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【小規模事業者持続化補助金】申請準備から入金までやったこと<低感染リスク型ビジネス枠>

2021年に申請した小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>は補助金が無事に入金されて終了しました。これから補助金を活用したい方の参考になればと思い感じたことを時系列にまとめました。

参考|小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>公式サイト

申請準備 2021年9月~

こんなことをしたいと前から思っていたことに合致する補助金があったというのは言い過ぎですが、こういうことができたらいいなぁとぼんやりと考えていたことがあって小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に挑戦したことでアイデアの解像度が上がって形になったというのが正直な感想です。

申請にはgBizIDプライムアカウントが必要なので、登録していない方は事業計画書の準備と並行して進めておくと良いです。

公募要領の把握と採択者一覧の分析

コロナ禍で売上が落ちていればもらえる補助金ではないので、採択されるためには事業計画書で何を求められているか?を読み解く必要があると思い公募要領にしっかり目を通しました。

とはいえ、どんな事業が採択されているのかの具体的なイメージがわかなかったので過去の採択者一覧をダウンロードしてリサーチしました。PDFデータなので関係するキーワード「司法書士」や「酒屋」で検索して具体的な事例のイメージを膨らませます。

事業計画のコンセプトがある程度形になってきたら今度は事業計画のポイントになる「ファン」、「ブランディング」といったキーワードで採択されている事業を調べました。

採択者一覧では申請者名と補助事業名程度しかわからないので、こういう計画なら採択される可能性があるんだという参考程度に留めて自分の事業に置き換えることが必要です。全く同じ内容では採択されないとどこかに書いてあるのを見た記憶があるので置き換えだけでなくオリジナリティを出すことも必須だと思います。

独りよがりではいけない

補助金に挑戦するのは初めてなので、【専門家】の客観的な感想を聞いてみたくて書き上げた事業計画書を持って大阪商工会議所さんに伺いました。

大阪商工会議所

あんまり自信がなかったのに、これでいいと思いますよという反応で拍子抜けしました。

今回の補助金では商工会議所(経営革新等支援機関)の確認は必須じゃないし、加点にもならないようなので、申請に耐えれる事業計画になっているかどうか程度の基準で回答してもらったのかもしれません。

小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>用というわけではないけど、この書式に沿って書くと伝わりやすくなりますよと事業計画書の雛形を頂いて帰ってきました。この雛形に合わせて加筆修正をして事業計画書を完成させました。

発行してもらった支援機関確認書は申請時に一応、添付しました。

申請は気持ち早めに

人気の補助金は申請期限にアクセスが集中してシステムがパンクすることがあるのでギリギリにならないように早めに申請しました。

それから公募要領が頻繁に更新されるので、下手に事業計画書を寝かしている間に新しい公募要領が出るとまた読まないといけなくなるからです。そう思っていたのに申請直前にも公募要領が更新されていたので都合3つのバージョンを読みました。

「添付書面に不備があった場合、不採択となります」と書いてあるので、添付書面が原因で不採択にならないように公募要領の必要書類のところは読み込みました。それに、長く寝かせたところで良いアイデアが湧いてくることはほとんど期待できませんしね(苦笑)。

結果発表 2022年1月

こういうことができたらいいなぁとぼんやりと考えていたことが事業計画書を書き上げたことで、課題や解決策、さらにはいつまでに何をする必要があるのかが見えてきます。採択されなくても事業計画の一部分は自費でもやろうと決めたので、年末年始は採択されたらラッキーくらいの期待感にとどめて過ごしました。

祝!採択!でもアレがない

採択案件の公表日ははっきり決まってなかったので思い出してはサイトを見に行ってドキドキしていた記憶があります。

採択されてました~嬉しい!

でも交付決定通知書がない。。

これは、いわゆる補正ということになります。

経費の内容に補助対象外経費が含まれていないことが確認できません。

要は、○○一式のような内訳がはっきりしない書き方はNGということです。

言い訳に聞こえるかもしれませんが、どこまで詳細に書く必要があるのかがわからなかったことと、採択されて制作会社と正式に契約してから明確になる部分もあるだろうと思っていたことが理由です。

それに、詳細に書けば書くほど、これは補助対象外経費ですねと言われる可能性があるんじゃないかと不安に思っていたことがぼんやりした表現になっていた可能性があります。補助事業が進んでいく過程で詳細を明らかにしますというやり方は通らないことがよくわかりました。

採択されたからには、すぐにでも始めたいのにお預けを食らうのはやきもきしましたね。詳細を書いたところで減額されることもなく満額で認められたので、書ける範囲で詳細に書いておけば良かったと今は思います。

事業計画書に補助事業のスケジュールを書いているので足止めされるとどんどん補助事業をできる期間が短くなるので気をつけてください。

事業計画書を書く時のポイント

今回の補助金は<低感染リスク型ビジネス枠>なので、コロナ禍やアフターコロナに対応できるように人と人の接触機会を減らしつつも経済活動を維持するための事業を補助しますというものです。

採択されたので具体的に書きますが、「オンライン面談システムを導入した個人ブランディング強化HP」というタイトルで申請しました。

リアル相談会やリアルセミナー、リアル交流会で人脈を作ったり、将来の見込み客と出会うことがコロナ前において依頼が発生する1つのチャンネルでした(わかりやすくするために敢えてリアルと書いています)。

リアル相談会・セミナーの開催は外部団体の意向に左右されること、また主催したイベントで感染者を出すことは零細個人事業主としては致命傷になりかねません。リアルのイベントの開催や参加を自粛することが最大の対策になっていました。

そこで、できなくなったリアルの活動を補完するためにサイトの集客力を上げること、さらには対面でのリアル面談をオンライン面談に置き換えることはやっていかないといけないよなぁと考えていたことだったので、今回の補助金の趣旨とばっちりハマったと思います。

事業計画書を作る上で意識したことは、文章だけではなく、写真や図、数字を効果的に使ってできるだけわかりやすく作ることでした。ちゃんとリアルで活動をしていたことを伝えるために数字で示すだけでなく、メディア掲載の画像を付けたことで信憑性は増したと思います。

  • 郵便局での相談会は2015年から2ヶ月に1回のペースでコロナ前まで開催
  • 140回以上の泡盛イベント・泡盛テイスティング勉強会の開催 etc

事業計画書の通りに実現できるかどうかはともかく、なるほど、それならそういう成果が出るのかもしれないと審査員に思ってもらえるようにストーリーをわかりやすく伝えることポイントになるだろうと感じました。

そこで、現状を把握・分析して課題を見つける、明確になった課題を解決するためにこれをしますということを違和感なく、水が流れるようにすっと入ってくるようなストーリーになるまで事業計画書の文章を練りました。

どこか引っ掛かる・違和感を感じるということなら、考えている事業計画はおそらく申請しようとしている補助金の趣旨に馴染まないのだと思います。無理やりこじつけたところで審査員にはきっとバレバレでしょう。

提出するのはA4で5枚程度のシンプルな事業計画書なので、数字の根拠まで盛り込めません。補助金の趣旨と合致して、違和感のないストーリーがまとまれば、本当にできるの?と審査員が疑問を抱くどころか、審査員にこちらに都合がいいように勘違いさえも起こさせるような事業計画書を作ることもできるように思いました。

この記事を書くためにあらためて事業計画書を見てみると、事業計画書に書いていた令和4年の売上計画はクリアできているので、採択されるかは二の次で本気で事業計画書を書いてみることはおすすめです。

補助事業 実施中 2022年2月~8月

意識していたこと

実際に補助事業を進めるにあたって意識していたのはこの2つです。

  • 事業計画書通りに補助事業を進めること
  • 実績報告に耐えれる証憑を漏れなく揃えること

どちらも当たり前のことですが、採択されるまでは自分だけで進めてきましたが、ここからは相手があることなので手戻りが無いように慎重にという趣旨です。

新サイトの構成は自分だけで考えると独り善がりのものになりそうだったので、専門家のコンサルティングを受けることも補助事業の1つのテーマにしていました。サイト制作をお願いしていた方にもコンサルティングの場に同席してもらって情報を共有してできるだけ手戻りがないように進めました。

証憑(しょうひょう)というのは、ちゃんと補助事業を行ったことを事務局に報告するための請求書や領収書のことです。これが揃わないと最悪補助金がもらえなくなる可能性があるので要注意です。

余談ですが、証憑ってなんとなくおどろおどろしい印象ですよね(笑)。

例えば、開発費の場合は次のような証憑が要ると補助事業の手引きに書いてあります。中には参考書式が掲載されているものもあるので、いつも使っている見積書で足りるのか?二度手間にならないように事前に確認してから正式な見積書をお願いしました。

  • 見積書
  • 発注書
  • 納品・完了・検収
  • 請求書
  • 領収書
  • 成果物

ここは自分でやらないと

今回の補助事業全体で意識していたのは分散→集中でした。散らばっていたサイトを1つにまとめることだけでなく、記事がまとまっていなくて見にくかったものを1つの記事に集約しました。

新サイトの概念図

記事のリライトは補助事業の中でライターの方に部分的にお願いしましたが、自分で手を動かしたものも少なくありません。

1月にドライ・ジャニュアリーというものを知り、家で飲む時間を減らすことに挑戦したのでその時間をサイトリニューアルに使うことができました。1ヶ月禁酒したからといってやめる気も禁断症状もありません。念のため。

7月からやりたいことがあったので、それがいいプレッシャーになって早めに動けたと思います。

新サイトのプレオープン

関係者のみなさんにがっつりサポートしていただいて新しいサイトのプレオープンに漕ぎつけました。ありがとうございます!

株式会社ウイザップのハカセさんに提案してもらった4つのサイトのまとめページを作成することで、今後20年位でリソース(時間・気持ち・お金)をつぎ込みたいことを明確に、そしてひとまず形にすることができたように思います。
https://110office.com/

4つのサイトのまとめページ

分散していたサイトは1つにまとまり見た目も良くなりましたがアクセス数は激減しました。URLが変わってしまうこと、jimdoはリダイレクトが設定できないことはわかっていたので仕方ありません。それに今回の補助金はSEO対策は対象外なので変にアクセス数が増加するのはむしろ好ましくないので問題ありません。

実績報告 2022年8月

記事のリライトが終わる頃、新しい挑戦がスタートしました。

7月から認定経営革新等支援機関になるための研修が始まったので、早めに実績報告を完成させたかったのですが予定より早く終わってはいけないという縛りがありました。期間内に完了しないのは問題ですが、早すぎるのも良くないということ。

補助事業完了予定日より1ヶ月以上早く終了した場合は、早く終了した理由と短い期間でも当初に実績計画に記載した目標に対する成果が上がっている理由を記載しなければいけないので、前倒しにするのにも限界がありました。

事業計画書を書いているときは終了時期を正確に見積もることができていませんでした。この辺は慣れもあると思いますが、初めてなので余裕を持たせ過ぎていたかもしれません。

実績報告を書くときに意識したこと

実績報告は様式第8に従ってまとめました。

  • (3)事業の具体的な取組内容
  • (4)事業成果(概要)
  • (6)本補助事業がもたらす効果等

事業計画書の内容の答え合わせをするつもりで書きました。事業計画書から大きくずれているなら何らかの変更申請が要るんだろうと思います。

(6)は補助事業というよりも補助事業が終わってからの展望について中長期的な視点で書きました。

コロナが落ち着いた時期だったことや新サイトのアクセス数が伸びなかったこともあって思うようにオンライン面談の予約は入らなかったのですが、新サイトを知ってもらうために名刺をリニューアルしたり、暑中見舞いでオンライン面談について触れたことなど補助事業以外の活動も記載しました。

こんな感じで大丈夫だろうか?と悩みながら書き上げた実績報告でしたが、終わってみれば重きが置かれているのは実績報告よりも証憑の方だと気がつきます。

修正対応から入金まで 2022年8月~11月

サイトリニューアルと同時にオンライン面談の仕組みを見直しています。新しいシステムを使いこなせるようになりたいので、もしタイミングがあえばモニターになっていただけませんか?特別価格でモニターになっていただいた方に予約決済方法を使ってもらって感想を聞かせてもらえたので実働できていることは確認できました。

泡盛談義でもzoom飲みでもOKです。こう見えて登記や相続、起業関係も詳しいので(笑)、好きなように使ってください!
カード決済の流れの確認したいので、無料ではなく1時間200円(税込)です。保育園の送迎がなくなって空いた1日1時間をオンライン面談の時間に充ててみました。

といっても事業報告書については特にありませんでした。どちらかというと補助金を支払うために必要な書類が足りているか?という点に重きを置かれています。

補正ラッシュ。。

修正対応のお願いは計3回ありました。いわゆる補正です。

1回目は8月26日。

手引きでは領収書があれば足りると思ってしまうような書き方だったので、受け取った領収書のPDFデータを添付していましたが振り込みが確認できる通帳のコピーも必要だったようです。他には専門家に支払う報酬が妥当かどうかを確認するための資料を求められました。

全体を通して不足していたものを求められるものばかりだったので、これならすぐに対応できると思ってその日のうちに対応して、まあ大丈夫だろうと思っていたのに全然返信がない。上手く申請できていないのかなと心配になっていた頃・・・

2回目は10月7日。

事務局からメールがあって入金かと思ったらまた補正でした。前回送った資料で足りないと言われたら何を提出すればいいんだ?と思いながらメールの内容を読んでびっくり!

前回のとは関係のない新たな視点からの修正でした。。

普通は前回書いてないところは問題なくクリアできていると思いませんか?

しかも今回の指摘は簡単じゃありません。具体的な内容は割愛しますが、○月時点で○○していたことを証明してくださいという内容。その時に言ってくれれば簡単だけど遡って証明するのは難しい。

それに、僕が提出したもので納得してもらえなかったらまた1ヶ月以上も伸びるのは耐えれないと思い、具体的にどんな資料が必要ですか?と事務局に連絡しました。

なお対応期限は1週間です。週末に対応できるようにという事務局の親切心なのか?修正対応のメールは2回とも金曜日の午後に来ました(多分違うと思う)。

3回目は10月19日。

2回目からあまり時間が空いていないのは前回からの続きだったからです。

こういう資料ならありますがこれで足りますか?とストレートに事務局に確認しました。

これがないと上席が納得しないと思いますので提出してくださいといったやり取りを事務局の人としていると、申請はオンラインでしかできませんが審査は生身の人間がいているんだなぁとしみじみと思いました。

自分の考えが正しいと思っていても優先したいのはできるだけ早く入金されることと、これ以上の修正がないことなので素直に対応させていただきました。補助金をいただくということは思っていたよりも簡単じゃないということが身をもってわかりました。

証憑は開発費、専門家指導・・・とフォルダを作っておいて入手できたものから保存していたので、提出するときに探す手間が省けて楽でした。

記事のリライトはリライト前後のファイルが上手く圧縮できなかったので何回かにわけて提出する必要があって手間でした。リライト後に記事を統合したものがあってわかりにくかったので、リライト前後の対応表を作ったおかげなのかリライトに関しては特に修正依頼はありませんでした。

証憑は多すぎる位が良さそう

補助事業の手引きに書いてない余計なものを添付すると事務局の負担が増えて審査に時間がかかるかと考えて必要最低限の書類を添付することにとどめていましたが、付けれるものは付けておいた方が審査は早く終わったかもしれないと今は思います。

修正対応が完了して精算払請求書を申請したのが11月1日。1週間以内に振り込みますという支払通知が届いたのが11月21日で、24日に無事に全額入金となりました。ありがとうございました。

申請したのが2021年10月21日だったので約1年間の補助事業でした。

修正対応はないにこしたことはありませんが、こればっかりはやってみないとわかりません。事前に確認ができればスムーズかもしれませんが、革新的だったりオリジナリティのある補助事業ほど事務局もどんな証憑で足りるのか?即答するのは難しいと感じました。

自己資金だけじゃなくて借り入れを行っている場合は入金日がどんどん後ろにずれていくのは気が気じゃないと思います。

ここからが本番 2022年12月~2023年8月

小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>は事業実施期間終了から1年間の事業効果などの状況について報告をする必要があります。

期待していた効果が得られなかったとしても返金を求められることはないと思いますが、2/3を補助してもらえたとはいえ自己資金も使っていますし、時間も相当使いました。

今回は幸運にも補助金をいただくことができましたが、補助金を活用できなかったとしてもここ数年以内にやりたいこと、やらなくちゃいけない本質的なことを事業計画書にまとめたつもりなので、事業計画書に書いたことは楽々達成できるように頑張ります。

2023年9月、事業終了後1年間(2022年9月~2023年8月)の事業効果状況報告書を提出しました。

定量的には目指していた数値は達成できませんでしたが、こういった成果・動きがあります。

泡盛や酒販免許分野での専門性をPRできるホームページが完成すること、かつWEB予約・決済システムを構築することで、全国を対象にお酒に関連する企業に特化した新規受注(免許申請、クラウドファンディング・補助金などの支援業務)を見込んでいた中で、補助金などの支援業務を増やすべく研修を受講し、認定経営革新等支援機関(第78号)の認定を受けたことは、今後につながる1つの成果です。

こちらはもっと早く始めるべきでしたが、SNSからホームページへの流入を増やすべく、事務所のInstagramを開設して読まれているコンテンツを再編集して終活をテーマに情報発信を開始しました。

せっかく頂いた機会なので、事業計画の実現に向けて継続して取り組んでいきます。

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司法書士・行政書士 伊藤 薫

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