もしものときに思いを馳せることで自分よりも家族、特に親のもしものときについて考えてしまう方は多いと思います。
僕は成年後見人の経験から親にエンディングノートを書いて欲しいと切実に思っていました。さて何と言ってさてエンディングノートを渡そうか?
考えがまとまらないうちに、思いもよらない展開に。
僕の失敗談
仕事中に携帯が鳴る。山形に住む父からでした。
携帯に電話がかかってくるなんて珍しいなと思いながら出ると、なんだかシリアスなトーン。
父「いま電話大丈夫か?」
僕「大丈夫だけど。」
父「(いきなり本題に入る)昨日のことだけど・・・」と少し間が空く。
このタイミングで携帯にかけてくるということは、誰か亡くなったなと確信しました。でも、祖父母達は全員他界しているし、誰?誰?と親戚の顔が浮かんでは消える数秒。
父「昨日のことだけど・・・、Amazonから差出人不明の荷物が家に届いて・・・」
僕「???」
父「身に覚えがないし、気持ちが悪いからAmazonに問い合わせてみたけど、送り主は個人情報の絡みで教えてくれなかった。」
僕「???・・・開けてみた?」
父「開けてみたら、エンディングノートとかいうのが2冊入っていた。差出人不明でエンディングノートが送られてくるなんて気持ちが悪くて・・・」
正直そんな電話だとは思ってもみなかったので、誰も亡くなっていないという安心感と、想定外の展開にこみ上げてくる笑いをこらえるのに必死でした。
笑いをこらえながら話しを聞いていると、父はさらに続けます。
父「俺のクレジットカードが不正に使われたわけじゃなくて、支払いは送り主の方で済ませているみたいだけど、勝手に送りつけてきてあとで請求してくる詐欺があるとか聞いたことがあるから、さっき消費者センターに念のためにも電話してみた」
僕「・・・、それ俺が送った・・・」
父「お前か?」と安堵とあきれた感想が入り混じったような声。
父「Amazonから電話があったか?」
僕「ないけど・・・」
Amazonは、送り主に確認してまた電話すると父に伝えていたようです。
僕「エンディングノートの他にも本が入ってなかった?」
父「見てない」
ちなみに読みやすいように標準語で書いていますが、やりとりは完全なる山形弁です(笑)。
実は両親に1冊ずつエンディングノートを渡そうと思いながら、大阪の本屋で買ってわざわざ山形まで持って帰るのもなんだかなと思い、年末に実家で読もうと思っていた本と一緒にAmazonで買って実家に送っておいたのでした。
買う時にいつもの送り先を自宅から実家の住所に変更したけれど、まさか送り状に僕の名前が一切記載されないとは思いもしませんでした。

それに、実家に帰省する時は宅急便で荷物を送ることが多いので、いつもと同じように受け取っておいてくれるものとばかり思っていたので父が開けてしまうのは想定外でした。
消費者センターに電話をした時に「身に覚えのない荷物は案外お子さんが黙って送ってきていることがあるんですよ」といわれて、念のために僕に電話をしてきたみたいです。
手荷物で持って帰ればいいところを送ってしまったがために、差出人不明の荷物で送られてきたエンディングノートは、父の中ではこんなイメージのものになってしましました。
- 不幸の手紙(汗)
- デスノート(大汗)
伝票の日付からするとおそらくクリスマスに届いたような気がします。なんてこった。両親の穏やかな日を縁起でもない日にしてしまったことを反省しました。
ご両親にエンディングノートを書いて欲しいと思っている方はくれぐれも渡し方にはご注意ください。僕の失敗を教訓にしてエンディングノートを渡すときは面倒くさがらずに最後まで手渡しでいきましょう。
とはいうものの。渡しただけ、もらっただけで安心してそれで終わってしまうことも多いような気がするので、あえてインパクトのある渡し方をするのもアリかもしれないですね。←自己弁護に必死
それから数年後に両親が僕達家族が安心できるエンディングノート(の要素が詰まった手紙)を書いてくれたのですが、このときのエンディングノートは使ってなかったということをここに書いておきます(汗)。

親と一緒に過ごせる時間を計算してみた
「もしものとき」に想いを馳せると、自分のことよりも親のことを考えてしまうという方は多いのではないでしょうか。既に亡くなられていて思い出す人も多いと思いますし、ご健在でも離れて暮らしていて、年に数日しか会えなければなおさらかもしれません。
僕の両親も山形で暮らしていてお盆と年末年始くらいしか会えません。そんなことを思うと、親が元気なうちにいったいあと何回くらい会えるのかな?なんてことをしみじみと考えてしまいます。
「親が死ぬまでにしたい55のこと」に60歳の親と一緒に過ごせる時間は?という試算が紹介されていて、実際に計算してみたらあまりの少なさに愕然としました。

「親が死ぬまでにしたい55のこと(親孝行実行委員会/アース・スターエンターテイメント)」には、こんな計算が載っています。
たとえば、親と離れて暮らしている場合。(中略)
あなたと親が一緒に過ごせる時間は1,320時間。日数にすると、わずか55日間。親が死ぬまでにしたい55のこと
これは20年(親の残された寿命)×6日間(1年間に会う日数)×11時間(1日で一緒にいる時間) =1,320時間という仮定の元の試算です。
親が60代で盆正月にしか会わなければ概ねこんなもんなんでしょうね。6日間というのも過去10年間の自分自身を振り返ってみればよくわかります(^o^;)
「そのうち、そのうち」なんて言っていると、親と一緒に旅行するチャンスも失くしてしまうかもしれません。たとえ1泊2日の旅行だとしても6日間が8日間になるので20年の間には大きな違いですよね。

そういう僕もしばらく家族旅行に行けていないなぁと、この写真をみて自覚しました。
- 時間は有限ということ
- チャンスはいつまでもないこと etc
こういうことを意識できる・再確認できることも「もしものとき」に真剣に向き合うことによる効果です。
親と一緒に過ごせる時間の計算式が載っている本を8年ぶりに手に取ると、時間は8年分確実に少なくなっていました。コロナで帰省できなかった2年間のことは当然計算式に考慮されてないし。マスク生活で大丈夫かなと思ったけどやっぱり電車の中で読んだらダメな本でした。#親が死ぬまでにしたい55のこと pic.twitter.com/pvBJXHroRS
— 伊藤 薫@泡盛バカの司法書士 (@itokaoru3) February 18, 2022
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司法書士・行政書士 伊藤 薫