みらいのための準備ノート〔シニア編〕のレビュー

エンディングノートの選び方

このエンディングノートは日本生命の保険でたまったポイントで交換できる商品の中で見つけて、生命保険会社が選ぶエンディングノートはどんなものなのか?という興味から入手しました。担当の方から「本当にこれでいいんですか?」というニュアンスで確認されたので、これを選ぶ人はかなり少ないんでしょうね(苦笑)

みらいのための準備ノートの内容

  • 第1章「自分」の「これまで」と「これから」を考える
  • 第2章「お金」を考える
  • 第3章「健康」を考える
  • 第4章 もしものために① 「介護する介護される」を考える
  • 第5章 もしものために② 「エンディング」を考える
  • 「わたし」と「大切な人」へのメッセージ
  • 詳細データ編

項目を見る限りさほど特別な印象はありません。

医師、看護士、弁護士、公認会計士、社会保険労務士といったメンバーが監修をされていますが、医師、看護士が監修されているエンディングノートはあまりないような気がします。

親や配偶者の介護を経験された方のインタビューに基づいて書かれた「わたしの介護体験」というコラムは興味深かったです。親の施設入所を決めるまでのご苦労や葛藤の告白、収入が途絶えて保険の大切さが身にしみたエピソードを読むと、エンディングノートは書いておかないとだけでなく保険にも入っておかないとという気持ちになるのでよくできているエンディングノートだなと感心しました。

特に印象に残っているのはこの3つの項目でした。

  • 介護に対する自分の価値観を明確にする
  • 夢の予算を具体的に考える
  • 老後資金は「使う」を意識する

なぜその介護を希望するのか?

介護に関するページでは、介護の希望を単に書いておくだけでなく、なぜその介護を希望するのかを納得感を持って書くことができるように作られています。要するに「在宅なのか?」「施設なのか?」ということになりますが、5つの間接的な設問に答えることで自分が介護の希望に対してどんな考えや価値観を持っているのかが客観的に認識できるようになっています。

介護の希望はできるだけ本音で書くべきだと思っていますが、「在宅なのか?」「施設なのか?」とだけ問われると、家族の負担や費用の面ばかりが気になって本音とは違った希望を書いてしまうことがあるように感じます。

そこで、間接的な設問を通して介護に対する自分の価値観が明確になれば、おのずと納得感のある内容のエンディングノートを書くことができると思いました。

夢の予算を立てるには?

第1章「自分」の「これまで」と「これから」を考えるは、過去を振り返りこれからどんな人生を歩んでいきたいのかについて考えるページです。これからの人生を考えるパートでは今後叶えたい夢を書き出すのですが、一緒に「夢の予算」も書けるようになっています。

この夢を実現するにはいったいどのぐらいのお金が必要なのかなんて見当もつかないことがほとんどだと思うのでかなり具体的に考える必要があります。だから予算を書くためには必然的に夢を具体的にイメージすることになります。本気でやればこれだけでも夢が一歩実現に近づくかもしれません。

実現するための費用が意外に掛からないことがわかれば実現のための行動は加速するでしょう。場合によっては、夢が実現できないことの障害はお金じゃなかったなんてことにも気が付くかもしれません。

僕も真剣に考えてみました。お金があれば実現できそうな夢と、どれだけお金があったとしても実現できるかどうかわからない夢のどちらもあって、夢の予算を考えることはとても面白いものでした。

老後資金は備えるだけ?

ライフプランにあわせてお金(老後資金)について考えるページが用意されているのは保険会社ならではのエンディングノートだなと感じました。人生はお金がすべてではありませんが、必要なお金の目処が立たないとライフプランは立てようがないですよね。

僕も事情があって若い頃から生命保険に入ってきましたが、家族が増える前に設計した保険のままだったのをちょうど見直しているところです。そんなタイミングということもあってこれからのお金についてじっくり考えるページがあるエンディングノートもいいものだなと思いました。

〔シニア編〕というだけあって、セカンドライフにおける資金設計について考えやすい内容になっています。セカンドライフの主な希望である「使う」「備える」「のこす」に応じて、必要な額を把握して分けて管理する「老後資金三分法」という考え方がベースになっていて、それぞれの金額を書き込めるだけでなく金額を決めるための考え方も紹介されています。

老後破綻や下流老人という言葉に代表されるような「長生きがリスクになる」といった最近の風潮からすると「備える」の金額が膨らみそうですね。そして「備える」を意識しすぎるとそのまま「のこす」にまわってしまうことになりそうです。

成年後見人の仕事をしていると「備える」が十分でないために、ご高齢になり困ったことになってしまう方がたくさんいるのを感じているので「備える」のはとても大事なことだと思いますが、「使う」をどの程度用意しておくのかはもっと大事なのかもしれません。

第1章に出てきた「夢の予算」にも関連するのですが、これからどんな人生を歩んでいきたいのかを考える上で「使える」お金が見えていないと不安で何もできないですよね。なによりも「備える」「のこす」ばかりを手厚く準備しておいてもセカンドライフが充実するとは思えません。

だからこそ、これがしたい、この夢を実現したいということを明確にしておいて、そのためにはいくら必要なのかを把握しておくこと、セカンドライフに限らずこれからの人生を充実したものにしたければ最優先すべきは「夢の予算」を考えることなのかもしれません。

いわゆる「終活」という言葉でまとめられるようなエンディングノートとは一線を画するものだと感じました。一般に販売されているかどうかわかりませんが、購入できるのならお薦めしたいアクティブなエンディングノートです。

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