいらないという方に向けて支援しやすいリターンを用意できなかったことは機会の損失だったと思います。
目標金額を達成できたかどうか?だけで成功・失敗を判断ができなので難しいのですが・・・。
例えば目標金額500万円を達成できたとします。極端な例ですが100万円の高額リターンを設定しておいて、5人にお願いして100万円×5人で達成できた場合と、1万円×500人で達成できた場合は同じ達成でも意味合いはまったく違ってくると思います。
資金調達が目的なら前者でも問題はないと思いますが、新商品のプロモーションに活用したかったのであれば情報発信という点でみると前者はかなり微妙だと思います。
一方で、支援金額と同じ金額の融資を受けたかった場合は、100万円×5人というのは極端な例ですが支援者数が少なくても目標金額を達成することが重要なので本質的にはOKだと思います。
ご質問の回答になっていないかもしれませんが、成功なのか失敗なのかは実行者がクラウドファンディングを通して何を実現したかったかによって変わってくると思います。
目標金額をいくらにするかに迷うなら第一ゴール、第二ゴールと進捗に応じて段階的に上げていく方法もあります。
ただし、僕のプロジェクトではスタートのときは良い盛り上がりを作ることができたものの、リターンを追加した時にはスタート時のような盛り上がりを作ることができなくて苦戦しました。僕のプロジェクトは1つの樽という上限があったので、第一、第二と目標金額を上げていく手法に向かなかったという事情はあります。
目標金額を達成してさらに上を目指すのは応援する側に一体感が生まれるので支援を集めやすくなると思います。プロジェクト期間中に連続して盛り上がりを作れるのであれば有効な方法だと思います。
オールインを考えているのであれば、達成できなかったとしても実行することができるので少し高めの目標金額にしておく方がやりやすいかもしれません。
発信力のないおっさんでも達成できた秘訣
あらためて今回のクラウドファンディングで生まれた価値(実績)を整理するとこんなところでしょうか。
- 目標金額200万円を3日で達成
- 支援者数277名|34の都道府県から
- Makuake支援額ランキング1位|開始2日目
- ヤフーニュースに2記事掲載
- 経済面のトップ記事に掲載|沖縄タイムス
ただし、この程度のプロジェクトはMakuakeならゴロゴロあります。だから僕が価値だと感じているのは、この2つです。
- 泡盛出荷量が15年連続減という状況の中で達成できたこと
- いち愛好家が立ち上げたプロジェクトだということ
参考|泡盛出荷量 2019年は4.9%減少 15年連続で減る 消費増税も影響
参考|泡盛を全国に広めたい 大阪の愛好家が樽ごと購入へ 希少な原酒の味
法律上はリキュールですが、樽で熟成させた泡盛のプロジェクトです。市場が縮小していても企画次第でできるんだという自信が持てました。
もう1つは、有名企業でもなくインフルエンサーでもない、大阪の泡盛愛好家が実行者になって立ち上げたプロジェクトでもできたってことです。
僕のクラウドファンディングの経験は1回だけです。達成できたのはたまたまかもしれません。でもMakuakeの審査を通過するのはそんなに簡単じゃないです。
企画内容もそうですが、この人が実行者になって支援を集めることができるのか?期限内にリターンを確実に支援者にお届けできるのか?など、厳しく見られます。
ALL or Nothingの挑戦なので失敗する可能性も十分にあります。協力してくださるメーカーさんも名前が出る以上、実行者にならなくてもリスクは大きいと思います。だから企画そのものはもちろんですが、この人が実行者で大丈夫か?という属人的な部分が占める要素もかなり大きいと認識しています。
突き詰めると、僕のクラウドファンディングから得られた価値は「発信力のないおっさんでも達成できたノウハウ」かもしれないと考えるようになりました。
無謀な挑戦に思えてもやってみないと結果はわからないということです。確実に失敗しそうな挑戦に飛び込めない気持ちはよくわかります。だからこそ僕が体験した生の知見には価値があると思いました。
そんなわけで、近畿大学のセミナーのタイトルはこうなりました。
「発信力のないおっさんでも目標金額200万円のクラウドファンディングを3日で達成することができた秘密を全部しゃべります。」
【3日で達成した秘密とは!?】クラウドファンディングセミナー@近畿大学(THE GARAGE)
近畿大学(THE GARAGE)さんでクラウドファンディングの体験をお話ししました。想像よりも活発に質問してもらったのでやりやすかったです。スーツよりハッピの方が質問しやすいのかも?笑
来年早々にプロジェクトを立ち上げようとしてる学生さんが参加してくれたので少しでも参考になったら嬉しいです。
お酒がおまけの個別相談
酒を売らない酒屋といっても、酒を売らない代わりに米を売るという類の話ではありません。
クラウドファンディング体験から得られた知見を元にこんな商品が生まれました。商品のメインは、仕込みなしで目標200万円を3日で達成したクラウドファンディングの実行者として、経験した成功・失敗体験に基づく僕の個別相談です。
この記事で無料で公開していますが、プロジェクトの企画段階や準備期間など、僕の体験に基づく知見を有料でも欲しいと思う人がいるんじゃないか?欲しいと思っている人に情報が届けば、可能性はあるという仮説を立てました。性懲りもなく(苦笑)。
「知識は、知識そのものを出したい時には価値はなく、相手が欲する時にのみ高い価値を生む。」という学びから、相手が欲する時にのみ高い価値を生むのは本当なのか?という実験です。
だから、シングルカスク原酒はおまけです。「で、3日で達成できたお酒ってなんなんですか?」という話になったときに、これです!と見て、触って、飲んでもらうためのおまけ。
お酒はメインではなく、あくまでもおまけです。
いくらおまけと言ってみてもお酒はお酒です。メインを個別相談にしたとしてもお酒を売っていることに変わりはないので、こんなの屁理屈かもしれません。
お酒を売らない酒屋、価値の置き換えといっても、本質は変わらないと思います。
僕が酒販免許を取ったきっかけは、泡盛の魅力を沢山の人に知って欲しかったし、泡盛ファンが増えて15年連続減からV字回復して欲しいと思ったからです。
だから、おまけのお酒を飲んで樽熟成泡盛(リキュールですけど)を美味しいと思ってもらえたり、個別相談から泡盛関連のプロジェクトがスタートすることになったら嬉しいです。
売っているのはお酒じゃなくても結果的に同じことになればいいんじゃないかなと考えました。
おまけのシングルカスク原酒にシリアルナンバーは付いていません。限定300本と宣言しているので一般販売しなかったサンプルです。
限定と言っているのにサンプルがあるのは300本きっちり造るのは難しいこと。それに破損に備えるために少し多めに造ったからです。実際に発送中に破損したことがありました。
クラウドファンディングで絶対に避けなければいけないのは、リターンをお届けできないことです。だから予備は必要です。それに、今回のシングルカスク原酒は移動式泡盛barで飲んでもらうことも考えていたのでサンプルは多くても困りません。
関連|神出鬼没な星空泡盛bar
今回のシングルカスク原酒は焚き火を囲みながら等、アウトドアシーンで飲むことをかなり意識していましたが、プロジェクトの成功にフォーカスしたときにそこは出さない方がいいだろうと判断しました。
これまでの準備期間中に失敗を重ねているので、見えない所で実はいろいろと考えています。
オンラインサロンでの一番の学びは「実験することに価値がある」です。上手くいっても失敗しても、やってみたらなんらかの結果が手に入ります。
シングルカスク原酒は法律上はリキュールですが、実質は寝かせるほどに美味しくなるという泡盛です。もし売れなくても20年古酒になったら泡盛マイスターが熟成させたリキュールとして付加価値をつけて販売することもできそうです。
それなら欲しいという人がいるかもしれません。でもそれを売っているうちは酒屋だってことですよね(苦笑)。
ま、どっちに転んでも本質的な意味での失敗はないと思っています。
個別相談2時間+シングルカスク原酒1本|25,000円(税込)
※zoomを利用したオンライン相談です
※商品ページはオンラインショップにあります
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司法書士・行政書士 伊藤 薫