大阪泡盛の会のスピンオフです。メンバーのMさんが富山ろくちょうさんと交渉して企画してくれました。
ストレートでテイスティングすることが基本だとしても、ストレートを基準にして相応しい飲み方を想像するよりも実際にその飲み方で飲んでみたほうが正確だし話が早い。さらにその泡盛に相応しい料理だって想像するよりも実際にあわせてみる方が確実だし、絶対に楽しいはず!ということで実現したのが今回の企画です。
今回の泡盛は一銘柄のみ。悩んだ末に北谷長老さんの「一本松(30度)」を選びました。同じ一般酒に「北谷長老(30度)」もありますが、造りに違いがあるんですよね。
大将と奥様がこのTシャツとエプロンで迎えてくれました。この心遣いが嬉しかったです(^^)
今回は嬉しいことに半分以上が初参加の方でした。飲みたいという気持ちをぐっとこらえてもらいMさんと僕から少しだけ今回の趣旨とテイスティングの進め方について説明させてもらってスタートしました。僕の事務所で開催しているときの静まり返った雰囲気とはやっぱり違いますね。
はじめはストレート。続いてオンザロック、ソーダ割り、お湯割りと飲み方を変えて飲み進めていきます。
- ストレートでは甘味と辛味が印象的。子供の頃、風邪で喉が痛いときに祖母が作ってくれた大根飴を思わせる味わいです。
- 大根飴は7cm程度の棒状に切った生の大根を水飴に漬けて出てきた汁を飲むのですが、イメージ沸きますか?蜂蜜でならやってことがあるという声がありました。水飴でするのは山形ならではなのかもしれません。似たようなものだと思いますが一般松は蜂蜜ではなく水飴の甘さでした。
- オンザロックにすると甘味を強く感じます。一般的に氷で冷やすと苦味が強く出るイメージがあったので意外な感じ。時間が経つと甘味は弱くなり、やっぱり苦味(辛味)を感じます。少し遅れて苦味が出てくるのが特徴なんでしょうか?
- ソーダ割り(氷なし)はアタックは苦味を感じましたがすぅーと消えました。
- お湯割りにすると甘味が強く出て甘苦い印象。
別にどの飲み方が一番おいしいとかを決めたいわけじゃないので、この辺で。飲み方を変えても全体的に印象に残ったのは苦味というか辛味でした。
お酒を中心に考えるなら一本松に何を合わせるか?というわかりやすい足し算のイメージなんですが、食中酒として考えるとどんな料理にあわせるとこの苦味が活かせるだろうか?という視点で考えてみることにします。お酒にフォーカスするとこの苦味が得意じゃない人にはそこまでかもしれませんが、この苦味を最大限活かせる料理に合わせたらどうなるんだろう?と考えるのはとてもワクワクします。
人付き合いだってそうですよね。表面的な部分だけでみると付き合いたくない人がいる。でも見方を変えてみれば自分にない部分を補ってくれそうだったり、何か新しいものを生み出そうとするなら、そういう視点を持って人を見ないと付き合い易そうな人だけといても、よりよいものは作れない。そんなことを想像してしまいました。
って、そんなおおげさな話でもないんですけどね(苦笑)。
参加者は7名。2つのテーブルに分かれてやっていましたが、一本松に相応しい料理という視点から僕らのテーブルではこちらの料理をオーダーしました。ちなみに当日のおすすめメニューはこんな感じ。
Mさんから「とりあえず酔っ払い海老は頼むべし!」とアドバイスがありました。海老を紹興酒に漬けているようです。尻尾が綺麗な色をしていました。頭はすぐにカリっと焼いてもらって丸ごと堪能しました。
しま豆腐と辛子蓮根は一本松の持つ苦味、辛味と近いところをあわせてみようというアプローチです。三枚肉の蒸し豚は脂で甘味を補おうという試みでしたが、どちらも僕ら的には納得できる結果でした。
この後からはどちらかというと食べたいものを頼むというモードに入ってしまい(汗)、チキン南蛮、鰻の白焼きをオーダー~。
というのも一本松のテイスティング会のはずなのに、いつの間にか一升瓶がサクっと開いてしまっているというすごい勢いで(苦笑)、結局一本松だけでは間に合わず「まさひろ」もオーダーしたからです。
〆はいつものように沖縄そば。帰り道でフラフラとラーメン屋に吸い込まれてしまわないようにの自己防衛策だったりします。
これはあう。これはあわない。というような、あう・あわないを追求したいわけではありません。
かといって、単に食べたいものを頼むのではなく、一本松との相性を考えてて選んでみる。そして実際に食べてみて、やっぱり想像通りでバッチリあったとか、思っていた感じと少し違ったとか。単なる飲み会では味わえない楽しさを味わいたかったというのが今回の狙いでした。
当然ながらテイスティンググラスを並べて小難しい会にしたかったわけじゃなくて、楽しむことを大切にしました。バッチリあった、思っていた感じじゃなかったというのは、あくまでも一本松との相性のことであって、どのお料理も本当に美味しかったです!
「ソーダ割りにすると飲みやすくなるし、料理との相性が良くなるのは間違いない。でもそのお酒を飲んでいるという感覚も薄まりますね。」とUさんが言われていたのがズキンときました。
相応しい飲み方がソーダ割りばかりとなってしまうと、面白くないわけで。
食中酒だからと言ってもソーダ割り、水割り一辺倒にならないように意識することは大事だろうと思います。これって泡盛は強い・キツイと考えてしまうことと、同じように思考停止の状態とも言えるので。
そう考えるとストレートが一番相応しい飲み方とか、豆腐ようを肴にちびちびみたいな飲み方もある意味思考停止状態ですよね。歴史があって良いものはリスペクトしながらも、温故知新で頭をフル回転させていく必要があると思います。箕輪さんもこう言っているように、泡盛の世界にも初心者が入ってきやすい雰囲気を作らないとダメなんでしょうね。
スポーツでも格闘技でもアイドルでも、知識やルールを知らないにわかファンを馬鹿にするジャンルは衰退する。政治も同じでツイッターやテレビ番組で知識のマウンティング合戦にすぐになるから、新しい人はめんどくさくて入っていかないんだろうね。
— 箕輪厚介 (@minowanowa) July 22, 2019
泡盛をメインに肴は軽めという楽しみ方と料理を引き立てる脇役としての泡盛。シチュエーション毎にベストな楽しみ方ができればいいんじゃないかと思います。僕は食いしん坊なので後者として楽しむことが多くなりがちですけど。
そうそうお隣のチームが選んだ相応しい料理はこちらです。僕らのテーブルと同じものは省略しました。なぜこれを選んだかという話を聞けなかったので詳細はわかりません。次回はテーブル毎に選んだ理由を聞く時間も設けたいと思います。
今回の企画が好評だったので次回のテイスティング勉強会も同じスタイルで富山ろくちょうさんで開催します。
こちらはお約束の。初心者が入ってきやすい雰囲気が作れているのか?は疑問ですね(苦笑)。