その27 食べ物の好みを書いておいた方がいい理由

私、司法書士伊藤 薫がコクヨのエンディングノートを書いてみた体験談です。1冊のエンディングノートをはじめから最後まで2ヵ月半かけて書いていく中で、感じた気持ちや相続の専門家からみて注意しておくべき点、エンディングノートにまつわるエピソードを綴ったものです。

「介護について」の最後です。 介護についてのページは見開きで2ページあります。介護に対する希望を書いておくのに1ページ、残りの1ページには自分自身の食べ物や洋服の好み、趣味や苦手なものについて書いておくように作られています。

食べ物の好みなんてどうでもいいことと思われるかもしれませんが、私が成年後見人(法定後見)をした経験から言わせてもらえば、ここは大事なのでしっかり書いておくべきです。

というのも家庭裁判所から成年後見人に選任されて、ご本人(被後見人)と初めてお会いする時に全く意思疎通がとれない方もおられます。 ご家族からご本人についてお話をうかがえればよいのですが、ひとり暮らしだったりするとその方がこれまでどのような人生を歩んでこられたのか?もっと基本的なことですが、食べ物や洋服の好み、苦手なものがまったくわからないこともあります。

この辺の好みを成年後見人なり、施設の方などが十分理解しているのと理解していないのでは、これからの生活の質がだいぶ変わってくるかもしれません。

例えば栄養のバランスを考えて毎日食卓に並ぶメニューに大嫌いな食材がふんだんに使われているとか、寒くないようにと着せてくれたタートルネックが不愉快で極まりないとか。 ドッグセラピーなんかも精神的安定や運動機能回復効果が期待できるとは思いますが、過去に噛まれたことがあって近くにいるのも我慢できないという人にとっては死活問題です。

些細なことかもしれませんが、ご本人が意思表示できなくてもこういった情報が書いてあるエンディングノートがあれば、第三者の成年後見人でも簡単に知ることができます。 そういう理由で書いておくべきだと私は思います。

ちなみに私はほとんど嫌いなものがありませんがパクチーだけはほんと勘弁してほしいです。誰が見てもわかるように、「パクチーが嫌い、特にあの臭いが嫌だ!」としっかり書いておきました。

その28に続く。