この節税対策で得をするのは誰?

先日、司法書士会の相続電話相談の当番に行ってきました。

1件相談が終わり受話器を置いたとたんにすぐまた次って感じで、それはもうひっきりなしに電話がかかってきました。

2月、3月は相続のご相談が増える時期ですが、最近の相続への感心の高まりを感じる忙しさでした。

 

相続関連のニュースで気になったのが「相続税の節税を目的にした養子縁組は有効か、無効かが争われた裁判」です。

 

はじめは国と相続人間の争いかなと思いましたが、相続税の節税を目的にした養子縁組というのは富裕層では一般的に行われているのでいまさら感もありました。

ニュースや裁判例をじっくり読むと争っているのは国と相続人ではなく、相続人同士でした。

節税できるなら相続人全員にメリットがありそうなのに相続人間で争いになるのは、

なぜなのか?・・・

 

養子縁組で誰が得をするのか?

被相続人(亡くなった方)には3人の子供がいました。

そして長男の子供と被相続人が養子縁組をしていて、二人の妹がこの養子縁組の有効性を争うという裁判でした。

そもそも。

養子縁組をするとなぜ節税効果があるのかというと、相続人が増えることで相続人の人数による基礎控除の額を増やすことができるからです。

一方で、被相続人の相続税額を減らすと同時に各相続人の法定相続分は減ってしまいます。

ということは全体としては節税になっても兄弟姉妹の家族単位でみると取り分に差が出ることになります。

ようするに養子縁組で相続人がひとり増えた分を補えるほどの節税効果は期待できないということなんですね。

 

こう聞くと仮に3人の子供にそれぞれ子供がいたなら3人の子供達がそれぞれ自分の子供を被相続人の養子にすれば良かったのではないか?

というアイディアが浮ぶかもしれません。

しかし実子がいる場合、養子は1人、実子がいなければ養子は2人しか相続人の人数に応じた基礎控除の対象にならないので、残念ながら養子を3人にしても3人分の節税効果は期待できません。

 

それぞれが養子縁組をせずとも遺産分割協議の中で兄弟姉妹間の取り分を調整する方法もあるわけですが、もはやそういうことができる状況ではなくなってしまったんでしょう。

まわりの理解・協力なくしてひとりが主導する節税対策は、まわりから良くやったと評価されることはなく、出し抜かれたという思いが生まれることが多いのではないでしょうか。

被相続人の亡くなった時期からすると法定相続人ひとりあたりの基礎控除額は1,000万円ですが、最高裁までの裁判費用などを考えると、実質的な節税効果はどのくらいあったのか非常に気になるところです。

相続人のひとりが勝手に進める節税対策は結果的にはあまり効果を生まないばかりか、兄弟姉妹の関係が修復できない状況になってしまうこともあることが浮き彫りになった事例だと感じました。

子供がひとりのケースでその配偶者と親(被相続人)とが養子縁組をするケースなら揉める可能性は低いのかなと思いますが、夫婦間の関係が悪化すればまた違った問題が起きる可能性があるわけで・・・

節税って難しいですね。


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