もしもノートのレビュー
特定非営利活動法人ライフ・アンド・エンディングセンター(LEC)の「もしもノート」。タイトルの通り、もしものときに備えるエンディングノートです。
はじめのほうにこんな一文がありました。
「自分自身の身辺の整理をし、自己管理をしておくことが、きっとあなた自身の危機管理につながると思います」。
もしもノート
もしものときを考えるには、先に現状をきちんと把握しないと、もしものときにどうしたいのかの判断が鈍ってしまうと思います。だからこそ、きちんと自分のいまを把握する必要がありますよね。
3ページにある「ノートに記入する前に」には、自発的にノートを記入するような工夫がされていて、なるほどと思いました。
「もしもあなたが交通事故や急病で、救急車で病院に運ばれたら」に続く、問いが20個ほど用意されています。例えば、「病院の支払いには現金がいります。貯金はありますか?」という問い。
- 「貯金はあるけど、離れて暮らしている家族は、どこの銀行に口座を持っているのか知らないはず・・・」
- 「一人暮らしだから、誰か支払いを頼める人を考えておかないと・・・」
- 「貯金はほとんどないなぁ・・・」etc
問いに答えながら、誰もが考えることは多いだろうと思います。
こういった問いから自分自身を振り返り、もしものことを考えておくことが必要だということに気がつくように作られています。
他にはこういった問いがあります。
- 「ローンや買い物の未払いがありますか?」、
- 「携帯電話やパソコンのデータの処理について考えてありますか?」
どれもいろいろと考えさせられてしまうものばかりですよね。「20歳から100歳までの危機管理」というサブタイトルにも納得してしまいました。
6ページの『「もしも」のときにすぐに知らせてほしい人』という項目は、他のエンディングノートにもありますが、その隣のページにある『「もしも」のときにしてほしいこと・知らせたいこと』というのは、他では見たことがないような気がします。
もしものときというのは、入院なのか、亡くなるときなのか、人それぞれイメージすることは違うと思います。
だから「知らせる」以外に、ノートを見た人に行動を促すようなお願いが必要な場合というのも「入院中にペットに餌を忘れずにあげてほしい」とかいろいろ思い浮かぶので、ニーズはありそうですよね。
リビングウイルのページ
もしもノートにはリビング・ウイル(尊厳死の宣言書)が書けるページがありました。

協会で保管こそされませんが、日本尊厳死協会の書式のリビング・ウイルのようです。
しかも、「上記に加えて次のことを望みます。」というように、自分で希望を追加するといったことができるように作られています。
このノートに書いて手元に保管しておくだけなので会費は要りません。
その代わり、もしものときにノートに書いたリビング・ウイルが家族や親族の目に確実に触れることができるか?
さらには、自分の意思で書いたということを見た人が理解し、希望を実現してもらえるような準備(根回し、話し合い)をしておくことが不可欠になると思います。