その26 法定後見と任意後見の違いとは?

私、司法書士伊藤 薫がコクヨのエンディングノートを書いてみた体験談です。1冊のエンディングノートをはじめから最後まで2ヵ月半かけて書いていく中で、感じた気持ちや相続の専門家からみて注意しておくべき点、エンディングノートにまつわるエピソードを綴ったものです。

介護についての続きです。

前回も同じような欄がありましたが、「財産の管理をお願いしたい人について」という欄があります。

前回のものには、「自分で財産の管理ができないときに」という条件がついていました。こんな条件があったとしても同じような印象を受けますが、おそらく前回の条件がついているものは「法定後見」についての希望で、今回のは「任意後見」についての希望のことだと思います。

といっても法定と任意でいったい何が違うの?と思われるかもしれませんね。 簡単にいうと、成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」と2種類があって、「法定後見」はすでに判断能力が衰えている方の為に家庭裁判所が後見人等の適切な保護者を選ぶ制度です。

「任意後見」は元気なうちに、将来、自分の判断能力が衰えた時に備えてあらかじめ保護者(後見人)を選んでおくというものです。 今回の「財産の管理をお願いしたい人について」は、管理をお願いしたい人さえここに書いておけばひと安心というものではなくて、元気なうちにその方とどんなことをお願いするのかを公正証書で契約しておく必要があります。

また、前回も少し触れましたが、「法定後見」の申立ての書類に成年後見人の候補者を書くことができますが、必ずしも候補者が選ばれるわけではありません。 家族が候補者であっても家族の間に相続トラブルのような紛争がある場合や、候補者が本人の財産を勝手に使っている場合などは、候補者以外の司法書士、弁護士といった第三者が選ばれることがあります。

また、成年後見人の事務を監督する権限がある専門家の後見監督人が選任される場合や後見人が1人ではなく複数選ばれることもあります。

その27に続く。