泡友のMさんの発案で2018年3月で廃業した千代泉酒造所の千代泉にまつわる泡盛の飲み比べ会を開催しました。準備していた泡盛はこちらです。
- 「千代泉(30度)」詰口年月日2011年7月2日
- 追悼/千代泉ブレンドボトル 第一弾(31度)
- 追悼/千代泉ブレンドボトル 第二弾(40度)
- 「たつ浪 (44度)」・伊平屋酒造所※千代泉ブレンドに使用した物
- 「六蔵七杜氏(25度)」
- 「残波2002(25度)」比嘉酒造
休業前の千代泉は宮古島でも見つけることができなかったのですが、大阪でしかもなんと家の近所の酒屋で見つけて持っていたんですよね。
テイスティンググラスを使う理由

テイスティンググラスを使って泡盛のきき酒会をします。テイスティンググラスを使うのはいつもの勉強会(大阪泡盛の会)と同じですがテイスティングノートは書きません。
最初はノリノリだったのに次第にフェードアウトしていく人を何人も見てきて(苦笑)、テイスティングノートを書くことがハードルが高いのはわかっているので、それに耐えれそうな方にしか勉強会の案内はしてきませんでした。
ちょっと閉鎖的なスタンスがこの勉強会の持ち味だと思っていましたが、前回の勉強会にはじめて参加されたMさんのあまりにも楽しそうな反応を見ていて気持ちが変わりました。

Mさんは泡盛マイスターに興味があるようなのでテイスティングノートを書くことに抵抗感はあまりないと思いますが、この日は僕と二人だったこともあって結局ほとんどテイスティングノートは書きませんでした。
テイスティンググラスを使って泡盛の香りを確認したり、甘味酸味などの味わいを3銘柄交互に比較したりすることで、味わいの個性を感じることがとても楽しそうでした。
泡盛を楽しむのにちぶぐゎーという小さな盃などの酒器もいいんですが、同じ条件で飲み比べができるテイスティンググラスを使ったきき酒の面白さに開眼されたような感じでした。
そういうこともあってテイスティングノートを書くことは忘れて、テイスティンググラスを使った泡盛のきき酒の楽しさがもっと伝われば、泡盛に興味をもってもらえる人が増えるんじゃないかと思ったのでした。
それとテイスティンググラスを使ったきき酒会をやろうと思った理由はもう1つあります。ここ数年ずっと気になっていることがあって、それは泡盛はロックで飲むものと思っている人が多いことです(関西だけですかね?)
沖縄物産展の泡盛BARに立って現場の様子を見ていると「ロックで!」というオーダーがダントツに多いです。

すすめてもはじめは「泡盛って強いですよね?どうしようかな・・・」という反応なのに、飲むとなったら泡盛はオンザロック派がほとんど。ほんと不思議です。
でも思い当たることはあります。冬場のテイスティング勉強会は泡盛が冷え切ってしまっているので香りが全然立たないんです。スキル不足と言われればそれまでですが、特徴がつかめなくてテイスティングノートを書く手が止まることもしょっちゅう(苦笑)。
そう考えるとオンザロックにすると泡盛が氷で冷やされて、泡盛の香りが立ちにくなって飲みやすくなることが理由かなと思います。そうだとしたら泡盛初心者はともかく、泡盛好きがオンザロックを好むのはそれこそよくわからないんですよね~。
「泡盛らしさ」が好きと言いながら泡盛の香りを感じにくくなるように飲み方をするのは矛盾しているんじゃないかと僕は思います。香りを楽しみたいのにあえて香りが立ちにくくして飲んでいたらもったいないですよね。
話がずれますが、さすがに今年の猛暑は泡盛はオンザロックで飲みたくなりました。こう暑いと常温のストレートの泡盛が重くて喉を通らない感じでしたね。猛暑や炎天下で飲むなら香りが立ちにくいとかは忘れてオンザロックで冷やして飲むのもアリだと思いました。
まあ嗜好品なんで好きに飲んだらいいんですけど。でも泡盛はロックで飲むものというイメージが定着するのは、初心者が泡盛を気軽に飲もうということにつながらないのでそんなイメージはできるだけ壊したいですね。
勉強会の時もそうですが今回のきき酒会も泡盛はストレートで味わいます。泡盛はロック派を自称する方にこそテイスティンググラスで常温の泡盛を感じてもらいたいと思います。チェイサーはたっぷり用意しますのでご安心ください。
盛り沢山のテイスティング会
こんな機会は二度とないだろうとやりたいこと盛り沢山で準備していました。
- 4種類の千代泉の飲み比べ
- テイスティンググラスできき酒
- 一滴お水を垂らして香りを楽しむ
- 千代泉の唄(島酒ぷりむぬ)を楽しむ
- 美味しいお弁当と泡盛を楽しむ
- 4種類のメニューにあう泡盛を考える
- カカオニブのアイスと泡盛を楽しむ
- テイスティングノートを書く(個人的に)
- お約束の泡盛プロップス
これに誇酒プロジェクトの代表、泡盛倉庫の比嘉康二さんがスカイプで参戦してくれることになってって詰め込み過ぎですね~
沖縄の兄貴Tさんから千代泉の唄(島酒ぷりむぬ)の歌詞と音源をいただいていたのでオープニングでみんなで聞きました。
ちょいズミ~千代泉ズミ泡盛は~♪
このフレーズが頭の中でめっちゃ回るんですよねぇ(笑)。作詞・歌の「のひなひろし」さんと千代泉の社長さんが同級生なんだそうです。かなり前の作品でライブの度に「まだギャラもらってねーんだよなぁ」とネタにしていたとTさんに教えていただきました。
残波2002のカリー!ではじまり、事務所の真下にある「北浜よし田」さんのお弁当を食べながらしばしウォーミングアップタイムです。
誇酒プロジェクトのサイトで本日の主役、追悼/千代泉ブレンドボトルのテイスティングメモ、ブレンド酒のスペック、ブレンド比率についておさらいしながら比嘉さんに聞いてみたいことをまとめました。
【 追悼/千代泉酒造所泡盛ブレンド泡盛 第一弾 】
「松藤 崎山酒造廠 千代泉酒造所」は、崎山酒造廠「赤の松藤」の華やかな黒糖酵母の香りと千代泉酒造所 泡盛 の厚みのある味わいが特徴です。ストレートやオンザロックでゆったりと味わいながら楽しんでいただけます。
ブレンド内容
・千代泉酒造所 泡盛33度:古酒用35度のタンクが6年経過で33度
・崎山酒造廠 赤の松藤30度 :黒糖酵母
・ブレンド比率 松藤70%、千代泉酒造所 泡盛30%【 追悼/千代泉酒造所泡盛ブレンド泡盛 第二弾 】
「たつ浪 伊平屋酒造所 千代泉酒造所」は、伊平屋酒造所「たつ浪」のオイリーかつ、重厚な味わいと千代泉酒造所 泡盛の古酒香がたつ浪のやんちゃな要素を優しく包み泡盛の輪郭を滑らかにしたバランスが特徴です。
ブレンド内容
誇酒プロジェクトのサイト
・千代泉酒造所 泡盛33度:古酒用35度のタンクが6年経過で33度
・伊平屋酒造所 たつ浪44度:30年前の仕込み方を再現した限定酒
・ブレンド比率 たつ浪60%、千代泉酒造所 泡盛40%
なぜ千代泉をブレンドしたの?
スカイプをつなぐ前に比嘉さんに聞いてみたいことを話してみたら・・・参加者全員が聞いてみたかったのはなんでブレンドしたんだろう?ということなんですが、いろいろな疑問を含んでいます。
- 杜氏が想いを込めて大切に造ったお酒をなぜブレンドするんですか?
- 泡盛倉庫さんをはじめ誇酒プロジェクトのメンバーは泡盛の製造免許がないから他の泡盛メーカーと組んでブレンドをしないと商品化できないんじゃないの?
- いや、でも100%千代泉の泡盛もいずれ販売するみたいですよ
- えー!それならブレンドすることと製造免許の問題は関係ないってこと!?
- いずれにしても松藤やたつ浪、南光とブレンドした理由って気になるよね~
といったやりとりがあっての、なんで千代泉をブレンドしたんだろう?という疑問です。泡盛ファンで同じように思っていた人も多いんじゃないですか?
スカイプをつないだら比嘉さんがとってもわかりやすく僕らのこの疑問を解消してくれました。
酒造組合が絡んでいたなんて・・・。泡盛倉庫さんは原酒を買い取っていないようです。これを読んで買い取ってないと思う人っているんでしょうか?新聞報道を鵜呑みにしたらダメですね~ミスリードされてしまってた(苦笑)
宮古島の「千代泉」復活へ 泡盛倉庫、残った原酒買い取る 価値高め今夏にも販売 – 琉球新報 – 沖縄の新聞、地域のニュース https://t.co/kiRaOgQtYP
— 伊藤 薫@泡盛バカの司法書士 (@itokaoru3) October 26, 2018
2017年の1月にTの兄貴と那覇で開催したイベント「バルピカソで泡盛を語ろうランチ会」のときに休業中だった千代泉の蔵に残されている泡盛のことが話題になりました。
相続人が相続放棄をしているようだと聞いていたので、泡盛の製造免許があるところが買い取るしかないんじゃないの?それなら「南風」や「海乃邦」を販売している沖縄県酒造協同組合が千代泉を買い取ればいいんじゃないの?という話をしていたので、やっぱりそういうことだったんだ~という思いです。
なぜ松藤、たつ浪とブレンドしたの?
- 千代泉にできなかったことをしてあげたい
- 同じような規模で離島で頑張っている蔵元と一緒に頑張りたい
これについても納得のいくお話しが聞けてみなさんすっきりとした気持ちで帰られました。他にも聞きたかったこともあわせて比嘉さんが営業終了後のひとり言で詳しく話してくれているのでぜひご覧ください!
比嘉さんが誇酒プロジェクトにかける想いを文章でもあらためて書いてくれましたのでこちらで紹介させていただきますね。
1.千代泉だけを販売しても既存のメーカーと限定的にシェアを奪い合う、そして既存のファンしか価値を感じない、未来のない提案になると考えました。泡盛倉庫が捨てられそうな千代泉を買う理由。。。もちろんお酒には命があり飲んでいただいて初めて意味が生まれます。泡盛を愛していると日々活動しているのに、目の前から大切なお酒が捨てられていくなんてありえません。
千代泉だけを販売することが楽だったでしょうが、最期の千代泉を扱わせていただく。どのように最後の一滴までを飲んでいただけるのか。。。そう考えた結果、まずはブレンドして今を生きる中規模以下の蔵元さんとブレンドしようと始まりました。
2.ブレンドについて
中規模以下。そして、千代泉の出来なかったことをしてあげたい。ブレンド率は各社自由で、千代泉を預け、意味のあるブレンド、美味しさや、飲み方を明確に考えた結果であればどんな割合でもOK。
松藤の黒糖酵母は香りのおとなしい千代泉に黒糖酵母の個性を楽しんでもらいたかた。たつ浪はエネルギーのある44度をブレンドすることで、熟成させ未来に飲んでいただけるのではないか。また同じような小さな離島の蔵元としての共通点から、共に発信したかったから。
第三弾は。。。まだ発売前なので(笑)。。。明日からですね。フライングになるので、またライブ動画などでお話しますm(__)m
想いを押し付けるつもりはございませんが、これまでの泡盛との接し方と同じで、作り手の想いも、飲み手の想いも、そして泡盛の未来も想像して丁寧に発信していけたらと思います。いまだ助成金なども活用しておらず、リスクをしょったプロジェクトで大きな発信ができておりませんが、こういった場で一人一人のみなさまに想いを届けることを少しずつしていけたらと思います。
疑問、質問、そして叱咤激励をいつでもお待ちしております。皆様の声でプロジェクトチームも日々自問自答しながら、泡盛の未来を繋げて行けたらと奮闘中です。
伊藤さんはじめ、読んでくださった皆様に感謝です。
誇酒プロジェクト
比嘉康二
それから誇酒プロジェクトのサイトが遂に完成したようです。こちらも是非!まもなく神谷酒造所の南光とブレンドされた第三弾が発売されるようなので、千代泉ベースの3種類のブレンド泡盛の飲み比べを是非楽しんでみてはいかがでしょう?
千代泉とのマリアージュを考える
参加された居食屋わいるどふぁーむの由井さんが差し入れてくれたお料理(唐辛子味噌、海ぶどう、チラガーを炊いたもの、鯖と胡瓜の酢の物)と泡盛を楽しんだり。
Mさんがカカオニブとカカオニブ入りの手作りアイスを、泡盛マイスターのSさんは東京土産のお菓子を差し入れてくれたので泡盛と一緒に楽しみました。みなさんが。。。
僕はイベント当日の大腸カメラの検査中にポリープが見つかって、すぐ取ったので1週間の禁酒。今日明日はお粥とうどんだけにしてください!と言われた僕に許されたのは水だけ。
こんな夜にお前が飲めないなんて~♪
飲めない食べれない僕には目に毒な会です。主催じゃなかったら休んでますわ(苦笑)。
飲めないのをいいことに泡盛テイスティングチャート片手に素面でテイスティングノートを書くつもりでしたが、ほとんど書けませんでした。飲めないとどうしても機動力が落ちますね。。
スカイプ参戦してくれた比嘉さんでしたがお店がお客さんで賑わっていて思っていたより絡めませんでした。でも直接聞けるって嬉しいですよね。イベントの価値を上げていただきありがとうございました。
それにしてもやっぱり事前準備は大事ですね。スカイプはうまくつながらなくてメッセンジャーの電話になってしまいました。
楽しい時間が薄まるのはもったいじゃないですか。こんな会は二度とないわけだし。となると、こんな夜に一滴も飲めなかった僕は大馬鹿野郎ってことですね(苦笑)。
でも参加された方に楽しんでもらえたらそれが一番。これからも泡盛ファンそして参加された方の気持ちに立ってイベントを開催していこうと思います。
わいるどふぁーむさんのお料理は由井さんが育てている畑の食材を使って作られています。僕が好きなキャンプ場に行く通り道にお店があるのでお邪魔する機会を伺っています。そして泡盛イベントも企画したいです(^^♪
イベントページ|テイスティンググラスで古酒会 千代泉編