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お酒はおまけ|酒を売らない酒屋が提供できる価値はなんだろう?という実験

2020年5月からとあるオンラインサロンで勉強しています。このオンラインサロンのコンセプトは「実験」で、会費は物納可という、まさになんでも実験してみようってノリに惹かれました。

僕はクラウドファンディングで造ったお酒を物納することが認められて、晴れてオンラインサロンに入会できることになりました。

クラウドファンディングで造ったお酒とは?

オリジナル第2弾「ToRETOURCASK223」

11年間樽で熟成させた泡盛をひと樽大人買いして、ブレンドせずにシングルカスク原酒として完成させたい!というプロジェクトから生まれたお酒です。

この挑戦を通して目標金額200万円を3日で達成することができた成功体験や表面上からは見えてこない失敗など、やってみないとわからなかった生の知見を手に入れることができました。

1万円というお酒の価格ではなく、完成までのストーリーやクラウドファンディングの体験談を含めた価値を認めてもらえたと感じたので、オンラインサロンでの僕の実験のテーマの1つはクラウドファンディングになりました。

止まっていたクラウドファンディングが動き出す。

2019年10月、石垣島での完成記念イベントを終えて、支援者の方に全てのリターンをお送りして、クラウドファンディングのプロジェクトはひと息つきました。

2020年に入って朝日新聞さんに取材してもらう機会がありました。折角の機会なので新聞に掲載されるまでにクラウドファンディングからの気づきをまとめようとしましたが、コロナ禍の鬱々とした毎日の中で手が付けられないままになっていました。

泡盛 応援 おおらかに@朝日新聞

入会したオンラインサロンは、ツヴォイ式ビジネス実験室という「実験」がテーマのサロンです。

コロナ禍で何をしたらいいのかわからないときだからこそ、普段の自分を発信しようということでサロンメンバーが行動している様子に触発されて、5/15からFacebookのライブ配信を中心に僕も情報発信をしています。

関連|普段の自分を発信する実験を600日続けてみた

ほぼ毎日発信する中でクラウドファンディングについても情報を出してみたところ予想もしていなかった反応がありました。

  • 1週間足らずで最後の12本が完売
  • クラウドファンディングのnote記事(無料)にサポートをいただく

最後の12本が1週間足らずで完売して気づいたこと

プロジェクト終了後のキャンセルなどで完成した300本のうち12本が僕の手元にありました。

1本1万円以上するお酒です。クラウドファンディング実施中のお祭り騒ぎの中で売れたとしても、時間が経って忘れられようとしている状況で売れるのかは?やっぱり不安でした。

それなのに、完売までかなり時間がかかると思っていたのに、販売から1週間足らずで完売することができました。

ちゃんと検証できていないので感覚的な話になりますが、ライブ配信にかなりの手応えを感じています。

うまく話そうとするよりも素の自分で話す方が興味を持ってもらえる、ぐだぐだになってしまっても面白がって見てもらえる。これは確信に近い手応えを感じています。じゃないとあんなにぐだぐだの情報発信を続けてただけで、完売できたことが説明できません(苦笑)。

これは基本的に友達とつながっているFacebookならではの特徴だとは思います。Facebookのアルゴリズムはライブ配信を重視しているからテキストや画像よりも拡散力が高いという話も聞きます。

続けているうちに、話すテーマ・時間帯・頻度など再生回数につながるテクニック的な気づきもあります。実験の効果はあらためて検証してみます。

新しい価値を作れるのか?そもそも新しい価値って?

オンラインサロンでは、新しい価値価値の置き換えについて勉強しています。わかりやすく言うと、僕の場合だとこんな感じ?

  • 登記をしない司法書士
  • 書類を作らない行政書士
  • 酒を売らない酒屋 etc

具体的には見えていない状態でしたが、クラウドファンディング体験からの気づきをnoteに書いたら嬉しいことがありました。

「興味があるので続きを書いてください」と、サポートをしていただきました。しかも1,000円も!

実名じゃないのでわかりませんが、文面から想像すると面識のない方だと思います。有料記事ならコンテンツビジネスってことになるんでしょうけど、これは無料記事。

これまたオンラインサロンでの学びなんですが、「知識は、知識そのものを出したい時には価値はなく、相手が欲する時にのみ高い価値を生む。」ということをさっそく体感することになりました。

今回のクラウドファンディングは、希少なシングルカスク(モノ)→大人買い祭り(コト)というようなモノ消費からコト消費への転換の挑戦でしたが、今回の経験は酒を売らない酒屋への大きなヒントになりました。

今回のクラウドファンディングで生まれた価値

  • 目標金額200万円を3日で達成
  • 支援者数277名|34の都道府県から
  • Makuake支援額ランキング1位|開始2日目
  • ヤフーニュースに2記事掲載
  • 経済面のトップ記事に掲載|沖縄タイムス

この程度のプロジェクトはMakuakeならゴロゴロあります。だから僕が価値だと感じているのは、この2つです。

  • 泡盛出荷量が15年連続減という状況の中で達成できたこと
  • いち愛好家が立ち上げたプロジェクトだということ

参考|泡盛出荷量 2019年は4.9%減少 15年連続で減る 消費増税も影響
参考|泡盛を全国に広めたい 大阪の愛好家が樽ごと購入へ 希少な原酒の味

法律上はリキュールですが、樽で熟成させた泡盛のプロジェクトです。市場が縮小していても企画次第でできるんだという自信が持てました。

もう1つは、有名企業でもなくインフルエンサーでもない、大阪の泡盛愛好家が実行者になって立ち上げたプロジェクトでもできたってことです。

無謀な挑戦でもやってみないと結果はわかりません。確実に失敗しそうな挑戦に飛び込めない気持ちはよくわかります。だからこそ僕が体験した生の知見には価値があると思いました。

でも今は僕がクラファン体験をまとめたいだけなので、ほとんど価値はないと思い無料で公開しています。とはいっても守秘義務などで書けないこと以外は基本的にバンバン出していきます。

関連|仕込みなしで目標200万円のクラウドファンディングを3日で達成してわかった成功と失敗

達成できたから言えるもう1つの価値

クラウドファンディングの経験は1回だけです。達成できたのはたまたまかもしれません。でもMakuakeの審査を通過するのはそんなに簡単じゃないです。

企画内容もそうですが、この人が実行者になって支援を集めることができるのか?期限内にリターンを確実に支援者にお届けできるのか?など、厳しく見られます。

ALL or Nothingの挑戦なので失敗する可能性も十分にあります。

協力してくださるメーカーさんも名前が出る以上、実行者にならなくてもリスクは大きいと思います。だから企画そのものはもちろんですが、この人が実行者で大丈夫か?という属人的な部分が占める要素もかなり大きいと認識しています。

達成できたいまだから言えることですが、審査が通ったこと、八重泉酒造さんの協力が得られたこと、達成することができたことは泡盛に関して僕個人のブランディングができていたからだと思います。

達成できなければ・・・(苦笑)。

クラウドファンディングをやるかどうか僕も迷ったときがあって、プロジェクトの良し悪しではなく自分という存在を評価されるような感覚に陥ってました。選挙に出るってたぶんこんな感じだろう?って(汗)。

1つも売れなかったリターンを分析してみた

メインのリターン(商品)に数量制限があるクラウドファンディングだったので、ほぼほぼ完売した中で1つも売れなかったものがありました。

1つも売れなかったリターン

シングルカスク原酒というメインのリターンと、イベントを主催できる権利という僕の泡盛講座などの講師料を合体させたもので、プロジェクトの本筋からはずれたリターンです。

シングルカスク原酒2本は約2万円なので、支援金額7万円のうちイベントを主催する権利は5万円ということになります。この5万円という金額はクラウドファンディングという事情を考慮して、また百貨店やカルチャースクールでの過去の実績から考えても高すぎることはないと思って設定しました。

でも結果は・・・おもいっきり惨敗(笑)。

1つも支援がなくても達成にはまったく影響はなかったわけですが、しいて言えば僕の自尊心は深く傷つきました(苦笑)。

こんなの支援する人いないでしょ!と今は鼻で笑っている人でも、実行者になった時には絶対に設定しておきたくなるタイプのリターンです。

余談ですが、7万円と金額が張るので、もし支援が入ったらラッキー!って感じで入れておきました。義理や応援のレベルを超えて、友人知人がご祝儀的に入れてくれる可能性もないとは言えませんしね。

それに、この手の高額リターンを確実に支援してもらえるようお願いしておいて、初速をつけるのは達成への常套手段じゃないでしょうか。高額のリターン1発で達成というのは完全なる仕込みといいます。

このリターンを作らなかったらシングルカスク原酒300本はクラウドファンディングの募集期間中に完売しただろうなと、今となっては思いますね。

本筋から外れていると自覚しているのに入れたのは、達成が危ぶまれたときに自爆(自分で購入)することも想定して作った禁断のリターンだからです。

クラファンのプロジェクトを研究すると100万円のリターンなんかもあります。しかも、どういうタイミングで支援があったのかはわかりませんが、意外にも支援されていたりします。

もし僕のプロジェクトで集まった320万円のうち100万円がそういう高額のリターンによるものだったら見え方ってだいぶ変わってくると思うんですよね(それが良いとか悪いとかという話ではありません)。

この手のリターンに支援が入っていないことは、僕のプロジェクトは仕込みがないことの1つの証拠になっています(わかる人にはわかります)。

このリターンがすべったのは、シングルカスク原酒が欲しい人と泡盛関連のイベントを開催したい人というニーズが大きく異なるところに、どっちがメインなのかわからない中途半端なリターンを作ってしまったことが敗因です。

あんなにぐだぐだのライブ配信でも手応えを感じることができたので、欲しいと思ってもらえる人に情報を届けることができなかったのも原因だと思うようになりました。

酒を売らない酒屋が提供できること。

酒を売らない酒屋といっても、酒を売らない代わりに米を売るという類の話ではありません。クラウドファンディング体験から得られた知見を元にこんな商品を考えました。

商品のメインは、仕込みなしで目標200万円を3日で達成したクラウドファンディングの実行者として、経験した成功・失敗体験に基づく僕の個別相談です。

無料でフルオープンで公開していますが、プロジェクトの企画段階や準備期間など、僕の体験に基づく知見を有料でも欲しいと思う人がいるんじゃないか?欲しいと思っている人に情報が届けば、可能性はあるという仮説を立てました。

性懲りもなく(苦笑)。

「知識は、知識そのものを出したい時には価値はなく、相手が欲する時にのみ高い価値を生む。」という学びから、相手が欲する時にのみ高い価値を生む。のは本当なのか?という実験です。

だから、シングルカスク原酒はおまけです。「で、3日で達成できたお酒ってなんなんですか?」という話になったときに、これです!と見て、触って、飲んでもらうためのおまけ。

お酒はメインではなく、あくまでもおまけです。

おまけのお酒について

いくらおまけと言ってみてもお酒はお酒です。メインを個別相談にしたとしてもお酒を売っていることに変わりはないので、こんなの屁理屈かもしれません。

お酒を売らない酒屋、価値の置き換えといっても、本質は変わらないと思います。

僕が酒販免許を取ったきっかけは、泡盛の魅力を沢山の人に知って欲しかったし、泡盛ファンが増えて15年連続減からV字回復して欲しいと思ったからです。

だから、おまけのお酒を飲んで樽熟成泡盛(リキュールですけど)を美味しいと思ってもらえたり、個別相談から泡盛関連のプロジェクトがスタートすることになったら嬉しいです。

売っているのはお酒じゃなくても結果的に同じことになればいいんじゃないかなと考えました。

おまけのシングルカスク原酒にシリアルナンバーは付いていません。限定300本と宣言しているので一般販売しないサンプルです。

限定と言っているのにサンプルがあるのは300本きっちり造るのは難しいこと。それに破損に備えるために少し多めに造ったからです。実際に発送中に破損したことがありました。

クラウドファンディングで絶対に避けなければいけないのは、リターンをお届けできないことです。だから予備は必要です。それに、今回のシングルカスク原酒は移動式泡盛barで飲んでもらうことも考えていたのでサンプルは多くても困りません。

シングルカスク原酒のオンザロック

関連|泡盛×アウトドアの魅力発信基地作り

今回のシングルカスク原酒は焚き火を囲みながら等、アウトドアシーンで飲むことをかなり意識していましたが、プロジェクトの成功にフォーカスしたときにそこは出さない方がいいだろうと判断しました。

これまでの準備期間中に失敗を重ねているので、見えない所で実はいろいろと考えています。

只今、絶賛実験中。

オンラインサロンでの一番の学びは「実験することに価値がある」です。上手くいっても失敗しても、やってみたらなんらかの結果が手に入ります。

シングルカスク原酒は法律上はリキュールですが、実質は寝かせるほどに美味しくなるという泡盛です。もし売れなくても20年古酒になったら泡盛マイスターが熟成させたリキュールとして付加価値をつけて販売することもできそうです。

それなら欲しいという人がいるかもしれません。でもそれを売っているうちは酒屋だってことですよね(苦笑)。

ま、どっちに転んでも本質的な意味での失敗はないと思っています。

個別相談2時間+シングルカスク原酒1本

個別相談2時間+シングルカスク原酒1本|22,000円(税込)

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