一時品薄だった宮の鶴
宮の鶴は関西ではほとんど見かけたことがありませんでした。あってもプレミア価格だったので一般酒の中では波照間酒造所の泡波に次いで2番目に入手しにくい泡盛だという認識を持っていました。
それでも幸運にも何度か飲む機会があって、沖縄の某所で飲んだ瓶熟成の宮の鶴は本当に美味しくて印象に残っています。その宮の鶴はラベルに書かれた杜氏のお名前が先代のものだったのでかなり古いものでした。
僕が成年後見人をさせていただいていたXさんが亡くなられたので、保険証の返却や葬祭費の支給申請書などをもらったり某市役所で最後のお努めを終えて最寄り駅までとぼとぼと歩いていた時の話です。何事も始まりがあれば終わりがあるわけですが、この道を歩くことももうないかもしれないなと少し感傷的になっていました。
もうすぐ駅に着くという所で前々から気になっていた酒屋があったことを思い出しました。Xさんの成年後見人の間はいつでも寄れるからと毎回素通りしていたのですが入るなら今日しかないと思い入ってみました。目当ては言うまでもなく泡盛です。
結論からいえばビンゴ!でした。量は多いとはいえませんが、ほとんどの泡盛がこのお店の店頭でお年を召していらっしゃいました。もちろん定価です。
- これは7年古酒になってる!こっちは8年!
- うわぁーこの御酒はラベルに「2001」とあるから11年物~!
これは僕の心の声です。冷静さを装いつつも内心はかなりテンションが上がってしまいました。
これもこっちも買っておいて損はないと舞い上がる自分と、ちょっと待った!お店の照明にさらされた瓶熟成泡盛が全て美味しく育っているといえるのか?という泡盛マイスターとしての冷静な自分とがせめぎ合った結果、購入した2本のうちの1本がこの宮の鶴です。
ほぼ新酒です。定価で売っているのをはじめて見ました。正確には、売っているのをほとんど見たことがなかったので定価自体を知らないけど、三合瓶で1,200円くらいなら買っておいて損はないでしょう。
いやー単なる偶然なのか?何かのお導きがあったのか?は分かりませんがこれからはこの駅でちょいちょい降りることになりそうです。(2012年12月6日)
そんなことがあったので、仲間酒造所のある石垣島の宮の鶴事情はかなり気になっていましたが、2015年6月に石垣島に行ったときに僕の予想はいい意味で裏切られることになります。
当時の石垣島では当たり前のように普通に宮の鶴が売られていました。夕飯を食べたまぐろ専門居酒屋 ひとしでも価格を気にすることなく、安心して宮の鶴をオーダーすることができました。
宮の鶴は一時的に品薄だっただけなんでしょうか?安定的に造れるようになれば変に高値になることもなく、いつでも気軽に楽しめるので泡盛ファンにはありがたいですけどね。
今となっては、居酒屋ひとしがすっかり予約の取れない人気店になってしまいました。
宮の鶴を石垣島に訪ねる
仲間酒造所さんは家族で手作業で泡盛を造っている小さな酒造所という情報くらいしか持っていなかったのでたどり着くまでに迷うかな?と思いましたが、この素敵すぎる表札(看板)のおかげで簡単に見つけることができました。
いつか家を建てることがあれば僕もこういう表札が欲しいです。
請福酒造さんの裏手と聞いていたのでかなり場所を絞り込むことができました。この情報がなかったらだいぶ迷ったかもしれませんね。仲間酒造所は石垣島の宮良の集落の中にあってこんな佇まいなので、泡盛の瓶の表札がなければたぶん泡盛の酒造所とは気が付きません。
工場の戸が開いていますがシーンと静かだったので休憩中もしくはお休みだったようです。見学できないのは承知の上、宮の鶴が造られている工場の前まで一度行ってみたかっただけなのでこれでいいんです。訪問日:2015年6月9日
もし泡盛の瓶を表札にするならこういうのも面白いかもしれませんね。泡盛の一斗瓶(一升瓶10本分)は迫力満点なので遠くからでもひと目でわかりそうです。うちのマンションの玄関に置いていたら管理人さんに怒られそうですが(笑)。