その25 簡単には書けない、介護の希望

私、司法書士伊藤 薫がコクヨのエンディングノートを書いてみた体験談です。1冊のエンディングノートをはじめから最後まで2ヵ月半かけて書いていく中で、感じた気持ちや相続の専門家からみて注意しておくべき点、エンディングノートにまつわるエピソードを綴ったものです。

介護について。

もしも介護が必要になったときに、介護を誰にお願いしたいか、どこで過ごしたいのか(自宅なのか、病院や施設なのか)といった希望を書いておきます。

単に希望とはいえ「自宅で家族にお願いしたい」というのは家族にかかる負担を考えると気軽には書けないでしょうね。

介護に必要な費用をどう捻出するのかを書いておく欄もあります。 「預金から」、「保険で」、「特に用意していない」の中で当然のように「特に用意していない」にチェックしましたが、あくまでも希望を書いておくノートとはいえ、我ながら将来必要になるお金について真剣に考えようと思いました(汗)。

「自分で財産の管理ができなくなった時に管理をお願いしたい人」について書いておく欄もあります。ようするに認知症などで判断能力が低下したときに、誰に成年後見人をお願いしたいかということですね。

現在のような本格的な高齢社会では同じ世代(旦那さんや奥さん、兄弟姉妹ですね)に成年後見人をお願いすることはほとんど現実的ではないと思います。かといって子供の世代はどうかといえば、仕事で忙しくて成年後見人としての仕事にまでなかなか手が回らないというのが現実ではないでしょうか。

私は家族の負担を考えると、たとえ費用がかかるとしても成年後見人は家族以外の第三者(もちろん信頼できる方に)にお願いしたいと思います。 (ここも希望を書いておけばいいわけですが、法定後見の場合は裁判所が成年後見人を選任するため、必ずしも希望どおりになるわけではありません。)

第三者というのは、司法書士や弁護士、行政書士といった士業が成年後見人の担い手として存在しています。例えば、司法書士であれば、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートといった、成年後見制度の普及と成年後見人の育成・普及のために設立された組織があり、現在6,600名ほどの司法書士が会員となっています。

ちなみに私もリーガル・サポートの会員ですが、研修や会議などで他の会員の方の成年後見業務に取り組む姿勢を垣間見ることがあります。 たとえ報酬が見込めないケースや対応がかなり難しいケースであったとしても成年後見人の業務に真摯に取り組まれている方がとても多いことに毎回驚かされます。

できればそんな人に成年後見人になってもらえたら安心だし、家族も喜んでくれるような気がします。

その26に続く。