エンディングノートというネーミングなので当たり前のように紙媒体をイメージしますが、ネットバンキングやSNSがライフラインになっている現在では、ノート(紙)だけで完結させるのは無理があるのかもしれません。
エンディングノートは手書きしないといけないと思いこんで、それが書けない理由になっているとしたらもったいないです。必要な時に必要な情報が確認できるならパソコンなどを活用してもまったく問題ありません。
目次
エンディングノートは紙とデータのハイブリッドをおすすめします
ネットバンキングやSNS等のID、パスワードはデータで管理する方法が都合がいいので、エンディングノートは紙にこだわらない方が使い勝手が良さそうです。
ただし、亡くなった後に確実に確認できるようにするためにはスマホやパソコンのパスワードを紙のエンディングノートに書いておく等、データと紙のハイブリッドで管理することをおすすめします。
エンディングノートは紙じゃないとダメですか?いまどき手書きって?
エンディングノートは紙媒体のイメージがありますが、ネットバンキングやSNSのアカウントの情報を整理するならやっぱりデータが便利だと思います。
こういった情報の整理はエクセルやパスワード管理アプリを使っている方が多いと思います。
ただし、データ(デジタル)で作ったエンディングノートをどこに保存するのか?は考えものです。
家族が確認したいときに、スマホやパソコンを開くことができないとデータで保存されたエンディングノートを確認することができません
スマホはパスワードロック機能があることで、専門の業者に依頼しても開くことができなかったり、費用や時間が掛かるので断念するケースも多いようです。
パソコンはパスワードを解除する方法が複数あるらしく、スマホに比べるとまだ確認しやすいようです。
ポイント
IDもパスワードもわかるからといって、他の相続人に断りなく、例えば自分の口座に送金をするのは、相続人の一人がキャッシュカードでお金を引き出しても問題ないのか?と同じ問題をはらんでいるので注意が必要です。
ネット銀行の場合は口座の存在がわかれば、一般的な相続の手続きで解決することが可能です。
亡くなった後に家族が確実にデータを確認できるようにしようと思うと、紙のエンディングノートにスマホやパソコンのパスワードを書いておく等、紙とデータのハイブリッドでパスワードを管理しておく方法が安心かもしれません。
紙でパスワードを管理する方法が月報司法書士No.623で紹介されていました。
- ① 紙にパスワードを書いて、その上に修正テープを貼っておく
- ② パスワードを確認するときは修正テープを削る
これを財布に入れておけば、生前は家族にパスワードを知られる心配がある程度回避できそうなので良い方法だと思いました。
コラム|死んだらfacebookのアカウントはどうなる?
亡くなった後にfacebookのアカウントをどうするかは、前もって設定しておくことができます。知ってましたか?(2024年3月時点)
①追悼アカウントとして残す
②完全に削除する
追悼アカウントというのは、facebookの利用者が亡くなった方を思い出して偲ぶための方法です。僕は追悼アカウントを残す設定にしています。
といっても追悼アカウントの管理人を前もって登録しておくだけ。簡単ですよね。
ただし、管理人はfacebookの友達からしか選べません。
管理人はこちらが一方的に指定するだけで相手の承諾は不要です。だから、実際に管理人として動いてくれるかどうかは別の問題です。
こんなことを誰にお願いしたらいいんだろう?と迷ってしまったので、とりあえずは相方を管理人にすることにしてfacebookで友達になりました。夫婦で友達になるのはちょっと嫌な感じ(苦笑)。
追悼アカウントの管理人を指定するタイミングで、管理人に指定した相手にメッセージを送ることができますが、これは任意です。
Facebook では、自分に何かが起こった場合に、メインのプロフィールを管理するために従来の連絡先を選択できます。
あなたは私のことをよく知っていて信頼しているので、あなたを選びました。これについて話したい場合はお知らせください。
Chromeの翻訳機能で翻訳
追悼アカウントの管理人を指定すると、facebookから指定された管理人に「○○さんがあなたを自分のFacebook追悼アカウント管理人に指定しました。」と自動的に通知されるようです。
伊藤 薫さんがあなたを自分のFacebook追悼アカウント管理人に指定しました。
伊藤 ○○さん
伊藤 薫さんがあなたを自分の追悼アカウント管理人に指定しました。つまり、伊藤 薫さんが亡くなってアカウントが追悼アカウントになった後、そのプロフィールを管理するためにあなたが選ばれたということです。このことについて伊藤 薫さんと直接会ってお話しされることをおすすめします。追悼アカウント管理人は、新しい友達リクエストに回答したり、プロフィール写真を変更したり、タイムラインのトップに投稿を固定することができます。固定された投稿は葬儀の詳細などをコミュニティに知らせるために使用されることがよくあります。
追悼アカウント管理人について知っておくべきことがいくつかあります: 追悼アカウント管理人は追悼アカウントにログインしたり、その人の名前で投稿したり、メッセージを見ることはできません。 追悼アカウント管理人は、投稿を許可する人や投稿のプライバシー設定の管理、投稿やタグの削除など、亡くなった方のプロフィールへのトリビュート投稿を管理できます。
追悼アカウント管理人として行動するには、まずアカウントを追悼アカウントにする必要があります。亡くなった方のアカウントを保護する一番有効な方法は、できるだけ早く追悼アカウント移行に関するリクエストを送信することです。これによりアカウントの安全が確保されます。自分の追悼アカウント管理人の設定方法について詳しくは、こちらをご覧ください。よろしくお願いいたします。
Facebookチーム
直接会ってお話しされることをおすすめします。と書いてありますが、すぐに何かしなければいけないわけではなさそうです。
追悼アカウントも削除も設定していなかったらどうなる?
亡くなったことを証明する書類と委任を受けていることを証明する書類を送ることで、家族がアカウントを削除することができるようです。
例として次のような書類が紹介されています。
- 死亡診断書
- 遺言状および遺書
- 葬式のしおり etc.
例えば、ID・パスワードを書いておいたエンディングノートがfacebookのアカウントを削除する委任状になるのかは大いに疑問があります。それに「すべての財産を長男Aに相続させる」と遺言に書いていたとしても、追悼アカウントとして残すのかアカウントを削除するのかはわかりませんよね。
facebookに問合せて亡くなった人のパスワードを教えてもらえないの?
こんな記載があるので、相続人でもパスワードを開示してもらうことは難しそうです。
「このような状況でも、第三者のアカウントのログイン情報は提供できませんのでご了承ください。いかなる場合であっても、第三者が別の人のアカウントにログインすることはMetaのポリシーに違反します。」
出典|facebookヘルプセンター
英語が微妙な日本語に訳されたような、違和感のあるヘルプセンターの記事からの情報なので、少々正確さに欠けます。もし解釈が違っていたらすみません。
亡くなった後に、こうしたいという希望があるなら気づいたときに設定しておきましょう。
まとめ
亡くなった後のfacebookをどうするかは前もって設定しておくことができます。
①追悼アカウントとして残す
②完全に削除する
ただし、設定したところで亡くなったことを誰かがfacebookに連絡してくれないとどちらにもなりません。
追悼アカウントの管理人に指定されても実際に管理人として行動するかどうかはその人の自由なので、管理人の権限を一方的に与えることができるだけと理解しておけばいいと思います。
だから、管理人の責務を全うしてもらいたければ前もってきちんとお願いしておかないと無理だろうと思います。
元気な時はこういった類の面倒なことはついつい後回しにしてしまいますが、とっても痛かった○○のおかげで(苦笑)、facebookの追悼アカウントの設定で終わらず、体調管理について意識したり、生命保険を見直すきっかけになりました。
コラム|死後にSNSを削除できるサービス
エンディングノートの中には、facebookやTwitterといったSNSのIDやパスワードを書いておくとともに、もしものときには「削除を依頼したい」といった希望を書いておけるものもあります。
ただし、その希望を家族が確実に実行してくれるのかは大いに疑問が残ります。そもそもSNSの投稿は家族にはあまり見られたくない内容だったりしませんか?苦笑。
こうしたニーズに応えるべく、もしものときにSNSのアカウントを削除してくれるサービスがあります。こういったサービスの1つが「ラストメッセージ」で、あらかじめ自分で決めておいた人(バディ)が、もしものときには削除をしてくれるという仕組みです。
※2024年現在、サービスの内容は一部変更されているようです
アカウントの削除はあくまでも主な3つの機能の1つで、ラストメッセージにはこういった機能があります。
- 見守りメール
- 家族への伝言システム
見守りメールというのは、定期的に配信されるメールマガジンを閲覧することで安否確認をしてもらえるサービスです。
もし一定期間、見守りメールが閲覧されなければ運営会社からバディに連絡が行き、バディが「異常あり」と判断すると、運営会社から機密ファイルを開く鍵がバディに提供されます。バディは機密ファイル内のデジタルデータで作成したエンディングノートを家族に引き継ぐ(家族への伝言システム)ことになります。
エンディングノートは紙媒体をイメージすることが多いのですが、エンディングノート的な機能をオンライン上で構築したサービスというわけです。
この時代に紙媒体のエンディングノートはそぐわないのでは?と感じたことがラストメッセージを開発するに至ったきっかけのようです。面白いサービスだと感じましたし潜在的な需要はかなりあるだろうと思います。
機密ファイルのセキュリティは気になるところだと思いますが、デジタルデータならエンディングノートを書いてみようかなと思った方には検討に値するサービスではないでしょうか。
しかし、気になるのはバディ。誰をバディにするか、みなさんは簡単に決めることができそうですか?
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司法書士・行政書士 伊藤 薫