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遺言を書いてみようと思ったときに読むページ

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遺言に関係する記事を読んだり、まわりから相続の手続きが大変だったという話を聞いて・・・

  • 遺言を書いておいた方がいいのかな?
  • 書いておきたいけど書き方がよくわからないなぁ
  • エンディングノートに書いておけばいいの? etc

遺言が気になっているけどわからないことだらけで不安を感じている方に向けて、相続専門の司法書士・行政書士がまとめた記事です。わかりやすさを優先してできるだけ専門用語を使わずに書いていますが、最新の情報や相談の現場から得られた知見(相談実績1,000件以上)にもとづいていますので安心してお読みください。

目次

遺言とは?

遺言(ゆいごん、いごん、いげん)とは、日常用語としては形式や内容にかかわらず広く故人が自らの死後のために遺した言葉や文章をいう。日常用語としてはゆいごんと読まれることが多い。このうち民法上の法制度における遺言は、死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされている(民法960条)。

ウィキペディア

遺言はウィキペディアではこのように説明されています。読み方は「ゆいごん」でも「いごん」でも好きに読んでいただいてOKです。

本記事では民法で定める方式の遺言について書いています。この章を読むことで遺言の基本的な知識とエンディングノートとの違いを知ることができます。さっそく見ていきましょう。

遺言でできること

民法で決められたルールに従えば遺言に書く内容は自由です。ただし、法的な効力を持つのは「法律で規定された事項」に限られます。遺言は遺言を書く人の一方的な意思なので、できることは以下のように限定されています。

  • 相続分の指定や遺産分割方法の指定など相続に関すること
  • 遺言執行者の指定や 祭祀承継者(先祖の供養やお墓を守る人)の指定など
  • 遺贈や信託の設定など財産の処分に関すること
  • 認知・未成年後見人の指定など身分に関すること

┗ 子供がいないので、全財産を配偶者に相続させたい
┗ 老後の面倒をみてくれる子供に多めに相続させたい
┗ 家族に迷惑をかけてきた子供には相続分を少なくしたい

法定相続分と異なる割合で遺産の分配ができます

┗ 遺産の具体的な分け方を決めておいて、遺産分割協議の苦労を軽減させてあげたい(長男には自宅を長女には現金をetc)
┗ 相続人どうしが疎遠のため、争いが生じないか心配

遺産の具体的な分配方法を決めることができます

┗ 面倒をみてくれた息子の嫁にも遺産をあげたい
┗ 相続人がいないので、お世話になった方に遺産をあげたい

法定相続人以外の方に財産を遺すことができます

┗ 今後、状況が変わった場合・気持ちが変わった場合には内容を見直したい

何度でも内容の取り消し、変更をすることができます

┗ 遺言の内容を確実に実現したい

意思の実現を確実にするために、信頼できる遺言執行者を自ら指定することができます

┗ 婚外子(非嫡出子)を認知しておきたい

生前だけでなく、遺言書でも認知をすることができます

┗ 遺言書作成の動機や心情、財産の分配方法を決めた理由などを記載したい

法律上の効力はありませんが「付言」「付記事項」として記載することができます

遺言とエンディングノートの違い

エンディングノートとは、自分の経歴や思い出、もしものときに連絡して欲しい友人の連絡先、葬儀や墓の希望、尊厳死や延命治療に関する自分の考えなどをまとめておくノートのことです。

エンディングノートの中には相続や遺産分けに関するページがあるものもあるため勘違いをしている人が多いのですが、遺産分けの希望をエンディングノートに書いても遺言の代わりにはなりません。

関連|もしものときに本当に役に立つエンディングノートの作り方

遺言を書いておいた方が良い理由

遺言が【ある】と遺産分けがスムーズ

遺言の有無で不動産や預貯金の名義変更などの遺産分けの手続きにはこんな違いがあります。

  • 遺言が【ある】|原則、遺言の指定どおりに遺産を分けることになります【指定相続
  • 遺言が【ない】|法が定める基準で分けることになります【法定相続

法定相続】は各相続人が受け取ることができる割合しか定められていないため、相続人全員で誰が何を受け取るのかについて協議をし合意をする必要があります。

要するに、遺言が【ない】と相続人全員遺産分けについての話し合いをする必要があるので遺言がある場合に比べて手間と時間がかかります。中には遺産分けの話し合いが非常に困難になるケースもあります。

次に相続人全員を把握する方法と遺産分けの話し合いではどんなことをするのかについて解説します。ここを読んでもらうとほとんどの方が遺言を書いておいた方がよいと思われるかもしれません。

遺言が【ない】と戸籍を集めて相続人全員を調べる必要がある

相続人全員を把握するにはどうすればいいのでしょうか?誰が相続人になるのかは法律で次のように定められています。この順番で相続人になります。配偶者は他の相続人がいるかいないかに関わらず必ず相続人になります。

  • 第1順位|子
  • 第2順位|直系尊属
  • 第3順位|兄弟姉妹

誰が相続人になるのか?は、戸籍を集めて該当する人がいるかいないかを順を追って確認していく必要があります。相続人の見落としをしないために注意しなければいけないポイントをまとめました。

①まずは配偶者を確認します。配偶者がいれば配偶者は必ず相続人になります。

②次に確認するのは子供です。

  • 前婚での子供
  • 認知をした子供
  • 養子

すべての子供が相続人になるので見落とさないように注意しなければいけません。 仮に被相続人(亡くなった方)よりも先に亡くなった子供がいる場合、その子供(孫)が相続人になります。子供を漏れなく把握するためには被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を集める必要があります。

被相続人の最後(現在)の戸籍に子供全員が載っていればいいのですが、生まれた時から亡くなるまでのすべての戸籍を確認しなければ、亡くなった方の子供が「何人」で「誰なのか」ということが分からないという戸籍の事情があります。

文章では理解しにくい部分なのでA夫さんの事例で具体的に見ていきましょう。亡くなったA夫さんには奥さんと二人の子供がいるとします。

  • 奥さん B恵さん
  • 長女 C子さん
  • 次女 D美さん

現在の戸籍

まず、最後の戸籍を見るとA夫さんの他は奥さんのB恵さんしか載っておらず、C子さん、D美さんは載っていません。では、1つ前の戸籍を取ってみましょう。

現在の戸籍

1つ前の戸籍

この戸籍には次女のD美さんは載っていますが、長女のC子さんは載っていません。

1つ前の戸籍

2つ前の戸籍

2つ前の戸籍を取ると、ここではじめてC子さんも載っていました。

2つ前の戸籍

A夫さんの事例では2つの理由で新しい戸籍が作られていました。

  • 転籍|2つ前→1つ前の戸籍
  • 戸籍のコンピュータ化|1つ前→現在の戸籍

新しい戸籍が作られる時に既に亡くなっていたり、結婚で除籍されている方は新しい戸籍には記載されません。そのため結婚でA夫さんの戸籍から抜けているC子さん、D美さんについては現在の戸籍には記載されていません。

こうした戸籍の事情から被相続人の子供を漏れなく把握するためには、被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を集める必要があります。

実はA夫さんとB恵さんは再婚で前の奥さんとの間にも子供がいた。といったことは、亡くなって戸籍を確認してはじめて分かることが意外と多いものです。

被相続人よりも先に亡くなった子供がいる場合、その子供の子供(孫)についても同じように戸籍を集めて漏れなく把握する必要があります。

③子供、孫など直系卑属がいなければ、次に相続人になるのは直系尊属なので、両親(両親が亡くなっていれば祖父、祖母)が相続人になります。仮に養親(普通養子縁組)がいれば、血のつながりのある親と養親ともに相続人になります。高齢で亡くなるほど直系尊属が相続人になる可能性は低くなります。

両親が亡くなっていれば父方母方双方の祖父母というようにさかのぼって戸籍を集めていきます。さかのぼるほどに確実に古い戸籍になるので内容を読み解くのも難しくなります。

④被相続人より先に直系尊属が全員亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人になります。

被相続人よりも先に兄弟姉妹が亡くなっている場合はその方の子供(甥姪)が相続人になりますが、甥姪が先に亡くなっていても兄弟姉妹の孫は相続人にはなりません。

①→④と順を追って戸籍を集めて確認することで相続人全員を把握することができます。

相続人が兄弟姉妹のような相続人全員を把握するために大量の戸籍を集めなければいけない場合は、遺言を作ることで戸籍を集める必要がなくなることも1つのメリットになります。

コラム|遺言があると口座解約もスムーズ

遺言があると遺産分け手続きはとてもスムーズです。

  • ①遺言で定められた遺言執行者として
  • ②相続人から委任を受けた遺産整理業務受任者として

同時期に2つの異なる立場で預金口座の解約手続きをしていてその違いを感じました。2つの違いについて補足すると遺言執行者として預金の解約をする場合、預金を誰が引き継ぐのかは遺言の中で決められています。一方で②の相続人から委任を受けた遺産整理業務受任者というのは、亡くなった方が遺言を作っていないケースです。

遺言があると被相続人の相続人が誰なのかを戸籍で確認する必要がありません。①のケースでは窓口の手続き(約1時間半)だけで全ての手続きが完了したところもありました。これは口座のある支店で手続きをしたという事情も関係しています。金融機関によっては専門のセンターで対応するので、口座のある支店に行ったとしても1回ですべてが終わらないこともあります。

一方、遺言がないと被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍を確認して相続人が誰なのかを確認しないといけないので確実に時間がかかってしまうわけです。必要な戸籍の数が少ないケースもあると思いますが、相続人の見落としは大きなトラブルにつながるので、そうならないように丁寧に確認すれば手続きに時間がかかります。

余談ですが。

  • イスがあるカウンターもあれば、イスがなくカウンターで立ったままのところも
  • 別室でお茶が出てくるところもあれば、カウンターと後ろのソファを行ったり来たり
  • 窓口の確認に時間がかかるところもあれば、窓口はさっと済むけどその後の手続きに時間がかかるところも
  • その後の手続きが1週間くらいでサクっと終わるところもあれば、3週間以上かかるところも

これは相続で預金口座の解約をした時の金融機関の対応の違いです。定型業務と思われる口座の解約にも関わらず金融機関の対応は実に様々でした。

  • 支店で何を聞いても「本部が」「本部が」って内向きなところ
  • いったい何回行かないといけないの?って思うようなところ

中には自分達の確認ミスなのにこちらに再来店を求めるところまで。こういうところの書類に手続きでお困りの方は提携している代行会社を紹介します!とか書いてあると、誰のせいで困っているの?って感じなんですけど(汗)。

金融機関の対応に違いがあるのは当然ですが極端に手間のかかる金融機関はやっぱりあります。普段から何かと手間のかかるところは要注意かもしれません。あまり使わない口座は少しずつ解約しておくのが地味に有効です。

コラム|戸籍から見えてくる真実

古い戸籍から自分のルーツを調べたり、戸籍をもとに自分の家の家系図を作ることがちょっとしたブームになっていると、なにかの記事で読みました。

仕事柄、戸籍を見る機会は多いわりに自分の戸籍はほとんど見たことがなったこと、戸籍の見方のスキルアップも兼ねて(古い戸籍ほど分かりにくいんです)、司法書士になりたての頃に父方、母方ともに古い戸籍を遡れるだけ遡って集めて家系図を作ってみました。

戸籍等は本籍地のある市区町村に請求します。戸籍の本籍地がすべて山形県内だったので大阪から郵送で請求しました。古い戸籍は廃棄されていることもありますが請求してみないとあるのかどうかの回答がもらえません。請求した結果「ありませんでした」という回答だけで郵送費を無駄にしたこともあります。。

そして、根気よく集めた成果がこれです。費用は送料込みでざっと16,000円!

集めれるだけ集めた一族の戸籍

クリップなしで厳密に測っても余裕で1センチ以上の厚さでした。一番古い戸籍には文政二年生まれ、天保十年生まれなんていうご先祖様も載っていました。文政は僕が尊敬する上杉 鷹山公が生きていた時代。天保は・・・天保の大飢饉しか思いつきません。。

名前しか分からないものも含めれば7代前までの家系図が作れました。そして完成した家系図を家族で見ているといろいろな発見がありました。

  • 母も全員に会ったことがなかったので、本当に10人兄弟かどうか怪しかった母方の祖父が10人兄弟の末っ子だったことがはっきりしました
  • 戦死したと聞いていた父方の祖母の兄弟は、中華民国湖南省とソ連カラカンダ州で亡くなったことがわかりました
  • 父方の曾祖母は兄弟と似ていなかったという話になり、戸籍を見ると他の兄弟とは血が繋がっていないことがわかって妙に納得しました

場合によっては、知りたくないことまでわかってしまうのが戸籍です。

兄弟姉妹が相続人になるケースでは集めなければいけない戸籍等の数が増えるのでこの画像以上のボリュームになる可能性大です。戸籍の数が増えればそれを見るのもひと苦労なので10人兄弟なんて強烈です。沢山の兄弟姉妹が相続人になる方はそれだけで遺言を準備しておく理由になります。

遺言が【ない】と遺産分けの話し合いをまとめる必要がある

遺言がなければ相続人全員で誰が何を受け取るのかについて協議をし、合意をする必要があります。この話し合いを遺産分割協議といいます。

相続争いが増加していて、争う家族で「争族」という言葉を聞くようになりましたが、端的に言えば遺産分割協議がまとまりにくいから揉めるわけです。遺産分割協議は相続人それぞれが自己主張をしだすと収拾がつかなくなるおそれがあります。さらに相続人だけではなく、その配偶者や親戚など周りが口をはさんでくることも遺産分割協議が難航する原因となっています。

遺産が現金なら簡単に均等に分けることができまが、自宅等の不動産を均等に分けようと思えば、自宅を売却して得た現金を分けない限りは難しく、まして相続人の中の誰かが自宅で暮らしている場合は、売却することが難しくなります。兄弟に相続分を払うために自宅を売却しなければいけないようなことも考えられます。

私たち夫婦は、数年前から父名義の家で両親と同居していました。最近、父が亡くなりましたが、私は母の面倒を見ながら今後もこの家に住むつもりでした。
ところが、父の葬儀が終わってしばらくした頃、弟が自分の分け前(法定相続分の4分の1)を強硬に要求してきました。

私と母は今後もこの家で暮らしていきたいと考えていますが、父の主な相続財産は自宅だけなので、弟へ相続分を支払うためには自宅を売却するしか手はありません。

家を売らないと弟に相続分が払えない!

自宅を共有するという分け方もありますが、複数人で所有しているといざ売却する時は売買が自由にできないのでなるべく一人で所有する方が望ましいでしょう。かといって、自宅等の不動産を1人の相続人が受け取ることは、他に同じような価値の財産がなければ他の相続人は簡単には納得しないでしょう。

遺産が分けにくい不動産の場合、「誰に相続させたいのか」を遺言で明確にしておくことが残された家族への思いやりになります。子供には遺留分があるため、財産が自宅のみであれば、完全には遺言のとおりにならないこともありますが、故人の意思を明確に示しておくことで、相続人が財産の分け方を納得することにつながります。

不公平なく均等に分けられなくても、相続人が納得できる理由があれば大切なご家族がもめずに済む可能性があるということです。

コラム|一般家庭ほど相続争いが増えている!?

「相続争い 一般家庭ほど」という見出しで日経新聞に司法統計の記事が出ていました。一般家庭ほどどうなのか?というと、一般家庭ほど相続争いが増えているということです。

5千万円以下の遺産をめぐる相続争いが増加している。今年の1~9月に解決した相続争いのうち遺産5千万円以下のケースは全体の約8割を占め、比率は過去10年間で5ポイント高まった。年間の件数も10年間で5割増え、件数がほぼ横ばいの遺産5千万円超とは対照的だ。

日経新聞

理由として考えられるのは、相続がメディアで取り上げられる機会が増えたことで相続する側の権利意識が高まったことや財産が少ない人ほど遺言や生前贈与といった相続対策をしていないことが背景にあると記事はまとめていました。

データを見ると遺産5千万円以下のケースが相続争いの約8割を占めていますが、そもそも遺産5千万円以下のケースは母数が多いと思うので、相続争いの起こる確率は遺産5千万円超と差があるのかはわかりません。ただし、母数が多いだけに「うちは財産が少ないから相続争いなんて関係ないよ」と相続対策(遺言や生前贈与)をしておかないと、相続争いがますます増えるのは想像ができます。

遺産分けの話し合いがすんなりとまとまらないのには、それなりの事情があります。

  • 遺産がわけにくい
  • 相続人の人間関係が複雑
  • 既に不公平感が生まれている etc

亡くなった方が資産家で分け合う遺産が多ければ、平等に遺産を分けられなくても各相続人がそれなりの財産を手に入れることができますが、主な遺産が自宅だけという場合はわずかな不平等であっても遺産分割協議をまとめることは難しいのかもしれません。

遺産が現金だけで分けやすくても相続人間の関係性が薄いと話し合いが難航することがあります。そもそも話し合いをすること自体が難しいケースもあります。またこれまでの不公平感を相続を機に解消したいという思惑が相続人にある場合も話し合いをまとめるのは難しいでしょう。

事件簿|芸能人は相続争いも桁違い

週刊ダイヤモンドのもめる相続という特集にあった「芸能人相続事件簿」で、一般家庭では想像できないような桁違いの芸能人の相続争いを垣間見ることができました。

漫画家の江川 達也氏のインタビューは壮絶すぎて何回も読んでしまいました。インタビューでは江川氏が兄との13年におよぶ相続トラブルを告白しています。

仕事柄、依頼者の言い分を100%信じて行動することは避けるべきという頭があるので、相手方というかお兄さん側の言い分を知らずして書かれていることがすべて真実であると鵜呑みにしてはいけないとは思いますが、仮にこのインタビューに書かれていることが全て事実だとすれば、壮絶すぎます。

財産があるからこその揉めっぷりというのか、実の兄から「カネをよこさないなら殺す」と脅されるなど身の危険を感じるような脅迫を受けていたようで、家族内の相続トラブルの域を超えてしまっている気がします。お父さんの遺産をめぐる相続トラブルということですが、お父さんの生前に江川氏が兄から理由もなく数十億円に上る請求を受けていたとか、相続とは直接関係のない、まさに争う家族の争族なのかもしれません。

争族の原因は相続人だけではなく、相続人の配偶者やその親族までも含んだ問題になってしまうことだと江口氏は言っています。とても説得力がありますが、財産が多すぎることはトラブルに拍車をかけるのは間違いないと感じました。

また、遺言の存在が相続の明暗を分けたという見出しで、江川さんが兄と壮絶な争族になった一方で、女優の萬田 久子氏のケースは遺言があった可能性が高く、争族を回避することが出来たようだと紹介されています。

萬田さんの内縁の夫の100億円以上ともいわれる遺産の行方は?という内容なのですが、相続人は子供だけでいたってシンプルな話かと思えば、子供達5人の関係がやや複雑、いや相当複雑なわけです。これが気になる内容だったので僕なりの見解を整理してみます。

文章では分かりにくいので図にしてみました。5人の子供のうち2人が非嫡出子で法定相続分は次の通り。

萬田久子さんの内縁の夫の相続人

遺産の一部である時価1億円以上といわれる目黒の土地が既に相続による所有権移転登記がされていて、しかも相続人が取得した持分が法定相続分とは異なるようです。子供達が遺産分割協議をまとめたという可能性は低いだろうことから、比較的早い段階で相続登記が済んだ理由としては、遺言があった可能性が高いと記事はまとめています。

確かにすんなり話し合いがまとまるような遺産額でも人間関係でもないように思えるのでおそらく遺言があったと思います。

とはいえ、すぐに売却するにしても不動産をその5人で共有するのはどうなんでしょう?5人が売却手続きに関与しなければいけないのは、なにかと面倒の元。というか遺産が100億円以上もあるなら、共有などと面倒なことをせずにそれぞれに別々なものをあげる遺言を作る方がベターだと思うのですが。

1億円の土地といっても遺産総額の100分の1ですからね。仮に遺言がなくて遺産分割協議をしたとしても1つの不動産を5人で共有するような結果になるとは到底考えられないわけで、どうも腑に落ちない話なのでした。

遺言が【ない】と危険なケースがあります

遺言がなくても特に問題が起きないご家庭が大部分だと認識していますが、中には遺言を書いておかないと危険だろうと思うケースがあります。

遺言がないと問題が起こりそうな人は?【相続クイズ】

遺言を書いておかないと危険(問題が起こりそう)なのはどのケースでしょう?

  • 愛人との間に子供がいる【ケース①】
  • 再婚していて前妻・前夫との間に子供がいる【ケース②】
  • 内縁の妻・夫がいる【ケース③】
  • 亡くなった子供の妻・夫の世話になっている【ケース④】
  • 相続人の仲が悪い・疎遠【ケース⑤】
  • 相続人が高齢【ケース⑥】
  • 子供がいない【ケース⑦】
  • 配偶者に連れ子がいる【ケース⑧】

正解は、①から⑧の全部です。予想通りでしたか?

①から③は、迷うことなく遺言を書いておいた方がいいと思った人がほとんどかもしれませんね。

④は養子縁組をしていなければ、お子さんの配偶者(子供の妻・夫)は相続人にはならないので、財産をあげたければ遺言を書いておく必要があります。

⑤は相続人の仲が悪いと揉めてしまう可能性は高いでしょう(遺言の内容によっては火に油を注ぐ結果になりそうな気もします)。

⑥は急速な高齢化に伴い、遺産分割協議をするための判断能力・意思能力が十分でない相続人が増えています。こういったケースは成年後見制度を利用して遺産分割協議をはじめ各手続きを進める必要があり、年々増加していています。

⑦は一見すると、相続人は配偶者だけで問題は起こらないように思うかもしれませんが、子供がいない場合の相続人はこうなります。

  • 配偶者と被相続人(亡くなった方)の両親もしくは祖父母
  • 配偶者と被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹

お子さんのいないご夫婦は配偶者と両親もしくは祖父母(直系尊属といいます)、兄弟姉妹が相続人になります。どうでしょう?問題は起こらなそうですか?

配偶者の両親だけでなく兄弟姉妹とも仲良くやっているから私は大丈夫と考える人も多いかもしれませんが、配偶者あってこその関係でしょうし、相続はお金の話という一面もあります。そもそも揉めるかどうか以前に、家族の相続の話に他人が入ってくるような感じがしませんか?

お子さんがいないご夫婦は絶対に遺言を書いておくべきだと思います。特に財産はありませんでしたが(苦笑)、僕も子供が生まれる前から遺言を書いていました。

⑧は長年親子のように生活をしていたとしても養子縁組をしていなければ、自分と配偶者の連れ子には戸籍上のつながりがないので連れ子は相続人にはなりません。

取り上げた①から⑧のケースは一般的に問題が起こる可能性が高いというだけで、遺言がなくても特に問題なく遺産分け手続きができる場合がほとんどかもしれません。

大事なことは思い込みで判断しないこと・面倒くさくなって考えることを諦めないこと、正しい知識をもとに遺言を書くかどうかを決めることです。ここからは具体的な事例を取り上げて遺言を書いておいた方が良い理由を解説します。

再婚していて前妻・前夫との間に子供がいる

父の死後、異母兄弟が現れた

父が亡くなって数カ月したころ、突然父の子供と名乗る男性から連絡がありました。その男性は、父と前妻との間の子供だそうで、私とは異母兄弟の間柄ということになります。
私には、父と母が再婚だったことも初耳でしたが、男性は「自分にも父の遺産を受け継ぐ権利はある」と主張しているため、話し合いは簡単にはまとまりそうにはありません。

父の死後、異母兄弟が現れた

突然告白すると何も知らない子供達を困惑させてしまうのでは?とためらわれる気持ちは理解できます。一方でお子さんの立場で考えると、不意打ちをくらうのと知っているのでは雲泥の差になると思います。もしかすると、前婚での子供は相続人にならないと誤解されている方もいるかもしれませんのでご注意ください。

生前に伝えることが難しいなら、残されたお子さん達にわだかまりを残さないように各相続人に配慮しつつ、それぞれの遺留分を確保できるような内容の遺言を準備しておくことをおすすめします。また遺言で非嫡出子を認知することができます。

内縁の妻・夫がいる

ある雑誌の「らしさのある葬儀」という記事で、俳優の故宇津井 健さんのドラマチックなエピソードが紹介されていました。

亡くなったその日に婚姻届を提出。こんな劇的な終活が明らかになった。・・・中略・・・病床で相手の女性に「僕の妻として、お葬式の喪主をしてほしい」と言い残したという。

らしさのある葬儀

お相手の女性とは事実婚状態だったそうです。事実婚では相続人にならないので、婚姻届には自分の妻として財産を受け取って欲しいというメッセージが込められていたのでしょうか?間に合わない場合も想定して相手の女性に財産を遺贈する内容の遺言も準備されていたのかもしれません。

いずれにせよ、なかなか真似のできないドラマチックなエンディングで最期までスターだなと感心してしまいました。

ただし、見方を変えればドラマチックというよりも間一髪と言った方が適切かもしれないので、前もって遺言を書いておく方がベターだと思います。終活や相続対策はむしろ平凡すぎるくらいでちょうどいいのかもしれません。

比較するのは適切ではないかもしれませんが、もし婚姻ではなく養子縁組だった場合。

相続税の計算にあたって、相続人の数に応じた基礎控除があるので、相続人が増えれば課税遺産総額が少なくなり相続税額が減少します。ただし、国税庁のホームページを見ると次のような記載があります。

法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されています。
(1)被相続人に実の子供がいる場合 一人までです。
(2)被相続人に実の子供がいない場合 二人までです。 
ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記(1)又は(2)の養子の数に含めることはできません。 

参考:No.4170 相続人の中に養子がいるとき

なんだか気になることが書いてありますよね。例えば被相続人が亡くなる直前に養子縁組をしたことが「相続税の負担を不当に減少させる結果となる」と認められる場合には、相続人の数に応じた基礎控除の計算にその養子を含めることができないということです。

あくまでも相続税の計算に関してだけで、養子縁組自体が否定されるという意味ではありませんが、宇津井式のようなドラマチックなやり方だと養子縁組に関しては誤解を招くことがあるかもしれません。

亡くなった子供の妻・夫の世話になっている

  • マイホームの頭金を出してもらった
  • 同居して親の面倒をみてきた
  • 介護をした etc

親子間には様々な支援があることが多いと思います。相続人が子供だけなら原則は各相続人が同じ相続割合で相続することになりますが、こういった支援を理由に兄弟間の不公平感を相続を機に解消したいと相続割合を変更する主張をしだすと、話し合いは簡単にはまとまらないでしょう。

相続人であるお子さんが先に亡くなってしまいお子さんの配偶者から介護などの世話になっていて、その配偶者に財産を渡したいと考えている方もいると思います。この場合は遺言に書いておかなければその配偶者は何も財産を受け取ることができません。

長年介護をしてきたようなケースは負担が大きいことから感情的になりやすく、些細なことで大きなトラブルになりかねません。不公平感を完全に解消することはできなくても相続人が納得しやすい内容の遺言を準備しておくことは有効です。

事件簿|養子縁組で得をするのは誰?

相続税の節税を目的にした養子縁組というのは富裕層では一般的に行われているのでいまさら感もありました。はじめは国と相続人間の争いかなと思いましたが、「相続税の節税を目的にした養子縁組は有効か、無効かが争われた裁判」について調べてみると争っていたのは国と相続人ではなく、相続人同士でした。

節税になるなら相続人全員にメリットがありそうなのに、相続人間で争いになるのはなぜなのか?

被相続人(亡くなった方)には3人の子供がいました。そして長男の子供と被相続人が養子縁組をしていて、二人の妹がこの養子縁組の有効性を争うという裁判でした。

そもそも養子縁組をすると節税になる理由は、相続人が増えることで相続人の人数による基礎控除の額を増やすことができるからです。一方で、被相続人の相続税額を減らすと同時に各相続人の法定相続分は減ってしまいます。

ということは、全体として節税になっても兄弟姉妹の家族単位でみると取り分に差が出ることになります。

仮に3人の子供にそれぞれ子供がいたなら3人の子供達がそれぞれ自分の子供を被相続人の養子にすれば良かったのではないか?というアイディアが浮ぶかもしれませんが、実子がいる場合は、養子は1人、実子がいなければ養子は2人しか相続人の人数に応じた基礎控除の対象にならないので、残念ながら養子を3人にしても3人分の節税効果は期待できません。

被相続人の亡くなった時期からすると法定相続人ひとりあたりの基礎控除額は1,000万円ですが、最高裁までの裁判費用などを考えると、実質的な節税効果はどのくらいあったのか非常に気になるところです。

それぞれが養子縁組をせずとも遺産分割協議の中で兄弟姉妹間の取り分を調整する方法もあるわけですが、もはやそういうことができる状況ではなくなってしまったんでしょう。

まわりの理解・協力なくして相続人のひとりが主導する節税対策は、まわりから良くやったと評価されることはなく、出し抜かれたという思いが生まれることがほとんどかもしれません。そして結果的にあまり節税効果を生まないばかりか、兄弟姉妹の関係が修復できないこともあることが浮き彫りになった事例だと感じました。

ちなみに子供が1人で親(被相続人)と子供の配偶者が養子縁組をするケースなら揉める可能性は低いと思うかもしれませんが、子供とその配偶者の夫婦の関係が悪化すれば離婚による財産分与だけではなく、相続人として遺産分割協議をしなければならないなどのまた違った問題が起きる可能性があるわけで、節税対策は本当に難しいですね。

相続人の仲が悪い・疎遠

兄が行方不明で手続きができない

先月父が亡くなったため、相続手続きのために兄と連絡を取ろうとしましたが、兄とはもう5年以上音信不通でしたので、連絡がつかず、どこに住んでいるのかも分かりません。
父の口座から母の生活費をおろそうとしても、金融機関から相続人全員の押印等が求められるため、それすら出来ません。

兄が行方不明で手続きができない

相続人の中に行方の分からない方や連絡がつかない方がいても遺言がなければ、その方を除外して相続手続きを進めることはできません。

どうしても見つからない場合は、行方不明の相続人のために不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てて、遺産分割協議は不在者財産管理人と行わなければなりません。しかも、行方不明の相続人の不利になるような遺産分割協議を行うことはできず、原則は行方不明の相続人の法定相続分を確保するような内容の遺産分割をすることになります。

相続人の中に何年も音信不通の方がいる場合、このような遺言を作成しておくと安心です。

  • 子供等の遺留分がある相続人であれば、将来連絡がとれるようになって他の相続人に相続分を要求されても不都合のないように、最低限の遺留分を確保した内容の遺言
  • 遺留分のない兄弟姉妹が相続人の場合は、その方を除外した相続内容の遺言

また遺産分割協議は全員が集まってしなければならないわけではありませんが、相続人が海外に住んでいる場合は昨今のコロナ禍では思うように移動することができないので、遺産分割協議に非常に時間と手間がかかることが考えられます。相続人の負担を減らすために手続きに時間がかかりそうな場合は遺言を作っておくことが有効です。

相続人が高齢

高齢の母が認知症で手続きができない

父が亡くなりました。遺言書がなかったため相続人である母と私と弟で遺産分割協議をしなければいけませんが、高齢の母は数年前から認知症の疑いがあり、手続きを進めることができません。

高齢の母が認知症で手続きができない

相続人が認知症のため遺産分割協議をするための判断能力・意思能力が十分でないと判断されれば、成年後見制度を利用して遺産分割協議をはじめ各手続きを進める必要があります。こういったケースは年々増加しています。

こうした問題を回避するためには遺産分割協議をしなくてもいいように遺言を準備しておくことが必要でした。

子供がいない

妻に全財産を遺したつもりが・・・

私たち夫婦には子供がいません。両親が早くに亡くなっていたため、親せき付き合いもあまりなく、私にもしものことがあった時には、特に準備をしておかなくても自宅をはじめ財産はすべて残された妻のものになると思っていました。

ところが、私の死後、妻は法定相続人である私の姪から法定相続分を要求されて困っています。今のところ他の相続人である私の兄や甥からは、相続分の要求はありませんが、私名義の預金を引き出すためには、金融機関から相続人全員の押印等が求められるため、相続手続きはすんなりとはいかなさそうです。

妻に全財産を遺したつもりが・・・

被相続人に子供がいない場合、配偶者と直系尊属(親や祖父母)が相続人になります。直系尊属が亡くなっていれば配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。被相続人より先に亡くなっている兄弟姉妹がいれば、その子供が相続人になります(代襲相続)。

このケースではいくら疎遠であっても兄弟姉妹(甥・姪)も配偶者とともに相続人になります。

急速な高齢化や平均寿命が伸びたことで亡くなる方の多くが高齢者になっています。高齢の方が亡くなった場合は直系尊属(親や祖父母)は既に亡くなっていることが多いので兄弟姉妹が相続人になる可能性が高いでしょう。

こうしたケースでは相続人どうしが疎遠だったり人間関係が複雑な場合も多く、遺産分割協議が難航した挙句に放置されることもあります。

兄弟姉妹には遺留分がないため「妻に全財産を相続させる」という内容の遺言を作っておけば、全ての財産を奥さんに遺すことが出来ました。

配偶者に連れ子がいる

自分は相続人だと思っていたのに、実はそうじゃなかったということが起こるのがこのケースです。

私は相続できないの?

私の母は、私が小さい頃に義父(Jさん)と再婚しました。私は、義父を実の父のように思い母が亡くなった後も病気の義父と同居して、看病してきました。
ところが、義父が亡くなってから相続手続きのために戸籍を取り寄せてみたところ、義父と私は養子縁組をしていなかったために、戸籍上はまったくつながりがなく、全ての財産は、法定相続人である義父の姪が相続することになりました。

私はなにも相続できないの?

長年親子のように生活をしていたとしても養子縁組をしていなければ、自分と配偶者の連れ子には戸籍上のつながりがないので連れ子は相続人にはなりません。

相続で連れ子に財産を渡したいと考えるのであれば、子連れで再婚をしたら自分と血がつながらない子の養子縁組をしておくことが必要です。もちろん遺言で法定相続人以外の方に財産を遺すことも出来ます。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを解説!

民法が定めている遺言では「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2つが一般的です。それぞれに書き方のルールが厳格に決められています。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言

まずはそれぞれの特徴を把握しましょう。2つの遺言の違いを次の項目にわけて説明します。

  • 作成方法・特徴
  • 長所・短所

作成方法・特徴

自筆証書遺言の場合

  • 遺言者が日付、氏名、財産の分割内容等を手書き 1)し、押印をして作成する。
  • 家庭裁判所に提出し、家庭裁判所の検認手続が必要 2)となる。

1)財産目録については、パソコンで作ったり不動産の登記事項証明書や通帳のコピーを別に添付する方法も認められています(2019年1月13日から)
2)自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局で保管された自筆証書遺言は検認が不要です(2020年7月10日から)

公正証書遺言の場合

  • 遺言者が、2人以上の証人とともに公証役場 3)に出向き 4)、遺言の内容を公証人に口授し、公証人が遺言を作成する。
  • 文字を書けない方や病床の方も遺言をすることができる。
  • 遺言を作成した公証役場名、公証人名、作成年月日等がコンピューターで管理5)される。

3)「公証役場」とは、公証人が執務をするところで、全国に約300ケ所あります。公正証書の作成、私署証書や会社等の定款に対する認証等の業務を行っています
4)遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合は、自宅等へ公証人に出張してもらうことも可能です

5)平成元年以降に作成された公正証書遺言はコンピューターに登録されており「遺言検索システム」で検索することができます。注)公証役場によってはそれ以前に作成されたものも登録されています。

  • 作成した公証役場名
  • 公証人名
  • 作成年月日 etc

遺言者が亡くなっている場合、相続人・受遺者は公証役場で調査を依頼することができます。相続人が請求する場合は以下のものが必要になります。

  • 被相続人の死亡を確認できる戸籍謄本等
  • 自分が相続人であることを証明する戸籍謄本等
  • 運転免許証等の相続人の本人確認資料

事件簿|お父さんの遺言はこの1通だけなのか?

同居しているお父さんから「自宅はAに相続させる」という内容の公正証書遺言を1年前に渡されたAさん。自宅はいずれ自分の物になるとすっかり安心していました。

ところが、正月に2つ下の弟が「この前、親父に遺言を書いてもらった」と酔った勢いで洩らしたことで、自宅は自分が本当にもらえるのかどうか不安になってしまいました。。

内容が矛盾する2つの遺言がある場合は、作成した日付が新しいものが有効です。

Aさんが気になっているのは、お父さんが書いた遺言は自宅は自分がもらえるという内容のものだけなのか?他にも遺言を書いているならどんな内容なのか?ということです。

当然かもしれませんが、Aさんは弟さんを追及することもお父さんに確認することも出来れば避けたいようです。ただし、公正証書遺言の「遺言検索システム」は遺言者の存命中は遺言者本人のみが検索できるので、お父さんが元気なうちに直接聞くしかないのかもしれませんね。

長所と短所

自筆証書遺言の長所

  • 誰にも知られずに作成できるため、遺言の内容や存在を秘密にできる。
  • 自分ひとりで作れるので簡単
  • 費用がかからない 1)

自筆証書遺言の短所

  • 形式の不備や内容が不明確になりがちで、後日トラブルになりやすい1)
  • 遺言が無効になるおそれがある 1)
  • 紛失(失念)、滅失、偽造、変造、隠とくのおそれがある 1)

1)自宅で保管、貸し金庫に預けている、ご家族以外の親しい知人に預けている、司法書士・弁護士などに預けている etc自筆証書遺言は様々な場所で保管されているので紛失や隠とくが多いことが課題になっていました。自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、日付の記載や押印の漏れなど形式に不備がないかどうかの確認をした上で、問題のない自筆証書遺言が保管されます。3,900円の手数料がかかります(2020年7月10日から)

公正証書遺言の長所

  • 公証人が作成するため、形式の不備等により無効になるおそれがない
  • 原本は、公証役場で保管されるため、偽造、変造、紛失のおそれがない

未曾有の震災だった東日本大震災のときに公証役場で保管されていた公正証書遺言の原本は破損・紛失が1つもありませんでした(参考「東洋経済 8/6号」)。よほど厳重に保管されていたんでしょうか。この事実を知って驚くとともに、公正証書遺言をおすすめしようと思う理由になりました。

公正証書遺言の短所

  • 2人以上の証人が必要 2)
  • 費用がかかる

2)受遺者(遺言によって遺産を譲り受ける者)及びその配偶者、推定相続人等は証人になれない

自筆証書遺言の作り方

自筆証書遺言作成の流れ

日付、氏名、財産の分割内容等を手書きし、押印をします。財産目録についてはパソコンで作ったり不動産の登記事項証明書や通帳のコピーを別に添付する方法も認められています(2019年1月13日から)

自筆証書遺言を法務局に預けることができます

自筆証書遺言が抱えていた課題を解決するべく遺言の書き方のルールが変わっただけでなく、法務局で自筆証書遺言を保管する新しい制度が2020年7月10日からスタートしました。今回の改正で遺言を書いた人の想いを確実に実現することができる自筆証書遺言が簡単に作れるようになれば、公正証書遺言をおすすめする割合は減っていくかもしれません。

自筆証書遺言保管制度を実際に利用してみて感じた率直な感想をまとめみました。利用を検討している方は参考にしてみてください。
関連|夫婦で遺言を書いて法務局に預けてみた|自筆証書遺言書保管制度の利用レポート

トラブルの元|こんな自筆証書遺言を書いていませんか?

ルールに従わないで書かれた遺言は残念ながら無効です。公証人が関与する公正証書遺言ではありえないと思いますが、自筆証書遺言の場合、有効なものは2割程度とも言われています。

もしかするとあなたの書いた自筆証書遺言は無効な遺言かもしれません。自筆証書遺言を書くと決めたら【使える遺言】を作りたいものですよね。

遺言を書いた人の想いを確実に実現できる遺言【使える遺言】はケースバイケースなのでこういう遺言ですと表現するのが難しい一方で、【使えない遺言】ははっきりしています。

例えば、ご夫婦が1枚の用紙に連名で書いた遺言は内容について問題がなくても無効になります。また、無効にならなかったとしても争いの火種になる場合や想いとはまったく違う残念な結果を招いてしまう遺言を書いてしまうことがあります。

遺言を書こうと思ったときに知っておいて損はない、基本的な間違いや注意すべき点を解説します。

財産を特定できていない遺言

どこの不動産なのか?どこの口座なのか?を正確に記載していない遺言があります。こういった遺言では手続きがスムーズにいかなかったり、最悪の場合、遺言では手続きができないおそれもあります。せっかく遺言を書くなら、ひと手間かけて小さなミスもないようにしてください。

  • 自宅などの不動産の場合

固定資産税の納税通知書だけではなく、法務局で不動産の登記事項証明書を取得して正確に記載しましょう。

  • 預貯金、株式の場合

通帳や資料を確認して支店名や口座番号などを正確に記載しましょう。※2019年1月13日から財産目録については、パソコンで作ったり登記事項証明書や通帳のコピーを別に添付する方法も認められています

財産の書き漏れがある遺言

遺言に書かれていない財産は誰のもの?

私の死後、家族が相続でもめないようにと、3人の子供に財産を平等に分配する内容の遺言を作成して、相続の準備をしていました。
遺言を作成した後に自宅を購入していましたが、遺言の内容を見直すことはなかったために、遺言に書かれていないその自宅をめぐって子供たちが争うことになってしまいました。

遺言に書かれていない財産は誰のもの?

書き洩らしたというわけでなくても遺言に記載されていない財産があれば、それについては相続人全員で遺産分割協議をする必要があるため遺言に書かれていない財産が元でトラブルになることがあります。自筆証書遺言の作成後に遺産の内訳が変わってしまうこともあるので、例えばご自分の誕生日や年始など定期的に遺言を見直すことが有効です。

また書き忘れたというよりは、財産の存在自体を忘れているもしくは存在すら知らなかった場合もあります。

  • 自宅の土地に隣接している道路部分
  • 遠方にある田畑・山林
  • 相続後、名義変更をしていない土地や建物
  • 引っ越しや転職・退職で使わなくなってしまった口座 etc

自分の名義になっている不動産を忘れてしまうことはあまりないと思いますが、遺産分割で相続したものの名義を変えずにそのままにしている不動産、そもそも遺産分けの話し合いすらしていない不動産があれば、その旨を遺言に書いておく、もしくは別途手続きをしておかないと結果的には書き洩らしたのと同じことになります。

仮に祖父母の代から名義変更をしていなかった不動産の名義変更をしようとすると、想像以上に相続人が増えていることがあります。中でも相続人が兄弟姉妹の場合は、相続人の数が爆発的に増えてしまう恐れがあるので、遺言を書くときは財産の書き漏れがないかどうかを念には念を入れて確認しましょう。

「その他一切の財産を長男に相続させる」といった記載が遺言にあれば、作成後に増えたり発見された財産は遺産分割協議をしなくてもスムーズに引き継ぐことができるのでケースバイケースで活用してください。

訂正の仕方があいまいな遺言

こうもパソコンやスマホに頼りきった生活をしていると手書きをすること自体が稀です。「あ!間違えた」なんて郵便物の宛名を書いているときに住所を間違えようものなら書き直すのが面倒なのでなんとかうまくごまかせないかと思ってしまいますが、みなさんはそんなことはありませんか?苦笑

自筆証書遺言はその名の通り、財産目録を除く全文を自筆で書かなければいけません。そのため「あ!間違えた」とか、「気が変わった」場合に自筆証書遺言を訂正加筆するにはどうすればいいのでしょうか?

民法では次のように自筆証書遺言の訂正加筆の方法は厳格に定められています。このルールに従わないと最悪の場合は遺言自体が無効になってしまうおそれがあります。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

民法

ルール通りに正しく訂正できているかどうかを悩むようなら、面倒かもしれませんがもう書き直すことをおすすめします。書き損じをなんとかごまかせないかなんてことは、くれぐれもお考えにならぬよう。

事件簿|相続の明暗を分けたのは一本の線

自筆証書遺言は何度でも新しく作り直すことができます。もちろん訂正することもできますがルールに則った方法でなかったばかりに子供達が最高裁まで争った裁判がありました。裁判所で決着がついたわけですが結局のところ遺言者の真意はわかりませんよね。。

赤い斜線が引かれた遺言は有効か?

全面に赤いボールペンで斜線が引かれた遺言(自筆証書遺言)は、遺言者が遺言の内容を撤回する意思があったのか否かを巡って、長男と妹が争った裁判の判決が出ました。新聞記事でも取り上げられたので目にされた方も多いと思います。

遺言の内容は財産の大半を長男に相続させるというものだったので、お父さんの遺した遺言が有効か無効かの結果次第で、兄妹の相続財産の取り分は大きく差がつくことになります。

赤いボールペンで斜線が引かれた遺言は「無効」と判断されました。全面に赤いボールペンで斜線を引いているのだから、これは撤回する意思表示と考えるのが一般的な感覚かもしれません。

何故争いになるのかというと、民法では遺言の撤回は焼却、破り捨てるといった、故意に破棄したときと定められているので、斜線を引くことが破棄にあたるのか?という点がポイントでした。

一方で、自筆証書遺言を訂正するには変更した箇所を特定して変更した旨を書いた上で署名と押印が必要になるので、赤い斜線が引かれているだけの今回のケースでは変更に当たるのか?という点が2つ目のポイントです。

結論からいえば、形式的なことよりも、赤い斜線を引いたという行為を遺言者が遺言の内容を撤回する意思があったと重く評価して最高裁は「無効」と判断したということになります。

遺言を書いたお父さんは2002年に亡くなっているので、亡くなってすぐに揉め事が起きたとして最高裁で判決が出るまで実に13年。これだけの年月を裁判に費やすのは相当なエネルギーが要りますよね。お父さんもまさか一本の線のせいでここまでの揉め事に進展するとは思いもしなかったでしょう。

そもそもこの遺言は長男に相当手厚い内容なので、赤い斜線が引かれていなかったとしても、すんなり事が進んだかどうかはわかりませんが。ちなみに公正証書遺言の原本は公証役場で厳重に保管されているので遺言が破棄されたり、紛失してしまうことはありません。公正証書遺言の長所を再認識することになった裁判でした。

遺言執行者が不適切な遺言

遺言執行者(いごんしっこうしゃ)とは、遺言の内容を確実に実現させるために必要な手続きなどを行う人です。

  • 遺言執行者を決めておくかどうか?
  • 誰を指定するのか?

は遺言者が決めることができます。

遺言を書いたときにはベストな人選だと思っていても結果的にベストではなかったと思うことはありますが、そもそも他の人を選んでおけば良かったのにと思ってしまうことがあります。少なくとも自分が亡くなるときに遺言執行者として役目を果たしてくれる可能性が低い人は避けるべきです。

事件簿|遺言執行者は信頼する大先輩

相続のご相談で遺言を拝見した時のことです。公正証書で作られた遺言で遺言執行者が定められていました。特に問題はなさそうでしたが、遺言で指定した遺言執行者は既に亡くなっていました。

相続が発生してから十数年が経っていたので、遺言執行者が亡くなっていても仕方がないかと思いましたが、よくよくお話しを伺うと遺言者のXさんよりも先に遺言執行者が亡くなっていたようです。

Xさんは信頼を寄せていた大先輩にもしもの時の遺言執行者をお願いしていました。大先輩なのでXさんより当然ながら年齢はかなり上。しかも遺言を作ったときは、Xさんの死期が差し迫っていたわけではなさそうでした。

全ての遺言に遺言執行者が必要ではありません。Xさんの遺言内容を実現するために遺言執行者が必要ではなかったので問題はありませんでした。

もしも遺言内容に認知や推定相続人の廃除・取消が含まれていれば、遺言執行者だけが執行できるものなので、遺言執行者が亡くなった時点で遺言を作り直して改めて遺言執行者を指定するか、遺言者の死後に家庭裁判所で別の人を遺言執行者に選任してもらう必要があります。

また認知などの遺言内容に限らず、相続人の協力が得られにくい場合には遺言執行者がいるとスムーズに執行されることがあります。

もしもの時に年齢は関係ないとは言っても若い人の方が確率的には長生きするでしょうから遺言執行者は自分よりもある程度若い方を指名しておくことが無難です。個人と違って亡くなることのない信託銀行などの法人を遺言執行者に指定する方法もあります。

少なくても大先輩に遺言執行者をお願いするのはやめましょう。ちなみに若いほどいいのか?というと未成年者は遺言執行者になることはできません。

(遺言執行者の欠格事由)
民法第千九条  未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

民法

いつの時点で未成年者か否かを判断するのか?

  • 遺言を書いた時?
  • 相続開始の時(遺言者が亡くなった時)?

遺言の効力がいつ発生するかを考えると遺言者が亡くなった時なので、未成年者を遺言執行者に指定した場合でも、相続が開始した時にその人が未成年者でなくなっていれば遺言執行者になることができます。例えば、生まれたばかりのお孫さんを自分の遺言執行者に指定したとしても、それから20年長生きすればそのお孫さんが遺言執行者になることができるので問題はありません。

未成年者は遺言執行者(公正証書遺言の証人にも)になれないと聞くと、遺言を書くこともできないのだろうと思うかもしれませんが、実は未成年者でも遺言を書くことはできます。

(遺言能力)
民法第九百六十一条  十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

民法

15歳なので遺言は高校生でも書くことができます。高校生の娘さんが部屋に籠って一生懸命机に向かっているから気になって覗いてみたら遺言を書いていたなんてこともあるかもしれません。しかも最近できたばかりの彼氏に全財産をあげるなんて内容だったら、世のお父さんはかなりショックですよね。。

有効性に疑問がある遺言

この遺言は偽物じゃないの?

私の父は、長男である私には自宅を、弟には現金100万円を相続させる内容の自筆の遺言を残して亡くなりましたが、自宅と現金100万円では価格の差が大きいため、遺言の内容が不利な弟が、遺言を作成した当時、父が認知症だったため、意思能力が不十分で遺言は無効だと主張し、遺言の有効性をめぐって裁判になりました。

この遺言は偽物じゃないの?

遺言を作成した時に認知症の疑いがあったかどうかだけでなく筆跡が違うなど、遺言の内容が自分にとって不利な相続人が遺言の有効性に疑いをかけることがあります。

自筆証書遺言は自分1人で作成できるため作成時に十分な意思能力があったのかどうかは体裁や内容から推定するほかありません。その点、公正証書遺言の場合は公証人が遺言者の意思能力に問題があると判断すれば、医師の診断書や立会いを要求できるので、遺言時の意思能力が相続トラブルの原因になる可能性が低くなります。

遺留分を無視した遺言

兄が遺留分を主張してきてトラブルに

私の父は、兄夫婦と折り合いが悪かったため、次男である私が同居して面倒をみてきました。父は面倒をみていた私に全財産を相続させるという遺言を遺したため、父の死後、兄から遺留分(遺産の4分の1)を主張されて、最終的に裁判で争うことになってしまいました。

兄が遺留分を主張してきてトラブルに

遺留分を無視した遺言自体は有効ですが、遺留分の取戻しが裁判等のトラブルになる可能性があるので遺言を書くときは遺留分のある相続人に配慮することも必要です。遺留分についてはこちらで詳しく解説しています。

遺留分のある相続人にどうしても財産を遺したくなければ、簡単ではありませんが推定相続人の廃除を検討することも必要でしょう。

確実に使える遺言を作りましょう

こんな遺言を書くと失敗します。という視点から相続トラブルの火種になりそうな遺言を取り上げて、逆説的に【使える遺言】とはどういうものなのかを見てきました。

財産や相続人の状況は様々なので紹介した遺言に該当しなくても、それが確実に使える遺言なのかどうかの判断は難しいところです。使える遺言はこういうものですと画一的に言えるようなものではないので、どうしても限界があります。

自筆証書遺言は自分ひとりで作ることができるので手軽ですが、その反面、無効になったり、無効にならなくても望んでいた結果とは全く違った結果を招く恐れがあります。

遺言を作るなら確実に【使える遺言】を完成させるために公正証書遺言を作成することや遺言内容を相続の専門家に相談されることをおすすめします。

公正証書遺言の作り方

公正証書遺言作成の流れ

遺言者が2人以上の証人とともに公証役場に出向き、遺言の内容を公証人に口授し、公証人が遺言を作成します。作成日当日に公証役場に行くまでにこのような流れで準備をしておくことが一般的です。

公正証書遺言・作成の流れ図
公正証書遺言作成の流れ

登記の専門家である司法書士が公正証書遺言の作成に関与することで、将来、遺言にもとづき相続登記(土地・建物の名義変更)を行う際に安心して手続きを進めることができます。当事務所では、依頼者の方が公正証書遺言をスムーズに作成できるように、ご相談を承り、全力でサポートいたします(公正証書遺言作成支援)。

参考までに公正証書遺言を作成する際に当事務所でサポートさせていただく事項を併記しております。

  • 注1)不動産のリストアップは、権利証(登記済証・登記識別情報)、不動産の登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、 名よせ帳をもとに行うことが考えられます。推定相続人の確認は、戸籍謄本・住民票等で行います。
  • 注2)依頼者(遺言者)が病気等で公証役場に出向くことができない場合は、自宅等へ公証人に出張してもらうことも可能です。
  • 注3)依頼者がお知り合いの方などを選んでいただくことも可能です。
  • 注4)あくまでも目安ですので、遺言内容についての想いがまとまっていて、遺産や推定相続人の確認など事前準備がお済みの場合は、 1~2週間で作成することが可能です。

ご注意ください!相続人は証人になれません

公正証書遺言を作るには証人が2人必要です。証人には財産や遺言の内容が知られてしまうので、いくら親しくても友人やご近所の方にはお願いしにくいですよね。家族や親戚など身内に証人を頼もうと思っても推定相続人やその配偶者など証人になれない人が民法で決められています。

(証人及び立会人の欠格事由)
民法第九百七十四条  次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
  一  未成年者
  二  推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  三  公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

民法

どうでしょうか?証人をお願いできそうな方が思い当たりますか?

お願いしたくても遠方に住んでいたり、中には親戚には財産が知られたくないという方もいらっしゃると思います。僕は親戚のほとんどが地元の山形県に住んでいるので山形からの2人分の交通費を考えると、やっぱり遠くの親戚よりも近くの他人なのかもと思ってしまいます。

司法書士・弁護士といった専門家に証人として立ち会いを依頼するには費用は掛かりますが、守秘義務が課せられているので内容が漏れる心配がなく安心です。

公正証書遺言の作成事例

遺言に対して資産家や一部の特別な人だけが作るものというイメージを持たれているかもしれませんが、遺言を作る理由やきっかけは多岐にわたります。

参考までに当事務所で公正証書遺言を作成をサポートさせていただいた事例をご紹介します。読んでいただければ何も特別な事情がある人だけが遺言を作るわけではないことがわかっていただけると思います。

  • 一緒に遺言を作られたAさんご夫妻
  • お子さん達が納得できそうな遺言を作られたBさん
  • 障がいのあるお子さんに配慮した遺言を作られたCさん
  • 長男が事業を承継をしやすいような遺言を作られたDさん
  • 数次相続を見据えて遺言を準備されたEさん

一緒に遺言を作られたAさんご夫妻

ご夫婦一緒といっても二人で1つの遺言を作るわけではありません。この公正証書遺言はまったく同じものではなく、同じ日にAさんご夫婦がそれぞれ作られた2通の公正証書遺言です。

作成日が同じ2通の公正証書遺言

Aさんご夫妻にはお子さんがいません。お二人ともご両親は既に他界されているので配偶者と配偶者の兄弟姉妹がお互いの相続人ということになります。

家族構成を伺うと正確にはご兄弟と甥姪が相続人のようでした。しかも奥様のご兄弟とは疎遠だとか。そんな事情をお聞きするまでもなく、お子さんのいないご夫婦には遺言の作成をおすすめしています。というのもお子さんのいないご夫婦の相続で忘れられない思い出があるからです。

旦那さんが遺言を書いておかなかったばっかりに、共同相続人である旦那さんの兄弟から強硬に法定相続分を求められて最後は自宅マンションを売ることになってしまった奥様がいました。

こうなってしまったのは旦那さんの主な財産は自宅マンションだけだったこともありますが、「うちは兄弟仲がいいから大丈夫だ」と旦那さんが高を括っていたからです。とてもやりきれない想いでマンション売却の登記をさせていただきました。

血を分けた兄弟でも揉めるのに配偶者の兄弟と揉めないはずがない!というのは言い過ぎかもしれませんが、「うちは大丈夫」と自信を持って言える方は少ないんじゃないでしょうか?僕も結婚して子供ができる前に遺言を作りました。揉めるかどうかよりも相続人として手続きに関わってもらうのが煩わしいと思ったからです。お互いにです。

高齢になればなるほど兄弟姉妹が先に亡くなって甥姪が相続人になることが増えるので相続人間の関係性は薄くなるだろうし、相続人の判断能力が衰えるリスクも高まります。

その一方で兄弟姉妹には遺留分がないので遺言を作っておけば取り分を請求されることもありませんし、そもそも相続手続きに関与してもらう必要がありません。相続人である以上、何をもらわなくても遺産分割協議書を作るときに印鑑証明書を渡さないといけないので、相続手続きに関わる必要がないように遺言を書いておいてくれた方がありがたいというご兄弟が多いのではないでしょうか?

そう考えると、遺産をどう分けるかを配偶者と他の相続人で話し合って決めて欲しいといった特別な事情でもない限り(そんな人はいないと思いますが・・・)、配偶者に全財産を相続させるという遺言を書いておかない理由はないように思います。もちろん配偶者以外にも遺産をあげたい場合は、その旨をきちんと遺言に書いておけばいいだけです。

Aさんご夫妻は全ての財産を配偶者に相続させるという内容の遺言をそれぞれ作られていたので、作成から7年後に遺言の通りの相続を実現することができたのでした。もし遺言を作っていなかったら?というたらればの話をしてもしようがありませんが、もし遺言を作ってなかったら全く違う結果になってしまった気がします。

遺言作成から関わらせていただき遺言執行まで無事にやり遂げることができたので、僕自身も思い出深いお仕事の1つです。

お子さん達が納得できそうな遺言を作られたBさん

Bさんの相続人は二人のお子さんで、Bさんが作った公正証書遺言はすべての遺産をお子さん2人に2分の1ずつ相続させるという内容です。法律で決められている通りの分け方にする遺言をあえて作った理由は、遺言を書いておかないと長男さんが法定相続とは違った内容の分け方を言い出しかねないという不安からでした。

Bさんには法律で相続割合が決められている上に、それに則った遺言があれば流石に長男さんも他の分け方を言い出さないだろうという思惑がありました。念には念を入れて遺言を作成したことでBさんはやっと安心することができたようです。

障がいのあるお子さんに配慮した遺言を作られたCさん

障害のある息子さんを交えて遺産分けの話し合いをしなくても済むようにと、お子さん達のことを考えて遺言を準備されたCさん。

障害のある息子さんには他のお子さんよりも手厚く、そして渡す遺産は不動産のような何かと手続きが必要なものではなく、生活に必要になる現金を定期的に受け取ることができる資産を指定されました。また遺言執行者には信頼を寄せている長男さんを指定されたので障害のある息子さんも確実に遺産が受け継がれるような遺言を完成させて安心されていました。

数次相続を見据えて遺言を準備されたEさん

Eさんの相続人は奥様とお子さんです。Eさんが亡くなったときの相続税を少なくすることを優先するとほとんどの不動産を奥様に引き継ぐことがベストでしたが、将来的に奥様からお子さんに引き継ぐところまで総合的に比較検討した結果、奥様とお子さんにそれぞれ別の不動産を相続させる公正証書遺言を作成することになりました。

お持ちの不動産の中に奥様が相続した方が税制面で優遇される不動産がありました。当事務所では相続税について検討する必要がある場合は信頼できる友人の税理士さんと連携して最適な案を提案させていただいています。

ただし、中にはこういったケースがあります。

同居しているお子さん(Yさん)の受け取り分を多めにしたかったXさん。公正証書遺言の準備していましたが、間に合わずに遺言を作成することなく亡くなってしまいました。

これはもしかするとYさんから責められるかもしれないと思っていましたが、意外にも「これで良かったです」と言われました。お父さんの想いはありがたかったので反対できなかったけど、内心では他の兄弟と揉めたくなかったので実はYさんは困っていたそうです。

公正証書遺言作成の手続き費用

遺言を書くときに注意したいこと

相続のご相談を受けていて感じることは「遺留分(いりゅうぶん)」という言葉はみなさんよくご存知だということです。テレビ・雑誌等で相続・遺言の特集が組まれることが多いからでしょうか。

遺留分について何も考えずに書いたとしても遺言としては有効ですが、遺留分減殺請求を受ける可能性があるので必ずしも遺言の内容通りになるとは限りません。また相続人に遺留分があっても取り戻すかどうかは相続人の意思に委ねられているので、必ずしも遺留分を主張されるわけではありません。

遺言を書かなければ法定相続分を主張されるのだから遺留分を無視して遺言を書くことがあることも十分理解できますが、これは知人の相続で起きた悲惨すぎるお話です。この話を聞いてからできるだけ慎重に取り扱うべきだと遺留分に対する考え方が大きく変わりました。

遺留分を無視して書いた遺言の本当の怖さ

兄弟の関係は・・・終了。

お父さんの遺言(「全財産を長男に相続させる」)のせいで、兄弟から自宅を差し押さえられる羽目になったXさん。

「長男が遺産を引き継ぐことを納得してくれるだろう」と、お父さんは他の子供達が遺留分を主張してこないだろうと甘く考えていたのかもしれません。また仮に遺留分を主張してきてもそのときは相続財産から渡せばいいと考えていたかもしれません。

いずれにしても、まさか自分が亡くなった直後にリーマンショックが起きるとは思ってもみなかったでしょう。さらに不運だったのは、遺産の大部分が株で亡くなった直後に遺産総額がかなり目減りしてしまったことでした。

遺留分は、被相続人が相続開始時において有した財産の価格を算定基準とします。相続はお父さんの死亡によって開始するので、お父さんの死亡時の遺産の価額が遺留分の計算の算定基準になります。

  • リーマンショック
  • 遺産のほとんどが株式

この2つの事情がなければ、遺言のせいで長男の自宅が他の子供達から差し押さえられることはなかったでしょうか?

このケースは僕が司法書士として遺言作成に関わったわけではありません。Xさんによるとこの遺言はお父さんが旧知の弁護士さんに相談して作ったそうです。

  • 遺留分を主張してこないだろうという想定で書いた遺言なのか?
  • 遺言を書くことで長男以外の取り分を法定相続分から遺留分にまで減らしたかったのか?

どちらなのかわかりませんが、他の兄弟全員が遺留分を主張してきたようなのでリーマンショックが起きなくても結局のところ揉めたような気がします(汗)。

兄弟の関係は終ったとXさんが言ってましたが、自分が他の兄弟から自宅を差し押さえられるなんて想像するだけで、言葉がありません。。

へたな遺言を書いてしまったせいで家族の仲が壊れてしまうことがあります。Xさんの事例で遺留分を無視して書いた遺言の本当の怖さを垣間見ることになりました。最も注意すべきことは相続トラブルの火種になるような遺言を作らないことです。

遺留分(いりゅうぶん)とは?

遺留分は兄弟姉妹を除く法定相続人に認められている絶対的な相続財産の受け取り分のことです。ここで遺留分を相続クイズで考えてみましょう!

二人が遺言に託した思いは叶うのか?

Aさん、Bさんが遺言を遺して亡くなりました。二人の遺言はどちらも相続人以外の第三者に全財産を遺贈するという内容です。

・AさんはCさんに
・BさんはDさんに

ここで、二人の家族構成を見てみましょう。

・Aさんは唯一の相続人である弟がいます
・Bさんには妻と息子がいます

二人にはそれぞれ相続人がいるにもかかわらず、相続人にはまったく遺産をあげたくなかった理由はご想像にお任せします。

答えは・・・Aさんの思いは叶います。Bさんの思いは叶わない可能性が高いと思われます。この違いは二人の相続人が遺留分がある相続人かどうか?の違いです。

Aさんの相続人である弟は遺留分のない相続人です。一方のBさんの相続人は配偶者と子供で、二人とも遺留分がある相続人だからです。

Bさんの妻と息子がBさんの遺言の内容に納得し遺留分を主張しないのも個人の自由ですが、遺留分があるにもかかわらず、まったく遺産をもらえないのは、納得できないという方がほとんどじゃないでしょうか。僕も納得できないと思います。

遺言があれば、原則は遺言の指定どおりに遺産を分けることになりますが、あくまでも原則であり、例外もあるということです。なお遺留分を無視した遺言も無効ではなく有効ですが、遺留分の取戻しが争いに発展する可能性があるので、自分の気持ちに任せて自由に遺言を作るのは考えものかもしれません。

また遺留分の割合を法定相続分と混同していたり、兄弟姉妹にも遺留分があると勘違いされる方も多いようです。遺言を書く上で最低限押さえて置きたい遺留分の基本的な内容をお伝えします。

遺留分と法定相続分の割合を簡単に整理してみると、下の図のようになります。

法定相続分と遺留分の比較
法定相続分と遺留分の比較

全財産を相続人以外の第三者に遺贈するという遺言があったとしても、遺留分は絶対的な相続財産の受け取り分なので、相続人が配偶者と子供のケースなら相続財産の4分の1は、配偶者も子供もそれぞれ遺留分を主張出来るということになります。

2019年7月1日から遺留分減殺請求権が遺留分侵害額請求権に変わり、遺留分を侵害している額に相当する金銭の支払いを請求することができるということになりました。

第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

民法

遺留分はいつまで取り戻せるの?

遺留分は請求できるというだけで請求するかどうかはその人の自由です。また遺留分は放棄することができます。ただし、いつまでも遺留分を請求できたり放棄できると法的に不安定な状態が続いてしまうので、遺留分を取り戻すことができる期間が次のように定められています。

  • 「相続が起きたこと」及び「遺留分を侵害するような贈与・遺贈があったこと」を知った時から1年
  • 相続が起きた時から10年

(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

民法

相続が開始する前でも遺留分を放棄することができますが、相続が開始する前に遺留分を請求することは出来ません(それはさすがに無理です)。

事件簿|時効を狙おうか?

現在の結婚と前婚のどちらにもお子さんがいらっしゃる方から遺言作成のご相談を受けたときのことです。

前婚でのお子さんに遺留分があることや遺留分の時効について説明をさせていただいた後で、その方がひと言・・・「とにかく10年間経ってしまえばいいんやね。時効を狙おうか」。

間髪入れずに同席されていた奥様に向かって「冗談やで」とおっしゃったのですが、その方の目は笑ってなかったので、この人は本気だなと思った記憶があります。

ご相談だけだったので遺言を書かれたのか?どんな内容の遺言を書かれたのか?は知る由もありませんが、一か八かの相続対策は危険です。始めから時効を狙おうなどと考えるのは止めてください(苦笑)。

他の相続人が遺留分を放棄すると・・・

遺留分を放棄しても他の相続人の遺留分は増えません。この点は相続放棄の場合とは異なります。

Xさんが「妻Yにすべての財産を相続させる」という遺言を遺していたケースで考えてみましょう。

  • Xさんの再婚相手のYさん
  • Xさんと前妻との子供であるAさん・Bさん

この3人が相続人の場合は、Aさん・Bさんは遺留分である8分の1をそれぞれ取り戻すことができます。仮にBさんが遺留分を放棄したとしても、Aさんの遺留分は8分の1のままで増えません。

相続人の中に遺留分を放棄する人がいたとしても他の相続人の遺留分が増えるということはありません。遺留分はあくまでも相続人それぞれについて定まっているので、遺留分を放棄することも相続人それぞれがすることができます。

また、遺留分を取り戻すかどうかも各相続人の意思に委ねられているので、兄弟であっても「俺の遺留分も一緒に取り戻しておいて」というわけにはいきません。

(遺留分の放棄)
第千四十九条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

民法

参考までに相続放棄の場合を見ていきましょう。

Xさんが遺言書を作成しないで亡くなった場合、妻であるYさんの法定相続分は2分の1で、お子さん達Aさん・Bさんの法定相続分は各4分の1になります。Bさんが相続放棄をするとAさんの相続分は2分の1に増えます。 ここが遺留分の放棄とは違います。

遺留分の取り扱いは慎重に

主な財産である自宅を同居している長男に相続させるという遺言を作った場合は、他のお子さんから長男の方に遺留分を請求される可能性があります。

こういったお話しをすると「うちはたいした財産もないし、子供たちも仲がいいから相続の心配なんてしていませんよ」と仰る方の方が急に遺留分の割合を気にされるように感じます。

仮に遺産が現金なら簡単に分けることが出来ますが、不動産は分けにくい上に同居しているのであれば、自宅を売却して現金を分けるのも現実的ではないですよね。

また「同居しているお子さんの相続分を増やしたいから」という理由で遺言を書こうとしたら「揉めたくないからお願いだからそんな遺言は書かないで!」と同居しているお子さん当人から待ったがかかることがあります。

同居して面倒を見てくれたお子さんに財産をあげたいという気持ちも分かりますが、遺留分の割合を正確に把握したうえで、くれぐれも遺言がトラブルの火種にならないようにしたいものですね。

遺産の行方を自分の意思で決めることが出来るのが遺言ですが、作った本人が納得できてかつ残される家族が納得できる内容の遺言を作るのは実は簡単ではないのかもしれません。

遺言を書こうか迷ったときに読んでください

遺言を書こうかどうか迷ってしまったときはこちらを参考に焦らないで落ち着いて考えてみてください。

  • ①最低限の正しい知識をもとに決めましょう
  • ②書くかどうかは自分の意思で決めましょう
  • ③遺言以外の相続対策も検討しましょう

①最低限の正しい知識をもとに決めましょう

相続税の申告を自分でやったという話を友人から聞いたら私も自分でできるはずと簡単に考えてしまう。こういうのは相談の現場でよく目にする、あるあるです。

素人の知識ほどあいまいで危険なものはないと思うのですが、関係性の近い人からの情報は疑いもせず自分にも当てはまると信じてしまう。

結果・・・失敗する。。

テレビや雑誌の情報を鵜呑みしたり、自分に都合の良いように理解してしまう方もいます。また相続に関係する法律が改正されているので、わかったつもりになっている知識が実は過去のものだったりすることもあります。

相続登記の義務化で相続対策はどうなる?

令和3年4月相続登記を義務化する法律が成立しました。相続が発生した場合に土地や建物の名義変更をしないでそのままにしておくことができなくなります。ただし、現実には事情があってすぐに相続登記ができないケースも沢山存在します。

そこで義務化にあわせて新たに「相続人申告登記」という制度が作られるようですが、遺言を準備しておくことの重要性はますます高まっていくでしょう。

関連|相続登記の義務化で何が変わる?|令和6年4月1日スタート

思い込みで判断せずに最低限の正しい知識をもとに遺言を書くかどうかを決めましょう。

完璧に調べてから決めようとすると、いつまで経っても決めることができないので、大きな判断ミスをしない程度にというニュアンスでの最低限ということです。各種団体が開催している相談会やセミナーを有効に活用しましょう。

②書くかどうかは自分の意思で決めましょう

遺言素案の作成や証人として公正証書遺言作成のサポートさせていただくことが多いのですが、遺言を作られた依頼者の方は実に晴れ晴れとした表情で公証役場から帰られます。一般的に終活といわれることですが、自分で決めて行動したことで前向きな気持ちになるからだろうと感じています。

家族が揉めないように遺言を書いておくこと、あげたい人に遺産をあげるために遺言を書くのもよいと思います。遺言を書くということは大なり小なり波風を立てることでもあります。もちろん遺言を書かないのも自由です。

また子供やまわりから誘導・懇願されて遺言を書くというのは書かされているようでつらいなぁと思います。

遺言の本質は、自分の最期について自分で決めることです。繰り返しになりますが遺言を書くのも書かないのも自由です。自分の最期について自分で決めておきたい人に遺言をおすすめします。

③遺言以外の相続対策も検討しましょう

遺言の場合、財産を渡すのは亡くなった時です。元気なときに財産を渡しておく生前贈与(せいぜんぞうよ)という方法もあります。亡くなるのはいつになるのかわからないので、気になることは生前に済ませておく方が確実ですが、遺言で渡すのと比べて税金やその他の費用が高くなる可能性があるので、正しい知識をもとに判断することが必要です。

関連|遺言よりも確実|生前贈与という方法もあります。

エンディングノートには遺言のような法的な効力はありませんが、使い方次第で遺言では叶えることができないことを実現できる可能性を秘めています。遺言とエンディングノートを上手に使い分けることでさらなる効果が期待できます。

関連|もしものときに本当に役に立つエンディングノートの作り方

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司法書士・行政書士 伊藤 薫

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