2018年3月末で廃業した千代泉酒造所を訪ねた時のレポートです。既に休業中で見学は叶いませんでしたが、同じ日の奇しくも宮古島の奇祭「パーントゥ」を体験できたのは一生の思い出になりました。
誰もがもう飲めないと諦めた泡盛千代泉は「誇酒プロジェクト」として復活に向けて進行中。
千代泉酒造所を訪ねる@2014
宮古島滞在中に開催日と重なったのも何かの縁と思い宮古島は平良島尻地区の厄払いの奇祭「パーントゥ」へ。祭りが始まる夕方まで時間があったので池間島へのドライブがてら千代泉酒造所へ寄ってみることにしました。
千代泉酒造所が閉鎖しているのは知っていましたが、もう訪れる機会はないだろうと思ったからです。
レンタカーのナビと泡盛百科の地図では辿り着けず、近くの商店で酒造所の場所を教えてもらいました。太い道から奥へ二筋入ったところに千代泉酒造所はありました。
閉鎖している千代泉酒造所の前に立ってみて、しみじみ思ったのは「もう千代泉は飲めないんだな」ということ。
道を教えてくれたお店の方によると酒造所の建物には今は親戚の方が住んでいるようです。当然ながら宮古島で「千代泉」の泡盛を見かけることはなく、もう手に入らないものと諦めて宮古島を後にしました。訪問日:2014年10月4日
大阪に戻って家の近所の酒屋を覗くと・・・
なんと!千代泉の一升瓶がありました、しかも2本!!
当然ですが迷うことなく購入。宮古島の泡盛らしく2本を紐で縛ってみました。2本を束ねることで夫婦をあらわすのだとか、瓶を包む化粧紙があれば完璧ですね。(2014年10月)

肝心のパーントゥです。
まさかの展開で千代泉をゲットできたことで肝心のパーントゥの話がすっかり後回しになってしまいました(苦笑)。泥の神様、パーントゥに泥を塗られると無病息災で過ごせるそうで・・・

大人も子供も泥だらけ。
パーントゥは新築の家に上がって泥を付けたり車に乗り込んで泥を付けたりするそうです。だから観光客がレンタカーで見に行く時はドアロックを忘れると大変なことになります。
この泥がめちゃくちゃ臭うという情報をネットで見たのでパーントゥに捕まらないように逃げ回っていましたが、道路に落ちた泥からするとそれほど臭うように感じませんでした。
ちなみにこのパーントゥ、地元の人から振舞われた泡盛を飲んだり、オトーリの輪に入ったりするそうなのでなかなかの泡盛好きのようです。
当時2歳半くらいだった長男には衝撃体験だったらしく、今でもパーントゥのことを泥(どろ)さんと呼んで恐がっています(笑)。
そして、泥さんことパーントゥが無形遺産登録ですって!!
文化庁は24日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の補助機関が「宮古島のパーントゥ」(宮古島市)や「男鹿のナマハゲ」(秋田)など8県10件の伝統行事で構成する「来訪神 仮面・仮装の神々」を無形文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。
毎日新聞
また見たいなぁ#パーントゥ https://t.co/IRU15iUse2
— 伊藤 薫@泡盛バカの司法書士 (@itokaoru3) October 26, 2018
パーントゥの御利益が続いてます
宮古島ではまったく見かけなかった千代泉ですが、近所の別の酒屋でも見つけてしまいました!こちらは四合瓶でしかも箱付きです。
泡盛好きとしては詰口年月日を確認せずにはいられません。ラベルにはなかったのでもしかしたらと期待が膨らみましたが、この簡単に剥がれてしまいそうなシールに詰口年月日が書いてありました。

2004年6月1日以降は詰口年月日の記載をしなければいけないので、もしもこのシールが剥がれていたら2004年6月1日以前に造られた泡盛と勘違いしてしまいそうで恐いですね。
社長(代表?)が亡くなられて酒造りをストップしているようですが沖縄県酒造組合によると廃業ではなく休業中とのことでした。後継者の問題とか課題は沢山あるだろうと思いますが、なんとか再開していただいてこの泡盛が最後じゃなくて単に先代が造った泡盛になればいいなと心から思います。(2014年10月)
終わりがあれば始まりがある
2018年3月末で千代泉酒造所が廃業したというニュースを見ました。僕がパーントゥの御利益で手に入れることができた千代泉は先代が造った泡盛とはならずに、最後の千代泉になってしまいました。
— 伊藤 薫@泡盛バカの司法書士 (@itokaoru3) October 26, 2018
2013年に経営者が亡くなって以降、後継者が見つからず休業状態だったのですが、タンクに残っていた在庫の引取先が見つかったことでとうとう廃業ということになったようです。新聞には相続財産管理人が清算を終えたという記載があるので、相続人全員が相続放棄をしたため相続財産管理人が選任されて清算手続きをしていたようです。
ひとまず相続をして株式会社などの法人にしてから第三者へ引継ぐことができれば存続する可能性もあったのかもしれませんが、どうしようもありませんね。免許との兼ね合いでひとまず相続というのは難しかったのかもしれません。
でもまだ終わらないようです。
「タンクに残っていた在庫の引取先が見つかった」とあるように、那覇市の泡盛専門BAR「泡盛倉庫」が中心となった「千代泉プロジェクト」のメンバーが商品化を進めているみたいです。第1弾は「追悼」と銘打って3銘柄の泡盛とのブレンド泡盛として販売を予定しているとか。
まだ詳細はわかりませんがこちらのfacebookページでプロジェクトの進捗が発信されるようなので気になる方はこちらをご覧ください。参考|「誇酒プロジェクト(こしゅプロジェクト)」
千代泉がブレンドされた六蔵七杜氏
和歌山での忘年会の帰り道、八尾で用事があったのでかねてから気になっていた三井酒店さんにお邪魔しました。三井酒店さんは清酒、焼酎といった和酒を専門に扱っています。泡盛の数は多くはありませんでしたが、これは!というものがありました。
神谷酒造所の「六蔵七杜氏」という6つの酒造所の泡盛をブレンドした商品です。
詰口年月日が2006年なので8年古酒になっています。現在は休業している千代泉酒造所が入っているのも嬉しい。最後の1本だったのでラッキーでした。でも単に6つの酒造所の一般酒が同じ割合でブレンドされているだけなら自分で再現できるので、それはあまり面白くないよなぁという思いが帰りの道すがら頭をよぎりました。


家に着いてネットで調べてみると無濾過の泡盛をブレンドしているようなので、そこだけでも特別な商品に違いありません。ブレンドの比率はわかりませんでしたがこの商品には25度のものと43度のものがあることが分かりました。
初めて見る泡盛にテンションがあがっていたので、そういえば度数をちゃんと確認していなかったなとおそるおそるラベルを確認すると・・・25度と手書きで書いてありました。ちょっと残念。こうなると43度(赤いボトルだそう)も手に入れて飲み比べがしたくなります。(2014年12月10日)
