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解決まで20年かかった身内の相続手続きで痛感したこと

相続登記の義務化で気になっていた相続問題

前からずっと気になっていた身内の相続問題がありました。長年名義変更ができていない、いわゆる所有者不明の不動産ということになります。

相続登記が義務化されると決まったので、できるだけ早く解決して欲しいと思うようになりました。

母が相続人のひとりなので、このままにしておくといずれは僕が当事者になってしまいます。

僕らの代になって、すんなり解決できればそれでもいいかもしれませんが、そうなると40年以上会っていない再従兄弟(はとこ)も相続人になるだろうし、親族の葬儀で数回顔を合わせた程度の親戚と、遺産分けの話し合いをすることを考えると、先延ばしにして状況が好転するのかどうかは大きな賭けです。

なによりも、相続の専門家を謳う司法書士が、所有者不明不動産問題の当事者になってしまうのは、かなり具合が悪い。

2021年の暮れに実家で話し合った結果、母親が重い腰を上げてくれたので2022年の年明けから動き出したのですが・・・

20年解決できなかった身内の相続

所有者不明不動産というのは、僕の祖母の姉(Xさん)が住んでいた土地と家です。

20年解決できていない大伯母の相続問題

同じ市内だったので、子供の頃は何度も大伯母(Xさん)の家に行ったことがありますが、現在はどうなっているのか?

長らく空き家になっているらしいので、雪国ということも考えると、建物はだいぶガタが来ているかもしれません。

2004年に亡くなったXさんの相続人は兄弟姉妹で、兄弟達も亡くなって、その子供達が相続人になってしまっています。

ちなみに、僕が司法書士になったのは2008年。当時は、相続登記を急いでしなければいけないという空気感ではなかったので、僕自身も相続手続きができていないことはそれほど気になっていませんでした。

亡くなってすぐに相続手続きをしなかった理由はわかりませんが、兄弟達が高齢だったことは大きく影響していると想像できます。

1年半かかって終えることができました

まずはきっかけを作っておこうと動き出す

2022年の年明けから動き出したのものの、戸籍を集めて相続人を把握した程度で、解決できないままだったのですが、相続登記の義務化が施行された2024年に一念発起して、6月からまた動き出しました。

もし大きな災害が起きたら相続手続きどころじゃなくなるし、両親が亡くなったら相続人の連絡先もわからなくなります。そう考えたら、今すぐ解消できなくても、ひとまず相続人のつながりを作ろうと思いました。

実家に連絡して、母に相続人である二つの家族の代表者に僕から連絡する旨の電話を入れてもらうことをお願いしました。

事前に電話で話をして、お盆の頃に情報の共有と手続きの進め方について、対面かオンラインで話し合いができればというのが当面の目標です。

解決までのみちのり

まずは相続人のつながりを作ろうと、動き出してから約1年半、おかげさまで無事に手続きを終えることができました。

この記事は細部を書くつもりはないので、相続発生から登記完了までの時系列を簡潔に整理しておきます。

2004年相続発生
2024年6月母を通して相続人に連絡を取る
2024年8月オンラインで話し合いを持つ
2025年1月オンラインで2回目の話し合い
遺産分割協議成立
2025年10月相続登記完了

こうして、時系列を整理すると、今回、僕が動き出したときで、相続発生から実に20年経っていました。

これまで、全く何もしていなかったというわけじゃなかったようですが、解決に至らなかったようです。

また、動き出してからの手続きだけを見ると、実質、長くても半年もあればできるような気がしますが、現実はそんなにスムーズには進みません。

身内の相続手続きを終えての気づき

① 合意形成には時間が掛かる

何十人も相続人がいたわけじゃないんですが、それでも話し合いの機会をつくること、話し合いをまとめることは難しいなぁと痛感しました。

僕は相続人ではないので、あくまでも手続きの進行役です。かっこよく言えば、コーディネーターです。交渉の類いは一切していません、念のため。

被相続人との関係性、相続人間の関係性、所有者不明不動産との距離感など、それぞれ状況が異なるので、相続手続きを進めようとする思いに相続人毎に温度差があるのはひしひしと伝わってきました。

そもそも、兄弟の子供(甥姪)、孫世代まで広がってしまうと、被相続人とほとんど面識がなかった相続人もいるんじゃないかと思ったりします。

今回は解決にたどり着くことができましたが、それには、○があったこと、○になってくれ人がいたことなど、いくつかの好材料があったことが大きかったです(○は敢えて、ぼかしています)。

また、いまとなっては、相続人がXさんの相続について関心が薄かったことも結果として良かったのかもしれません。

時間が経つほど書類の収集や関係者との調整が難しくなり、手続きが複雑になることだけは、はっきりしています。

兄弟姉妹が相続人になる相続手続きは、相続人が増えがちだし、相続人間の関係性も薄くなりがちなので、できる限り早めに対応することをおすすめします。

② 長年空き家にするデメリット

Xさんの遺産に空き家になっている自宅がありました。空き家は雪深い地域にあるので、年々建物に負荷が掛かっているはず。

このままにしておくと、いつか倒壊するかもしれないと不安になります。

動き出したところで、すぐに相続登記はできないだろうと、相続登記の義務化にあわせてスタートした相続人申告登記のことを調べているうちに、相続人申告登記で登記申請の義務を免れることができたところで、建物の老朽化は止められないことを気づかされます。

空き家の何が問題かというと、空き家のままで放置すると、老朽化による倒壊の危険だけでなく、害虫・害獣・悪臭、不法投棄、不法侵入、火災などの不安が考えられます。

また、相続した不動産(土地)を手放したくても、空き家があると相続土地国庫帰属制度を利用することもできません。

関連|空き家を放置するデメリットと空き家を解消するためにやるべきこと

また、話し合いの過程で自宅の解体費用の見積もりを取ったときに、両親がXさんの家の中に入ったのですが、家の中はだいぶ散らかっていたようです。

散らかった家の中に仏壇もそのまま、いつまでもそんな状態では、成仏できないんじゃないだろうかと不安になります。

子供の頃、Xさん(大叔母)が家に来たり、僕も遊びに行ったり、親族の中では交流があった方なので、1日も早く手続きを終えて、まずは仏壇のことをなんとかして欲しいと思うようになりました。

手続きが終わって登記の名義は変わりましたが、まだ、Xさんの自宅はそのままだと思うので、できるだけ早く対応して欲しいです。

2025年12月、無事に手続きを終えることができたことを墓前に報告してきました。

手続き完了の報告ができました

遺産分割の話し合いの中で、相続開始後に発生した立替金を清算したのですが、固定資産税や雪下ろし代など、建物の価値を維持するために使っていた費用があります。

結構な金額になっていましたが、結局、相続後は誰も使わずに、解体することになりそうなので、もったいない話です。

そもそも、相続人の中に残された土地と建物を有効に使える人がいなかったから、長年、空き家になっていたんでしょうけど。。

ちなみに、固定資産税や雪下ろし代などの費用は約180万円、建物の解体費用の見積もりは450万円でした。

亡くなった後に、できるだけ周りに迷惑をかけないようにと、葬儀費用を準備しておくという話はよく聞きますが、残された相続人が負動産、特に空き家を持て余すことがないように、解体費用と遺品整理の費用を準備しておくようなことも考えておかないといけない時代になったのかもしれません。

③ 子供がいない場合は遺言必須

亡くなったXさんに子供がいなかったので、相続人は兄弟姉妹。

兄弟姉妹が相続手続きをしないうちに、さらに相続が発生して相続人が甥姪の代に広がってしまったことが、亡くなってすぐに手続きを終えることができなかった理由です。

いや、すぐに手続きをしなかったから、相続人が増えてしまったという方が正しいのかもしれません。

Xさんの遺言があれば、すんなり解決することができたケースなので、遺言を書いておいて欲しかったなぁとつくづく思います。

また、兄弟姉妹には遺留分がないので、今回のケースでは相続人に遠慮せずに、あげたい人に財産を渡すことができます。

20年以上そのままになってしまった相続を目の当たりにして、兄弟や甥姪が相続人になるケースで、不動産を所有している場合は、遺言を書かずに相続人で話し合って決めてというのは、20年前ならいざ知らず、いまのご時世では無責任な気がしました。

遺言を書くのも書かないのも自由です。自分の最期について自分で決めておきたい人に遺言をおすすめしていますが、子供がいない場合は、遺言は作成しておくべきです。

いつか始めないといつまでも終わらない

当たり前のことをもっともらしく書いてしまい、申し訳ありません(苦笑)。

今回のことだけではないのですが、何事もタイミングがあると思います。

まったく進まない業務も、ある時から一気に進んで、あれよあれよと終えることができた経験もあります。

Xさんの相続も解決まで長い時間が掛かりましたが、聞くところによると、完全に放置していたわけではないようです。

今回はいろいろなことと、タイミングが上手く嚙み合って、解決することができたと思っています(詳細は書きません)。

あのタイミングで動き出したことについては、自分で自分を褒めてあげたいです。

意を決して動き出したところで、一向に進まないこともあると思います。

相続の話し合いは相手がいることなので、ひとりで焦ったところで、まとまるものもまとまりません。

そんなときは、まだ機は熟していないと気持ちを落ち着けて、その時が来るのをじっと待てるような心構えが必要だなと痛感しました。

とはいえ、ただ待っていても、おそらく何も変わらないので、所有者不明不動産の問題を解決するに、はまずは動き出して、タイミングを待つことに尽きるのかなと思います。

所有者不明不動産の問題は、自宅(持ち家)があれば誰の身にも起きる可能性があるので、少しでも何かの参考になればと思い記事にまとめました。

とはいえ、僕自身が当事者ではないのと、身内の話というのは特に田舎ではデリケートな話題なので、具体的なことは書いていませんし、若干、内容を変えているので、その点はご了承ください。

相続登記はお済みですか?

日本司法書士会連合会では毎年2月を「相続登記はお済みですか月間」と定め、全国の司法書士会が相続手続きに関する無料相談会やイベントを開催しています。

💡2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

義務化によって、原則として相続により不動産を取得したことを知った時から3年以内に登記をしなければならず、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料の対象となります。

義務化に関するものだけでなく、相続人の調べ方や遺産分割に関する以下のようなご相談が増えています。

  • 義務化の期限はいつまでですか?
  • 義務を果たさなかった場合の罰則はどうなりますか?
  • 相続人が多くて戸籍や住民票の取得が面倒です。手伝ってもらえますか?
  • 遺産分割協議書をどうやって作成すればいいのかわかりません。etc.

💡 相続登記を放置すると…

  • ✅ 相続人が増えて手続きが複雑化
  • ✅ 家族間のトラブルの原因に

将来のトラブルを未然に防ぐためにも、早めの手続きが大切です!

気になっている方は、この機会に大切な手続きを一歩前進させませんか?

参考|相続登記義務化のご案内@大阪司法書士会の公式サイト

ご相談・お問合せ

司法書士・行政書士 伊藤 薫

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