All posts by 伊藤薫

vol.3 1万時間の試験勉強で何かのプロになれたのか?

「2年で司法書士に合格するって、すごく早いですよね?」

最近、こんなことを言われて久しぶりに合格した時のことを思い出しました。当時の心境としては「やっと合格できたぁー」という感じでしたが、今となっては「よく合格できたなぁ」としみじみ思います。

2年間の勉強期間で「やっと」という表現は相応しくないと思うかもしれませんがそれなりに理由があります。司法書士試験に合格するには3,000時間は勉強しないと受からないと僕が受験していた頃は言われていました(今はどうなのかわかりません)。

僕は事情があって「なんとか1回で合格してやろう!」という野望を持って挑んだので、15ヶ月×30日×10時間/日。ざっと計算しても余裕で3,000時間をクリアできるような勉強計画を立てて取り組んでいました。

結果、1回目の挑戦は見事に玉砕。普通はそんなもんです、普通は。1回で合格しなくちゃという思いが余りにも強かったのでだいぶ凹みましたけど(苦笑)。

2年目は12ヶ月×30日×12時間/日。合格できなかったのは勉強時間が足りなかったんだろうと更に2時間増やしたんですよね。

2回目の試験も手応えがなかったので3回目の挑戦も見据えて結果発表までに、さらに3ヶ月。限りなく1万時間を司法書士試験の勉強にかけた計算になります。

だから当時の僕の心境の「やっと合格できたぁー」は、3,000時間どころかその3倍の1万時間も勉強してやっと合格できたぁーというニュアンスなんです。

期間だけを見れば2年は早いかもしれないけど、勉強時間としては相当やっているわけで。1日3時間で1万時間勉強しようと思ったら10年はかかりますからね。結局のところ何年勉強したかよりも何時間やったか、これに尽きるかなと。

「どんな分野でも1万時間程度継続して練習すれば、その分野のプロになれる」という経験則が1万時間の法則ですが、司法書士試験の勉強に1万時間をかけていったい何のプロになることができたのか?

合格したものの実務経験はゼロだったので司法書士のプロになれるはずもなく、何かのプロになれたんだろうか?と掘り下げてみようと思いました。

残念すぎる我が資格試験人生

「2回で合格」というと、もともと資格試験とか得意なんでしょ?とよく言われるんですが、

  • サラリーマン時代は技術士補の試験に5年間落ち続け
  • TOEICを受ければ4択のほぼ確率通りの250点
  • 脱サラの糸口を掴もうと挑戦した簿記3級も見事に惨敗

というかなり残念な資格試験人生なので勘違いということはわかってもらえるかと。

だから仕事を辞めてまで合格率3%未満の司法書士試験に挑戦しようなんて、だいぶ頭がおかしいですよね?(苦笑)

技術士補というのは技術士という試験の前段階の比較的簡単な試験なのに、こんなに落ち続ける奴も珍しく、会社を辞める時は司法書士試験に挑戦するために辞めるなんて恥ずかしくて言えなかったですもんね。。

ここまで書いていて気づいたのですが、好きなことだからこそ1万時間も続けることができると一般的に言われてますが、僕の場合は違ったなぁ~と。

大学は工学部だから法律を勉強したこともなかったし、資格試験は苦手意識しかなかったから好きなはずもない。得意でも好きでもないことで1万時間を達成できたのは我ながら凄いなぁと気がついたんですよね。 それにはある事情が関係しているんですがそれはまたあらためて。

苦手なものに1万時間もかけたんだから、何かのプロになってないと報われないような気がしてきましたよ。

何か変わってないか??

司法書士試験の後にいくつか資格試験を受けました。

  • 簡易裁判所で訴訟代理をするための司法書士の試験
  • 行政書士
  • 宅建
  • 泡盛マイスター

前はあんなに落ち続けていたのに、どれも一発合格できました。行政書士と宅建は出題される範囲が司法書士と一部かぶるので多少のアドバンテージはあるにせよ、泡盛マイスターは完全に未知の世界でしたが1回で合格できました。

泡盛マイスター認証書

それから、全然威張れる点数じゃないんですけどTOEICは250点→500点と倍になりました。さらに僕が試験勉強に関わらせてもらった

  • うちの相方は宅建に
  • 事務所の先輩は司法書士に
  • 泡盛友達は泡盛マイスターに

軒並み合格!というおまけまで付いて来ました!司法書士試験の勉強を1万時間やり続けたことで資格試験に合格するための勉強のコツを掴んでいたようです(^^)

司法書士試験の勉強に1万時間をかけた先にあったのは・・・苦手意識しかなかった資格試験を克服できた自分でした。苦手なことを1万時間やり続けたことは無駄じゃなかったと思えるくらい、これは相当な自信につながりました。

合格はスタートなのに・・・

実務経験がなかったので合格した後はすぐに司法書士事務所で働き始めました。

司法書士を目指したのは独立できる資格を取って、早く独立したかったからなのに、今思えば僕は司法書士試験に合格することをゴールにしてしまっていたようで、手段が目的になってしまっていました。これからっていう大事なときに走る気力、体力が残っていなかったように思います。

そうなってしまった理由はvol.4へ続きます。


まさに1万時間チャレンジ中の方や1万時間にチャレンジしてみたい分野がある方など、「1万時間の法則」をベースにしたブランディングに興味がある方と、来年に向けて前向きに情報交換をしながら飲みたいと思い忘年会を企画しました。ピンと来た方のご参加をお待ちしています!

忘年会

「1万時間チャレンジャー忘年会(仮)」
日時:12月6日(水)19時~
会場:串かつ はなみ

詳細はこちらです。

vol.2 混ぜるな危険!? ハイブリットのチカラ

必ず食える1%の人になる方法

「藤原和博の必ず食える1%の人になる方法」を読んで、面白そうだとここ数年実践してきたことがあります。それは必ず食える1%になるには100人に1人の専門分野を作り、それを掛け合わせることで自分のレアさを出していくという戦略。

僕の場合、掛け合わせているのは「司法書士」と「泡盛」。

こんなハイブリットがうまくいくのか?
そもそもこんな「混ぜるな危険」って感じのものを掛け合わせちゃって大丈夫なのか?

と思う方がほとんどですよね。僕もそう思って混ぜる前はかなり躊躇してました(笑)。

いざ混ぜてみて・・・「司法書士」×「泡盛」のハイブリットのチカラを実感したのは、那覇のホテルのロビーでした。

新聞を開いたら黄色のハッピが目に飛び込んで来た!

沖縄タイムス4

この記事はオリジナル泡盛造りの打合せの様子を沖縄タイムスさんに取材していただいたときのもの。

沖縄タイムス5

取材していただくきっかけとなったのはプレスリリースでした。すみません、ちょっと格好良く言いました(笑)。正確にはダイレクトメールでした。取材の2ヶ月前くらいにたまたま記者の方を紹介していただいたので、記者の方にオリジナル泡盛造りのことを直接メールしてみました。

スルーされてもそれはそれでいいやと。とりあえず情報発信をしておこう、そんなノリでした。

メールが功を奏してこの記事があるわけですが、取材の直後に1、2度、確認のための電話があったので「もしかすると明日の朝刊に載ったりして?」と妄想する一方で、泡盛マイスターの技能競技大会の時なんか記事になるまでに結構時間があったので「いやいやーさすがに翌日はないやろー」と妄想にひとりでツッコミを入れたりして、朝を迎えました。

いつも通り泡盛友達と沖縄の夜を楽しんだので、眠い目をこすりながら「もしかしたら」という期待と「今日はないよな」という諦めが入り混じった心境でおそるおそる新聞を開くと・・・

載ってたんですよ、しかも予想外のこのサイズで。昨日は他にニュースがなかったんかな?(笑)とマジで思ってしまうくらい。しかも写真はカラーでした。

沖縄タイムス6

司法書士なのに、沖縄に縁もゆかりもないのに、ここまでして泡盛を応援しようとしている、そこが「大きく取り上げよう」という社内の反応に繋がりましたと記者の方から後日、伺いました。

裏を返せばいくら大阪発のオリジナル泡盛といったところで、僕が司法書士じゃなくて、普通に酒屋を営んでいる泡盛好きなら記事にならなかったんだろうと思いました。

いやらしい話ですが・・・

このコラムを書くにあたって、もしこのサイズの広告を沖縄タイムスに出すとしたらいくらかかるのか気になって調べてみました。結局のところはっきりとはわからなかったのですが、縦は6段20センチ以上、横は14センチなので数万円では済まないですよね。金額はともかく他の泡盛メーカーさんの新商品の記事でもこのサイズはほとんど見かけないですからほんとびっくりでした。

ホテルで開いた新聞に黄色のハッピを着た自分が載ってることが可笑しくて、半笑いで新聞を買いにコンビニ走ったというのは忘れられない思い出になりました。

どうせだめだろうと思ってもやってみることって大事だよなということも身にしみました。

これもハイブリットの成せる業?

他にも司法書士×泡盛でメディアに載ったことがありまして、これはまさかのYAHOO!ニュースです。

YAHOO!ニュース

YAHOO!ニュースなんて「司法書士が○○で逮捕!」とか、なにかやらかしたときくらいしか縁がないものだと思ってましたが(苦笑)、事件じゃなくて大臣賞!明るい話題ですよ!司法書士試験に合格した時はまさかこんな日が来るなんて思ってもみませんでした(遠い目)。

これでこの沖縄タイムスのように写真が載ってたらサイコーなんですが。

沖縄タイムス3

でも、これは大会にエントリーをする時に職場を「司法書士・行政書士いとう事務所」と書いていたからで別にハイブリットの効果ではないですね。

この記事はどうでしょう?セミナーを開催しているエンディングノートの活用法について「日経ビジネスアソシエ」で記事にして頂いたものです(セミナー開催例:「最幸の人生を見つける旅」)。

%e6%97%a5%e7%b5%8c%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%8d%e3%82%b9%e3%82%a2%e3%82%bd%e3%82%b7%e3%82%a8

日経ビジネスアソシエ1

自己紹介に「泡盛マイスター」と書いてもらったのは、僕自身も仕事以外の分野で目標を決めて実践している点を評価してもらったのかなと思います。エンディングノートを使った目標設定方法について取り組んでいる方はいないこともないだろうと思うので、取材してもらえた時点でこれもハイブリットのチカラによるものかもしれませんね。

売れている芸人さんもハイブリット戦略!?

京大×芸人、家電好き×芸人、グルメ×芸人・・・バラエティ番組などでひっこりだこの芸人さんの顔がいろいろ浮んできませんか?

掛け合わせているものはどれもお笑いのネタの面白さとは関係のないもの。人気が出るためには当然ながらボケやツッコミのスキル、話の面白さは求められると思いますが、プロの芸人さんなら誰もが一定のレベルは超えているわけで、それ以外の部分で尖っている・キャラが立っている人が選ばれると思うとTVの世界でもハイブリットのチカラを垣間見ることができます。

さて、いざハイブリット(掛け合わせ)を実践してみようと思うと、○○士、○○ソムリエ、○○カウンセラー、○○・・・と資格や肩書きを増やそうと思うかもしれませんが、それってちょっと違うような気がします。

僕が思うにハイブリットは増やすように見えて実は絞り込んでいるイメージです。うまく伝わっていないような気がするので例を挙げると、「美人過ぎる○○」みたいな感じ。

ハイブリットは掛け算のようで実は・・・

例えば「美人過ぎる議員」とか。

美人だけで勝負したらそうでもないけど(失礼しました!)、議員の中で周りを見渡すと「美人過ぎる」ということになるわけですよね。これって「美人」と「議員」を掛け合わせることで、要は戦う範囲を絞り込んでいるわけですよね。

僕だったら、司法書士として大したことはないけど、泡盛に関しては日本一詳しい司法書士みたいな感じですよね、負け惜しみじゃなくて(苦笑)。

「美人過ぎる議員」ってことだけでは議員としての能力はわからないけれど、話題性があることで影響力・発信力が上がって仕事もしやすくなる、そんな一面があると思います。

ここでハイブリット戦略の基本に立ち返ってみると

必ず食える1%の人になるために100万人に1人のレアな存在になろう。かといって1つの分野で100万人に1人を目指すのはあまりにハードルが高いので、100人に1人になれる分野を3つ持とう。そうすることで1/100×1/100×1/100で100万人に1人のレアな存在になれる。

100人に1人の存在になるためにはその分野に1万時間を投じて練習する必要があって、逆にそれが出来れば誰でも100人に1人になれる。そして、1万時間を投じるのは仕事に直結しないことでもいい。単に好きなことでいい。

ハイブリット戦略とはこういうことなんですよね。家電好き×芸人なんてまさにそうですよね。心底、家電が好きだから余裕で1万時間以上を投じて家電のことを勉強されていると思います。

と考えると、1万時間をかけて勉強していない分野を掛け合わせたところでハイブリットのチカラは発揮できないと思いませんか?

また繰り返しになりますが、ハイブリットと聞くと掛け合わせることで得意分野(引き出し)を増やすようなイメージがあるかもしれませんが、増やすというよりその逆でその分野では1番になれるように立ち位置を絞込むことだと感じています。

みなさんが1万時間をかけて極めたい好きなことってなんですか?

vol.1 成熟社会には「正解」がなかったという悲劇!?

司法書士なのにSNSの投稿は泡盛のことばかり!

泡盛夏祭りで盛り泡ろうバナー2

泡盛ファンのコミュニティ 泡盛でカリー!倶楽部


司法書士なのに相続セミナーよりも泡盛講座の依頼が多い!

マカロンと泡盛のマリアージュバナー

おいしいかわいい沖縄展2015-2017@阪急うめだ本店
めんそーれ阪神の沖縄味と技展2016@阪神梅田本店
泡盛、三線、琉球舞踊の沖縄尽くし@JEUGIAカルチャーセンターなど 泡盛イベント出演実績


司法書士なのにオリジナル泡盛を販売!

オリジナル泡盛を販売

泡盛でカリー!ブレンド(12度)」好評発売中!

普通の司法書士だった僕がこんなユニークな司法書士になってしまった理由。

思い当たる理由はいろいろありますが、そもそものきっかけは35歳の時に出会ったこの「35歳の教科書(藤原和博)」でした。

35歳の教科書

成熟社会と納得解

この本に出会ったのはまさに35歳で、司法書士として独立した頃。独立直後は受験勉強中に思い描いていたバラ色の世界とはかけ離れ過ぎていて、はっきり言って「予備校のうそつき~」と嘆いていた頃でした(笑)。

司法書士試験は会社を辞めて退路を断っての挑戦だったので、試験に合格さえすれば道は開かれる、この苦しい受験勉強も合格すれば必ず報われると信じて盲目的に受験勉強に邁進していました。それだけに独立して冷静に状況を把握すると思い描いていたものとのギャップが大きすぎて相当苦しみました。

この本に書かれているように「いい大学を出ていい会社に入ること」が幸せになるためのひとつの正解だと僕も例にもれずに思っていました。そもそも僕の大学や会社は誰もが認める超一流というわけではなかったこともあって、残業に耐えれなくて会社を辞めてしまった僕にとって幸せになるために残された道は独立開業できる資格を取って独立するしかない!法律なんて勉強したことはないけど一発逆転を狙うしか、それしか幸せになれる道はない!なぜかそんな思考に陥っていました。いまとなって思えばバカバカしい思い込みですが(笑)。

そんな狭くなっていた視界を広げるべく、この本が気づかせてくれたこと。

  • 「いい大学を出ていい会社に入ること」は、成長社会では幸せになるためのひとつの正解だということ。
  • 幸か不幸か現在は成長社会ではなく、成熟社会だということ。
  • 成熟社会において幸せになるための正解はというと・・・成熟社会では幸せになるための正解自体が存在しないこと。
  • そして、正解はないけど「納得解」ならあるということ。納得解というのは「自分が納得でき、かつ関わる他人を納得させられる解」というもの。

このことは僕にとってあまりにも衝撃的でした。親世代のライフスタイルを見たり、成長社会を生きてきた親や先生の教えが正しいと思い込んでいたのに、知らない間に世界は成長社会から成熟社会に変わっていたんです。しかも成長社会で有効だったやり方は成熟社会ではほぼ通用しないという、これは悲劇です。

さらにすべての時間を試験勉強に捧げた2年間はそれこそ「正解」しか求められなかったので、いまさら「正解」はないと言われてもはっきり言ってどうしていいかわからなかった。

この本をきっかけに、確固たるものはまだないけれど、なんとなく自分の納得解というものを探していかないといけないよなぁということを意識するようになった4年後に、今度は「藤原和博の必ず食える1%の人になる方法」に出会いました。

必ず食える1%の人になる方法

ちょうど一般的に言われる幸せというものが自分にとって本当に幸せなのか?なんてことを真剣に考えていた頃だったと思います。

1万時間の法則

必ず食える1%の人になるためには100万人に1人のレアな存在になろう。希少性があれば食いっぱぐれることはない。

かといって1つの分野で100万人に1人を目指すのはあまりにハードルが高いので、100人に1人になれる分野を3つ持とう。そうすることで1/100×1/100×1/100で100万人に1人のレアな存在になれる。

そして100人に1人の存在になるためにはその分野に1万時間を投じて練習する必要があって、逆にそれが出来れば誰でも100人に1人になれる。そして、1万時間を投じるのは仕事に直結しないことでもいい。単に好きなことでいい。

シンプルに言えばそういうことが書いてありました。単に好きなことでいい。むしろ好きなことじゃないと1万時間も練習できない。いま思えばこの言葉が僕を泡盛マイスターとしての1万時間の練習に向かわせたように思います。

泡盛マイスターの試験にチャレンジしようと意識して泡盛を飲み始めてから約6年(2,190日)。ばらつきはありますが仮に4時間/日くらい泡盛のことに当てていたとして計算すると8,760時間。あと1年もすれば1万時間。限りなく100人に1人に近づいているということになりますよね。

果たしてハイブリットの効果は!?

異業種交流会に参加されたことがある方は頷いてもらえると思いますが、異業種の集まりに参加しても自分の同業者がたくさん参加していればその中で記憶に留めてもらうことは難しいものです。

泡盛マイスターに合格した当初は自己紹介で泡盛マイスターという資格を持っていると言ったところで、みなさんにとっては「泡盛が好きな司法書士」という程度なんでしょうね、「ふぅーん、で?」という反応が多かったです。そもそも士業は様々な資格を持っている方が多いので、その中でネタになりそうな資格をPRしていると思われたのかもしれません。

ところが・・・

  • 百貨店の沖縄物産展で泡盛講座をさせていただいたり
  • 泡盛マイスターの全国大会で大臣賞をいただいたり
  • 酒販免許を取ってオリジナル泡盛を販売したり

とネタに厚みが出てくると、「泡盛愛がハンパないですね~」という反応に変わってきました。むしろ司法書士ということは印象に残らないときもありますが(笑)、泡盛の人ってことで名刺交換の時に強烈なインパクトを与えることができるようになりました。

試験勉強から計算するとゆうに1万時間以上を投じた司法書士(100人に1人)と、少なめに見て既に8,000時間を投じている泡盛マイスター(100人に1人)をハイブリッドしたことで10,000人に1人程度に差別化ができるようなったんんじゃないでしょうか。最近、↓こういう名刺を作りました。

エクスマ用名刺

折にふれこの2冊を読み返すと、この本に出会い納得解を探すべく行動してきたからこそ今のスタイルにたどり着いたということを実感します。

僕にとっての納得解のひとつは「ワクワクできる目標を持つこと、具体的には大阪から泡盛を盛り上げること」です。当然ながら僕にとっての納得解なので、みなさんにとっては「変わってる!」「理解不能・・・」「バカじゃないの?」なんていう反応もあるかもしれません。

僕の納得解なので別にどう思われても構いませんが、成熟社会を生きていくためには専門分野をハイブリットすることで差別化が有効なのを実感しています。

そもそもやりたいことがあるなら人の目を気にして我慢するなんてのはナンセンスだし、いつかやろうと思っているうちにできなくなってしまうのもよくある話。そう考えれば、一般的な幸せを自分の幸せとごまかして人目を気にしながら生きるなんてことから解き放たれたことが何よりもありがたいです。

納得解を探すというとイメージしにくいかもしれないので、「自分なりの豊かな生活」というのはどういうものかを考えると捉えてはいかがでしょうか?

成熟社会で成功するには?

成長社会で成功した人は挑戦しなかった人なんだそうです。当たり前ですが挑戦しなければ失敗することはない。成長社会では無理に挑戦しないことで成功することができた。なんだか腑に落ちませんが、社会全体が成長している状況では挑戦せずに失敗しなかった人がうまくいく世の中だったんですね。。

成熟社会では成功するまで何度もチャレンジできることが重要なんだそう。もちろん成功というのは自分が納得できる成功であって一般論ではありません。

さて成熟社会というのは1994年頃から始まったと書かれていますが、果たしてどれくらいの人がそう認識できているのでしょうか?

僕が言っても説得力がありませんが(笑)、いくら泡盛が好きでも司法書士がオリジナル泡盛を造ろうなんて考えもしませんよね、普通は。これも多様で、複雑で、変化が激しい成熟社会だからこそ実現することができたんだろうと思います。成熟社会というのは乱暴にいえばなんでもありということですね。

頭ではわかったつもりでも成熟社会では通用しなくなった「正解主義」に走ってしまうことがまだあります。長年染み付いた「正解主義」の呪縛から逃れるには定期的に脳に成熟社会なんだと理解させる必要があります。

100万人に1人になるためのもうひとつの専門分野を見つけるため・磨くための練習として、「これは成熟社会を生き抜くヒントになりそうだな」と感じたものや参考になりそうな本などについて僕なりの視点から書いていきます。

常識は変わる!?宅配便の中身は○○

お盆に実家でつけていたテレビから流れてきた「そうこつサービス」という言葉。

「送る骨」と書いて、「そうこつ」。ここまま読んで嫌な予感がした方は鋭いですね。
骨というのはそう、遺骨です。

「え!遺骨を送るの?」と心の中で思ったタイミングで、遺骨を送ることに抵抗がある場合は「迎骨(げいこつ)」といって先方が遺骨を引き取りに来てくれるサービスもあることが紹介されました。

ちなみに遺骨を送る方法は郵便局の宅配便「ゆうパック」で、他社の宅配便では取り扱ってもらえないようです。遺骨は骨壷に入っているので、「こわれもの」の指定をするのを忘れないようにとのこと。

料金は30,000円からというのが相場で、2013年にスタートしているサービスです。ゆうパックで遺骨をどこに送るのか?「送骨」というのは一体どんなサービスなのか?イメージできますか?


遺骨の送り先は永代供養をしてくれるお寺です。遺骨は自ら持ち込むことがほとんどだろうと思いますが、さまざまな理由で自ら運ぶことが難しいために「送骨」、「迎骨」というサービスを利用される方が増えているようです。

「遺骨を宅配便で送るなんて!?」と眉をひそめる方がおられるのは想像に難くありませんが、相続人が子供ではなく兄弟姉妹になるケースであれば重宝されることもあるだろうと思います。高齢になると自分のことで精一杯で兄弟姉妹の納骨で遠方まで出掛けていくのはとてもじゃないけどできない、納骨だけではなく法事・法要に十分に手を尽くせないこともあるでしょう。

私が成年後見人をしていた方には子供がいなくて、相続人は遠方に暮らす高齢の姉妹だけという方がいらっしゃいましたが、選択肢としてこういったサービスがあることを教えてあげられれば良かったと思います。

超高齢社会になり、これまではなかった、少なかったニーズが顕在化していることで「送骨」といったサービスが生まれているのだろうと思います。

なんと!ドライブスルーの葬儀場まで 

先日、ドライブスルーの葬儀場ができるというニュースを見ましたが、これも「はぁ~?」と感じる方も多いと思います。 

高齢で足腰が弱くなり車から降りるのがおっくうだから葬儀に参列したくても抵抗がある、そういった方でも気軽に参列できるように始められたそう。高齢でなくても忙しい現代社会では、平服で短時間であれば「顔だけは出しておきたい」というニーズにも対応できると思います。

 一見すると奇をてらったように思えますが、現場でのニーズを丁寧にひろってきたことで生まれたアイデアだと感じました。

また、送骨は考えないまでも子供に負担をかけたくないから墓を作るよりも永代供養を希望したい。でも他の人の遺骨と混ざってしまうことは抵抗があるという方は結構いらっしゃるんじゃないでしょうか(遺骨が混ざってしまうのは私も気になります)。そういったニーズに耳を傾けたことで生まれた、遺骨が混ざらないように遺骨ごとに袋に入れて納骨してくれるサービスがあるようです。

 確実に世の中が変わってきている。

だからこそ求められるニーズが変わってきている。「常識」といわれることでは理解できないかもしれませんが、常識といっても親の時代とは違う。祖父母の時代とは違う。良い悪いじゃなくてここはしっかり理解しておかないといけないと思います。 

私事ですが、実家にある仏壇は私が引継いだとして、それを子供達に継がせるのか?仏壇のない家で育っている子供達が会ったこともない私の祖父母の写真を仏壇に飾るのか?ちょっと無理があるかもしれませんね。寂しいけれど。 

先のことは考えすぎてもしょうがない。そんなことよりも今をしっかり見よう。まだ小さい子供達を連れてできるだけ実家に帰ろう。それが今できるベストなんじゃないだろうか。そんなことを山形の実家の二階で考えていた今年の夏でした。

引継いだ家業はプラスの財産かマイナスの財産か!?

家業を継いだものの赤字続きだから今の商売をやめて新しい商売を始めようか、そんな選択を迫られることもこのご時世では珍しくありませんよね。例えば祖父の代から印刷業を営まれていたXさんが多死社会の到来を見込んで遺品整理業を始めることにしたようなケースをイメージしてみてください。

印刷業と遺品整理では全くの畑違いなので、そもそも遺品整理業のノウハウがなければ難しいというのは容易に想像できます。それに遺品整理の会社の名前が「○○印刷株式会社」じゃピンとこない。それに心機一転、会社名(商号)を変えたいというニーズもあるでしょう。

また不要な物を処分するだけではなく、買い取りをするなら古物商の免許を取らないといけないし、その前提として「中古○○の売買」を会社の目的に加えるなど登記を変更しておかなければいけないということもでてきます。

中にはこれを機に取締役会や監査役も廃止して役員は自分ひとりで再出発したいといったニーズもあると思います。ようするに新規事業を始めようとすると会社の登記だけをみてもそのままでは始めることが難しい場合がほとんどでしょう。

登記の内容をいろいろ変更する手間を考えていたらイチから新しい会社を作った方が早いんじゃないの?なんて思ってしまいますが、既に株式会社がある場合で新規事業を行うケースについて登記を中心とした手続きをまとめてみました。


株式会社は資本金1円から作ることができますが、登録免許税や定款認証の費用などで最低でも20万円以上かかります。一方で既にある会社の取締役会や監査役を廃止すること、商号や目的を変更する場合も変更する内容に応じて登録免許税が必要になります。

既にある会社の資本金がそれなりに大きくて、もし会社の見栄えを気にするなら既にある会社を活用するという選択肢も十分にあります。中には引継いだ会社がそのまま新規事業を行った方が税務上のメリットが大きいケースもあるでしょう。

会社をたたむつもりだったので

しばらく事業をやっていなかったために登記も長い間ほったらかしだったり、むしろ会社をたたもうと解散の決議をしてその登記がされている場合があるかもしれません。

解散の決議をしていたらその会社で新規事業を行うことはできないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。解散の登記がされていても清算手続きが完了していなければ会社を継続することも可能です。

まずは既にある会社の登記内容や会社の状況を正確に把握した上で、新規で会社を作る場合と既にある会社の登記を整える場合の手間と費用を比べて判断するのが賢明と言えるでしょう。

相続した資産価値のない土地や建物を“負”動産といったりするようですが、家業も同じようなことが言えそうですね。ただし使い方によってはうまく活用できる場合もあるように思います。

銀行の本業が赤字になる時代がやってくる!?

余談ですが口座開設をしてくれる若者を獲得するために地方銀行がカフェをオープンしたという新聞記事を読んでいると、さらっとこんなことが書いてあって驚きました。

「金融庁は25年3月期には全国の地銀の6割が本業で赤字になると試算している」

あくまでもさらっと書いてあったので、「どこまでが本業なのか?」「どういった条件での試算なのか?」詳細はわかりませんが銀行が本業で赤字になる時代が来るなんてこと想像したことがありますか?ないですよね?

といいながらATMなどの手数料が売上のほとんどを占めるセブン銀行があるくらいなので、いわれてみれば納得できる試算結果です。

銀行でさえ事業の見直し、方向転換を迫られる時代であれば中小企業の場合その必要性は銀行の比ではないはず。

・・・と他人事のようなことを言っていますが、事業の方向転換を迫られているのは僕ら士業の方が切実な気がする今日この頃。ネットに情報が溢れている時代なので登記や相続など手数料を払って司法書士に依頼せずに自分で調べてやってみようという方が確実に増えているように感じます。

捨てたい!?“負”動産

不動産と聞くとまっさきに「不動産王」「不労所得」という言葉が頭に浮んで、「憧れ」や「羨望」などついついそんな感情を持ってしまいがちですが、みなさんはそんなことはありませんか?バブル世代への憧れをまだ引きずっているからでしょうか・・・?^_^;

不動産に対してそういったイメージを待たれる方もいると思いますが、実際には貸すことも売ることもできないのに固定資産税だけがかかっているような不動産もあります。誰もが羨むどころか、誰も欲しがらないような不動産もあるわけで、最近では“負”動産なんていう言葉を目にするようになりました。

司法書士を対象にしたアンケートによると「5割の司法書士がいらなくなった土地を自治体に寄付したいという相談を受けたことがある」、「不動産の相続放棄について相談を受けた司法書士は4割」という結果からわかるように、“負”動産を持て余している現実が垣間見えてきます。

相談される方の中には、仮に土地を捨てることができるなら捨ててしまいたいという方もいらっしゃると思います。現実に捨てることはできないので、名義変更や管理をせずに放置されてしまう土地がたくさんあって「所有者不明の土地が○○よりも広い」という調査結果が出ました。さて○○には何が入るでしょう?


所有者不明土地問題研究会の推計によると、所有者が分からなくなっている可能性のある土地が約410万ヘクタールあって、なんと九州の面積よりも広いという結果が出たようです。

誰も住まなくなった田舎にある実家や先祖代々受け継いだ山林が名義変更をされずに放置されているのかもしれませんね。先の司法書士へのアンケート調査によると「一部の不動産について相続登記をしないよう依頼された司法書士が4割」という回答があり、相続登記をしない理由の中には相続人が多数になって「遺産分割協議が困難」「相続人を探す費用がかかる」という理由が多かったようです。

確かに相続手続きを放置していた場合、相続人を把握するために大量に戸籍を取得することになったり、その戸籍を読み解くのはかなり大変なので、費用が高額になってしまうのには致し方ない部分があります。

余談ですがAIの普及で将来なくなる仕事が話題になったりして危機感が煽られていますが、正直なところAIが戸籍を読み解いて相続人を調べてくれたら司法書士としてはすごく楽になります。AIを活用すれば、役所に死亡届を出しに行けば誰が相続人なのか一覧で出してくれることもいずれは可能になるかもしれません。

AIに仕事を奪われると考えると前向きな発想は浮ばないけれど、どうしようもなく面倒なことをAIに任せることができると思えば明るい未来が待っているような気がします。

相続人が誰かという情報を法務局や金融機関もオンラインで共有できれば、相続の名義変更や預金の払い戻し請求がネットで簡単に出来るようになったりするかもしれません。最近始まった法定相続情報証明制度はその前身と考えることもできそうですね。

いろいろ考えると相続の名義変更をするのに司法書士はいらなくなるかもしれませんね(苦笑)。

ところで、良いか悪いかはともかく、誰も住んでいないような土地であれば放置できるとしても、現実に誰かが住んでいるにも関わらず名義変更がされず長い間そのままになってしまう場合もあります。

「建物が老朽化したので建て替えたいが土地の名義変更ができないためにローンが組めない」「誰も住まなくなったので売却したいが相続人が多すぎて手続きが進められない」といったご相談もあるので、単なる自らの怠慢で塩漬けしてしまい“負”動産にするようなことはないよう気をつけないといけませんね。

「空き家問題の救世主になるのか!? 法定相続情報証明制度」

司法書士として見逃せない衝撃的な内容の記事を新聞で見つけました。

「最後の登記から50年以上が2割」

これは全国の約10万筆の土地を調査した結果、最後の登記から50年以上が経過し、所有者が不明になっている可能性がある土地の割合が2割を超えていたというものです。ちなみに最後の登記から70年以上たった割合は9.7%、90年以上は5.6%だったそうです。

50年以上登記をしていなければ相続が発生して10~20年経過している可能性が高く、さらに相続が発生して相続人が増えてしまって、手続きを進めるのが簡単ではなくなっている可能性の高い土地が2割以上あることになります。

相続手続きといえば、まずは預貯金の解約手続きをして、それが終わってから不動産という流れが一般的じゃないでしょうか。預貯金は手続きをすれば現金が手元に入りますが不動産の場合は名義を変えたところで現金が手に入るわけじゃないので後回しになるのは当然ですよね。

よくあるのが、亡くなった父親名義の自宅の名義変更を母親が亡くなった時にまとめて子供に変更するというもの。費用や手間を考えれば売却の予定がなければこの方法も理に叶っているのかもしれません。

売却する予定がないなど名義を変更する必要がなかったのをいいことに長い間、名義変更をほったらかしにしてしまった結果、相続人が増えてしまって手続きができなくなったというのが話題の空き家問題のひとつの原因になっているのは間違いないでしょう。

これから先、不動産が余っていくとますます売れない不動産が増える、売れない不動産の名義変更を先送りにする結果、塩漬けされて空き家になる“負動産”が確実に増えていくと思われます。

こうした状況の改善にひと役買ってくれそうな新しい制度が平成29年5月29日からスタートしました。相続人の関係図を法務省が証明してくれる「法定相続情報証明制度」というものです。

法定相続情報証明制度とは?

相続人を把握するために必要な戸籍をすべて取得して相続人の関係図を作って法務省に提出すると、法務省が内容を確認した上で公的な証明書として法定相続情報一覧図を発行してくれるという制度で不動産、預貯金、株式といった各相続手続きにこの証明書を提出することで、個別に戸籍を提出する必要がなくなるため、相続人の負担の軽減が期待されています。

この制度が浸透すれば、手続きのやり易さからすると

  1. ①法定相続情報証明制度(法務局)
  2. ②相続による不動産の名義変更(法務局)
  3. ③相続による預貯金の手続き(銀行等金融機関)

という相続手続きの流れを作ることができるかもしれません。

はじめに①の手続きを法務局でするなら一緒に②の不動産の名義変も済ませておこうというイメージですね。この流れを作ることができれば、名義変更をしないままに残されてしまう不動産を減らすことができるんじゃないかと期待されているわけです。

とはいえ現時点では「法定相続情報証明制度」で発行される法定相続情報一覧図は法務局でしか利用することができません。残念ながらまだ金融機関でも税務署でも使えないんですね。

現時点でどんなメリットがあるのかというと、全国の法務局で使えるので不動産を各地に所有している場合は法定相続情報一覧図を利用することで各地の法務局に戸籍を添付しなくても申請できるようになります。

法務局でしか使えなければ期待している効果はおそらく見込めないので、できるだけ早めに金融機関でも利用できるようになるといいですね。

相続対策よりも切実なのは○○対策!?

不動産の取引は残代金の決済を金融機関で行うことがほとんどですが、月末で大安ともなると金融機関は決済が重なるので融資が実行されてお金が出てくるまで時間がかかります。

我々司法書士の業務の中で不動産取引の立会いというのは、問題なく融資が実行できるのか、残代金が買主から売主に支払われて所有権が売主から買主に移転するのをお取引に立ち会って確認することが仕事なので、関係者と一緒にお金が出てくるのをひたすら待つこともあります。

話が弾んで気がついたらあっという間に時間が経ってしまう決済もあれば、重苦しい空気のまま時が止まってしまったような決済もあります。若いご夫婦が新居を購入されるような取引は終始なごやかな雰囲気ですが、その一方で住宅ローンの支払いが困難になって自宅を売却される取引(任意売却)はどうしても沈黙が続くことがほとんどです。

そんな待ち時間の話題選びといえば、例えばご高齢になって戸建てからマンションに住み替えられる方には当たり障りのない相続関連の話題が無難かと思いますが、一歩踏み込んだ感のある「救急医療情報キット」の話題が意外にも好評だったことがありました。

はじめて耳にされる方がほとんどかと思いますが「救急医療情報キット」というのは・・・ 

これは大阪府吹田市で配布されている救急医療情報キットです。これは筒状のプラスチック容器ですが必ずしも筒状というわけではなく袋状のキットもあるようですね。 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

吹田市ではおおむね65歳以上の一人暮らしの方に配布しており、ネットで調べると吹田市の他にも全国各地で配布している市区町村があるようで行政毎に配布する条件は異なるのかもしれません。  

救急医療情報キットの使い方

さて肝心の使い方はというとこのキットの中にかかりつけの病院や持病について、また緊急時の家族の連絡先を書いたものを入れて普段から冷蔵庫に保管しておきます。

もしも自宅で具合が悪くなった時には、救急通報を受け駆けつけた救急隊員がこのキットを確認することで、持病の有無や服用している薬など、一人暮らしであっても治療に必要な情報を救急隊員や搬送先の病院が把握することができます。

なぜ救急医療情報キットを冷蔵庫に保管するかというと、ほとんどの家庭では台所に冷蔵庫があるため、救急隊員がキットを探すのに手間取ることなくすみやかに病院に搬送することができるからです。

当たり障りのない相続対策は時間がたっぷりある時の話題にはもってこいなんですが、ひとり暮らしの方にはこういった救急時の対策の方が切実な感心事で響くんだなぁと感じた出来事でした。

メールの確認をしたり、本を読んだりと関係者が待ち時間を有効に使っているビジネスライクな決済も中にはありますが(もちろん我々司法書士はできませんが)、それはあくまでも例外です。

いっそのこと待ち時間を楽しんでもらおうという発想なのかわかりませんが、待ち時間にマジックを披露される司法書士の先輩がおられると聞いたことがあります。もしもマジックが評判になって不動産取引の立会いの依頼が増えたとしたらこれぞ「芸は身を助ける」なんでしょうね。

 僕も真剣にマジックを習おうかな。

遺産相続で配偶者を優遇する改正案の最大のポイントは?

遺産相続の際に配偶者を優遇する案を法務省が検討しているようです。なんでも以前検討されていた配偶者の法定相続分を引き上げるという案に代わるものらしいです。

この配偶者の優遇案というのは、結婚して20年以上になる夫婦で生前もしくは遺言で居住用の建物や土地を配偶者に贈与されている場合は、遺産分割をする上でこれらの建物や土地についてはあらかじめ除外することができるというものです。

現在の配偶者の法定相続分は共同相続人がいれば2分の1から4分の3まで。遺産全体に占める不動産の割合が高い現状を考えれば、配偶者が引き続き自宅で暮らすために自宅を相続すると他の財産をまったく相続できないことや自宅以外の財産がほとんどなければ遺産分割にあたって自宅を売却せざるを得ないことも十分にありえます。

今回検討されている配偶者の優遇案は、

  • 配偶者が引き続き自宅で暮らすことができるようにすること
  • さらに法定相続分に応じて配偶者が自宅以外の財産も受け取ることができるようにすること

が大きな目的といえます。 このニュースを見ていて思い出したのが司法書士になって間もない頃に遭遇したXさんの事例でした。

遺言を書いていなかったばっかりに・・・

Xさんご夫婦にはお子さんがおらず相続人は奥さんとXさんのご兄弟でした。Xさんが遺言を作っていなかったために奥さんはXさんのご兄弟から相続分を主張されて、自宅を守るために自分の貯金からご兄弟にお金を払わざるを得なかったという内容でした。

遺言を作っていなかったということで親族から自分の生活が脅かされるという現実に衝撃を受け、司法書士の世界というのはなんとも世知辛い話が身近にあるんだなぁと思った記憶があります。

遺言を作っていなかった理由は知る由もありませんが、もしかすると相続人は配偶者だけと思い込んでいた。もしくは配偶者とともに兄弟姉妹が相続人になることはわかっていたけど、まさか兄弟姉妹が相続分を主張してくるとは思っていなかったとか・・・

ここ数年の相続や遺言への関心の高まりからするとそう考える方は減っているように感じますが、10年前ならたくさんいらっしゃったのかもしれません。

Xさんご夫婦は再婚同士だったので配偶者の兄弟姉妹との関係性が薄かったことも影響していたのかもしれませんが、兄弟姉妹には遺留分(法律で定められている最低限の取り分)がないので遺言さえ書いていれば配偶者の権利を守れたと思うととても残念です。


さて今回の配偶者の優遇案ですが、これから検討されるので条件が変わる可能性もありますが生前に贈与もしくは遺言で贈与を受けていることが前提になっています。

【優遇】というよりも配偶者を【守る】という印象を受けた改正案なので、遺言があれば解決することが可能な配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合よりも配偶者と遺留分のある配偶者の前妻・前夫との子が相続人になる場合に効果が期待できそうです。

ただし、遺言・相続のご相談の中には、「○○に遺言を書いておいてもらわないと私が困るんです」といった、誰かが○○をしてくれないと残される人が困るという相続する側の声を聞くことが多いので、周りがやきもきしていても当のご本人は動こうとしないという現実もあります。

せっかくの改正案が実現しても活用する気がなければ絵に描いた餅。ぜひとも必要な方が活用しやすいものになればと思います。

節税対策で得をするのは誰?

先日、司法書士会の相続電話相談の当番に行ってきました。1件相談が終わり受話器を置いたとたんにすぐまた次って感じで、それはもうひっきりなしに電話がかかってきました。2月、3月は相続のご相談が増える時期ではありますが、最近の相続への感心の高まりを感じる忙しさでした。 

相続関連のニュースで最近気になったのが「相続税の節税を目的にした養子縁組は有効か、無効かが争われた裁判」です。 

はじめは国と相続人間の争いかなと思いましたが、相続税の節税を目的にした養子縁組というのは富裕層では一般的に行われているのでいまさら感もありました。ニュースや裁判例をじっくり読むと争っているのは国と相続人ではなく、相続人同士でした。 

節税になるなら相続人全員にメリットがありそうなのに相続人間で争いになるのはなぜなのか?・・・ 

養子縁組をすると誰が得をするのか?

被相続人(亡くなった方)には3人の子供がいました。そして長男の子供と被相続人が養子縁組をしていて、二人の妹がこの養子縁組の有効性を争うという裁判でした。 

そもそも養子縁組をするとなぜ節税になるのかというと、相続人が増えることで相続人の人数による基礎控除の額を増やすことができるからです。一方で被相続人の相続税額を減らすと同時に各相続人の法定相続分は減ってしまいます。ということは全体としては節税になっても兄弟姉妹の家族単位でみると取り分に差が出ることになります。 

ようするに養子縁組で相続人がひとり増えた分を補えるほどの節税効果は期待できないということなんですね。 

こう聞くと仮に3人の子供にそれぞれ子供がいたなら3人の子供達がそれぞれ自分の子供を被相続人の養子にすれば良かったのではないか?というアイディアが浮ぶかもしれません。 

しかし実子がいる場合、養子は1人、実子がいなければ養子は2人しか相続人の人数に応じた基礎控除の対象にならないので、残念ながら養子を3人にしても節税効果は期待できません。 

それぞれが養子縁組をせずとも遺産分割協議の中で兄弟姉妹間の取り分を調整する方法もあるわけですが、もはやそういう状況ではなくなってしまったんでしょう。 

まわりの理解・協力なくしてひとりが主導する節税対策は、まわりから良くやったと評価されることはなく、出し抜かれたという思いが生まれることが多いのではないでしょうか。 

被相続人の亡くなった時期からすると法定相続人ひとりあたりの基礎控除額は1,000万円ですが、最高裁までの裁判費用などを考えると、実質的な節税効果はどのくらいあったのか非常に気になるところです。 

相続人のひとりが勝手に進める節税対策は結果的にはあまり効果を生まないばかりか、兄弟姉妹の関係が修復できない状況になってしまうこともあることが浮き彫りになった事例だと感じました。 

子供がひとりのケースでその配偶者と親とが養子縁組をするケースなら揉める可能性は低いのかなと思いますが、夫婦間の関係が悪化すればまた違った問題が起きる可能性があるわけで・・・節税って難しいですね。