遺留分とは?|遺言書を書くときは要注意

遺言書講座

相続のご相談を受けていて感じることですが、「遺留分(いりゅうぶん)」という言葉は皆さんよくご存知のようですね。最近、テレビ、雑誌等で相続・遺言書の特集が組まれることが多いからでしょうか。

遺留分は「兄弟姉妹を除く法定相続人に認められている絶対的な相続財産の受け取り分」のことですが、その割合を法定相続分と混同されていたり、兄弟姉妹にも遺留分があると勘違いされる方も多いような気がします。

遺言書を書く上で最低限押さえて置きたい遺留分の基本的な内容をお伝えします。

記事の内容

  • 遺留分と法定相続分の違い
  • 遺言書を書くときに注意したいこと
  • 遺留分はいつまで取り戻せるの?
  • 遺留分を放棄すると・・・

では見ていきましょう。

遺留分と法定相続分は違います。

簡単に法定相続分と遺留分の割合を整理してみると、下の図のようになります。

法定相続分と遺留分の比較
法定相続分と遺留分の比較

相続人が配偶者と子供のケースなら、全財産を相続人以外の第三者に遺贈するといった内容の遺言書があったとしても、相続財産の4分の1は、配偶者も子供もそれぞれ遺留分を主張出来るということになります。

遺言書を書くときに注意したいこと。

「うちはたいした財産もないし、子供たちも仲がいいから、相続の心配なんてしていませんよ」と仰る方の方が、次のようなお話しすると遺留分の割合を非常に気にされるように感じます。

例えば、主な財産である自宅を同居している長男に相続させるといった遺言書を作った場合に、他のお子さんから長男の方に遺留分を請求される可能性がありますといった内容です。

同居して面倒を見てくれたお子さんに財産をのこしたいという気持ちも分かりますが、他のお子さんの遺留分を考えておかないと、亡くなった後で家族がもめてしまう可能性もあるということです。

財産が自宅ではなくて、現金なら簡単に分けることが出来ますが、不動産は分けにくいものですし、同居しているのであれば、売却してから現金を分けるのも現実的ではありません。

遺言書を作るのであれば、正しく遺留分の割合を把握したうえで、くれぐれも遺言書がトラブルの火種にならないようにしたいものですね。


法律が改正されて2019年7月1日から遺留分減殺請求権が遺留分侵害額請求権に変わり、遺留分を侵害している額に相当する金銭の支払いを請求することができるということになります。

第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

民法

遺留分はいつでも取り戻せるの?

遺留分は放棄することができます。当然ながら、いつまでも遺留分を請求できたり放棄できたりすると法的に不安定な状態が続いてしまうので、遺留分を取り戻すことができる期間が次のように定められています。

  • 「相続が起きたこと」及び「遺留分を侵害するような贈与・遺贈があったこと」を知った時から1年
  • 相続が起きた時から10年

相続が開始する前でも遺留分を放棄することができますが、相続が開始する前に遺留分を請求することは出来ません。それはさすがに無理です。

以前、遺言書作成のご相談を伺った方には現在の結婚と前婚のどちらにもお子さんがおられました。前婚でのお子さんに遺留分があることや遺留分の時効について説明をさせていただいた後で、その方がひと言、「とにかく10年間経ってしまえばいいんやね。時効を狙おうか」。

同席されていた奥様に「冗談やで」と間髪いれずにおっしゃったのですが、その方の目は笑ってなかったので、この人は本気だなと思った記憶があります。

ご相談だけでしたので遺言書を書かれたのか?どんな内容の遺言書を書かれたのか?は知る由もありませんが、時効を狙おうと考えることはくれぐれも止めてください。

(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

民法

他の相続人が遺留分を放棄すると・・・

遺留分を放棄しても他の相続人の遺留分は増えません。この点は相続放棄の場合とは異なります。

例えば、亡くなったXさんの再婚相手のYさんと、Xさんと前妻との子供であるAさん・Bさんの3人が相続人の場合。

Xさんが「妻Yにすべての財産を相続させる」という遺言を遺していたとすると、Aさん、Bさんは遺留分である8分の1をそれぞれ取り戻すことができます。

仮にBさんが遺留分を放棄したとしても、Aさんの遺留分は8分の1のままで増えません。

相続放棄の場合は・・・

Xさんが遺言書を作成しないで亡くなった場合、妻であるYさんの法定相続分は2分の1で、お子さん達Aさん・Bさんの法定相続分は各4分の1になります。Bさんが相続放棄をすると、Aさんの相続分は2分の1に増えます。 ここが遺留分の放棄とは違います。

だから、相続人の中でもし遺留分を放棄する人がいたとしても自分の遺留分が増えるということにはなりません。あくまでも相続人それぞれについて定まっているので、遺留分を放棄することも相続人それぞれがすることができます。

また、遺留分を取り戻すかどうかも各相続人の意思に委ねられているので、兄弟であっても「俺の遺留分も一緒に取り戻しておいて」というわけにはいきません。

(遺留分の放棄)
第千四十九条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

民法

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